打倒(ノック・ダウン) [2010年 レビュー]
「打倒」(1960年・日本) 監督:松尾昭典 脚本:宮田輝明、柏木和彦
昨年は生誕70年。来年は没後50年になるのだそうだ。
日活第3の男と言われた赤木圭一郎。通称トニー。
「は? アカギ・ケイイチロウで、なんでトニー? 『ト』も『ニ』もどこにもあらへんやんけ!」
と思っていたら、当時のハリウッドスター、トニー・カーチスにどことなく風貌が似ていたから、トニーという愛称を日活がつけたのだそうだ。なんだかなあ。しかし今見ると完全にSMAPの香取慎吾である。だから通称シンゴちゃん。ま、意味はない。
赤木圭一郎の映画を観るのは初めてだった。
早くにゴーカートの事故で亡くなったため、和製ジェームス・ディーンと呼ばれているのは知っていた。だから出演した本数も少ないのかと思ったら、26本の映画に出演していると知って驚いた。もっと驚くのは実働わずか3年であること。まさに日本映画全盛期(つまり、テレビ夜明け前)に花開き、あっという間に散った俳優と言うわけだ。
赤木圭一郎にとっては22本目の作品で、完全なるスター映画である。
主人公の高野昭は理系の秀才で、大学卒業後は兄雄介(二谷英明)と共に電子工学の道に進むことを決めていた。しかし趣味でやるボクシングでも天賦の才能を発揮し、そこに目を付けた野中ボクシングジムの会長(大坂志郎)が、なんとかスカウトしようとする…というのが序盤の展開だ。昭に気のある同級生が夜の浜辺で酔ったフリをして誘っても決して手を出さず、とにかく非の打ち所の無い設定になっている。
スター映画と言うよりも今で言うアイドル映画に近い。1ヶ月で1本撮るようなスケジュールだから、赤木圭一郎はボクシングのトレーニングも満足に積んではいまい。それがそのまま絵に出ていて、ほとんどの人の目に「ちゃんちゃら可笑しい」ボクシングの真似事にしか見えないはずだ。せめてガードだけでも指導してやれば、と思ったが、「ガードをしてしまうと、観客のお目当てである顔が見えなくなってしまうんだな」と、気付いたら、あとはどうでも良くなった。
この時代の映画は何度も言うが、今となってはロケーションこそ最大の見どころである。僕は神宮の銀杏並木しか認識出来なかったけれど(歩道で劇用車を走らせるという荒業をやってのけている!)、まだまだ道路整備が行き届いていない東京の風景は、なんとものどかで目に優しい。
また観ていて感心したのはクレーンショットの使い方が妙に巧かったこと。まるでハリウッド映画を髣髴とさせるテクニックに、当時の日活スタッフの優秀さを垣間見た気がした。もう何本か観てみよう。
昨年は生誕70年。来年は没後50年になるのだそうだ。
日活第3の男と言われた赤木圭一郎。通称トニー。
「は? アカギ・ケイイチロウで、なんでトニー? 『ト』も『ニ』もどこにもあらへんやんけ!」
と思っていたら、当時のハリウッドスター、トニー・カーチスにどことなく風貌が似ていたから、トニーという愛称を日活がつけたのだそうだ。なんだかなあ。しかし今見ると完全にSMAPの香取慎吾である。だから通称シンゴちゃん。ま、意味はない。
赤木圭一郎の映画を観るのは初めてだった。
早くにゴーカートの事故で亡くなったため、和製ジェームス・ディーンと呼ばれているのは知っていた。だから出演した本数も少ないのかと思ったら、26本の映画に出演していると知って驚いた。もっと驚くのは実働わずか3年であること。まさに日本映画全盛期(つまり、テレビ夜明け前)に花開き、あっという間に散った俳優と言うわけだ。
赤木圭一郎にとっては22本目の作品で、完全なるスター映画である。
主人公の高野昭は理系の秀才で、大学卒業後は兄雄介(二谷英明)と共に電子工学の道に進むことを決めていた。しかし趣味でやるボクシングでも天賦の才能を発揮し、そこに目を付けた野中ボクシングジムの会長(大坂志郎)が、なんとかスカウトしようとする…というのが序盤の展開だ。昭に気のある同級生が夜の浜辺で酔ったフリをして誘っても決して手を出さず、とにかく非の打ち所の無い設定になっている。
スター映画と言うよりも今で言うアイドル映画に近い。1ヶ月で1本撮るようなスケジュールだから、赤木圭一郎はボクシングのトレーニングも満足に積んではいまい。それがそのまま絵に出ていて、ほとんどの人の目に「ちゃんちゃら可笑しい」ボクシングの真似事にしか見えないはずだ。せめてガードだけでも指導してやれば、と思ったが、「ガードをしてしまうと、観客のお目当てである顔が見えなくなってしまうんだな」と、気付いたら、あとはどうでも良くなった。
この時代の映画は何度も言うが、今となってはロケーションこそ最大の見どころである。僕は神宮の銀杏並木しか認識出来なかったけれど(歩道で劇用車を走らせるという荒業をやってのけている!)、まだまだ道路整備が行き届いていない東京の風景は、なんとものどかで目に優しい。
また観ていて感心したのはクレーンショットの使い方が妙に巧かったこと。まるでハリウッド映画を髣髴とさせるテクニックに、当時の日活スタッフの優秀さを垣間見た気がした。もう何本か観てみよう。
昭和30年代40年代の日本の風景をたまらなく見たくなることがあるのですが、その当時の映画はなによりのツールですね。
例えば石原裕次郎とか、あの時代の日活のスターといわれた人達って
なんだかみんな大根に見えてしまうんですが、じっくり見ると違うのかなあ。
やっぱり魅力があるんでしょうか?
by Sho (2010-03-07 12:08)
残念ながら大根ですね。大きな大根。
本作で言うと、トニーに気のある料亭の娘がウルトラ大根でした。
by ken (2010-03-07 12:43)