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地球の静止する日 [2010年 レビュー]

地球の静止する日」(1951年・アメリカ) 監督:ロバート・ワイズ

 監督名を聞いてピンと来る人はさすが。のちに「ウエスト・サイド物語」(1961)と「サウンド・オブ・ミュージック」(1964)を撮る監督のSF作品で、1995年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも名を連ねた歴史的映画である。

 この作品が名を残す理由は2つある。
 ひとつは異星人を知的かつ友好的な存在として描いたこと。もうひとつは「原爆こそが戦争を終結させた切り札」と言ってはばからない国の映画で、核の恐ろしさをアピールしたことだ。しかも終戦からわずか6年目に。
 ワシントンに円盤で降り立ったクラートゥ(マイケル・レニイ)は、科学者のバーンハート教授に自らの正体を明かし、こう続ける。
 「観測によると地球は初歩的な原子エネルギーを発見した。地球人が戦車や飛行機で戦っている限りは関心はなかった。だがいずれは原爆を宇宙船に積む。これは他の惑星にとって脅威だ。見過ごせない。だから警告しに来た。この星が危険に向っていると」
 僕は1951年の映画でこんなセリフに出会えるとは思いもしなかった。映画の中でこそ宇宙戦争をイメージさせるSF的なセリフになっているが、“地球人”はすなわち“アメリカ人”、“他の惑星”は“他の国”と置き換えることが出来る。この時代にして実に素晴らしいメッセージである。

 ただしこのタイトルからすると映画のスケール感は小さいと言わざるを得ない。
 特撮技術は未成熟であったにせよ、高度な文明を持つ異星人がどんなアクションを起こすのかと思いきや、地球上のあらゆる電気を30分間停止させるだけ。2010年に観る僕からすると、どうしても「その程度のことでいいのか?」と思ってしまう。映画そのものを否定するつもりは無いけれど。
 逆に気に入ったのは「異星人がなぜ英語を喋るのか?」のエクスキューズがあったこと。それだけでロバート・ワイズはジョージ・ルーカスより偉いと思ってしまった。

 この作品はリメイクがあるから観た。でなければ今さら観なかっただろう。キアヌ・リーブスがクラートゥとはハマり過ぎだと思うが、はたしてどんな仕上がりなのか楽しみだ。

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コメント 4

漣花

私,キアヌ・リーブスの方を観たのですが,
あれってリメイクだったんだ・・・・と。

キアヌの方は,はい,あのような役が多いですよね。
で,ん~~・・・
kenさんが,リメイク観てから書きましょう(笑)
by 漣花 (2010-02-18 22:35) 

ken

今週中に観ます。
ホントは今夜観ようと思ったんですが、明日急遽ゴルフに行くことになったので
今夜は早寝しますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-02-18 23:48) 

Sho

どうもどこかで目にしたタイトルと思いました。
1951年というのは驚きました。
宇宙人が英語を話せる理由が激しく知りたいです!(笑)

by Sho (2010-02-20 23:46) 

ken

英語を話せる理由は、「話すためにテレビを観て勉強した」が正解ですw
by ken (2010-02-21 01:41) 

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