2012 [2010年 レビュー]
「2012」(2009年・アメリカ) 監督・脚本:ローランド・エメリッヒ 脚本:ハラルド・クローサー
見方によってはローランド・エメリッヒは“狼少年”である。
1996年には「どデカイUFOが来て地球を滅ぼすぞ!」と言い、98年には「ゴジラが来てニューヨークをぶち壊すぞ!」と言い、2004年には「地球温暖化のせいで地球が滅びるぞ!」と言っていたのだ。そして今度は「古代マヤ人の予言が当たって2012年に地球が滅びるぞ!」である。
まったくホラのスケールがでかすぎる(笑)。
エメリッヒに比べたら「オオカミ中年」と揶揄された舛添要一なんぞ小物である。
そんなわけで、笑っていいのかどうかも分からなくなって来たエメリッヒの「地球滅亡シリーズ」だが、僕はCGの技術がいまどこまで来ているのかを確認したくて、つい観てしまった。もちろんブルーレイで。
「2012」で確認したかったのは、「アバター」のような創造力ではなく、シュミレート力である。つまり、現実に起こりうるかも知れない事象をどこまでリアルに映像化出来たか、という点だ。
これは正直凄かった。特にロスの街が崩壊していく様は「こんなことが現実に起きたらどうしよう」と思うほど見事で、コマ送りにして粗を探したくなるほどの素晴らしい出来栄えだった。中でも右手に立体駐車場、左手にフリーウェイを見ながら、主人公がリムジンを飛ばすシーンは目を見張った。
CGに注目するとき、妄想の世界をゼロから作り上げる仕事も確かに凄いとは思うけれど、個人的には実写とCGとの比較が可能な「現実世界の再現」と言うべき仕事を評価してしまう。それはエンタテインメントにのみ有効な技術ではなく、災害シュミレートと言った分野にも有効な技術だと思うからだ。とすれば、こういった作品がヒットするということは、さらなるソフト開発に才能も資金も回せるわけだから、エメリッヒを“狼少年”と中傷するのは考え直すべきかも知れない(笑)。
ではハードウェアではなくソフトウェアとして観たときにどうか。
ストーリーはお約束のてんこ盛りである。主人公のジャクソン(ジョン・キューザック)は死んでおかしくない展開に何度も巻き込まれるが、もちろん死なない。足手まといでしかない子供たちももちろん死なない(ネタバレだが構わず書く)。その代わりにちょっと憎たらしい人物が、「あ~あ」な目に遭ったりする。この辺りはパニック映画全盛の70年代に培われたノウハウがそのまんま投影されている。
早いハナシが「自然の前に人間は無力である」という映画だ。ときどきそんなことを反芻しておいてもいいと思う。だからたまに観るのはいい。
特典映像の中でエメリッヒは「もうこの手の映画はやらない」と語っていた。なぜなら「今回でやりつくしたから」と。オオカミ中年にならないことを祈る。
見方によってはローランド・エメリッヒは“狼少年”である。
1996年には「どデカイUFOが来て地球を滅ぼすぞ!」と言い、98年には「ゴジラが来てニューヨークをぶち壊すぞ!」と言い、2004年には「地球温暖化のせいで地球が滅びるぞ!」と言っていたのだ。そして今度は「古代マヤ人の予言が当たって2012年に地球が滅びるぞ!」である。
まったくホラのスケールがでかすぎる(笑)。
エメリッヒに比べたら「オオカミ中年」と揶揄された舛添要一なんぞ小物である。
そんなわけで、笑っていいのかどうかも分からなくなって来たエメリッヒの「地球滅亡シリーズ」だが、僕はCGの技術がいまどこまで来ているのかを確認したくて、つい観てしまった。もちろんブルーレイで。
「2012」で確認したかったのは、「アバター」のような創造力ではなく、シュミレート力である。つまり、現実に起こりうるかも知れない事象をどこまでリアルに映像化出来たか、という点だ。
これは正直凄かった。特にロスの街が崩壊していく様は「こんなことが現実に起きたらどうしよう」と思うほど見事で、コマ送りにして粗を探したくなるほどの素晴らしい出来栄えだった。中でも右手に立体駐車場、左手にフリーウェイを見ながら、主人公がリムジンを飛ばすシーンは目を見張った。
CGに注目するとき、妄想の世界をゼロから作り上げる仕事も確かに凄いとは思うけれど、個人的には実写とCGとの比較が可能な「現実世界の再現」と言うべき仕事を評価してしまう。それはエンタテインメントにのみ有効な技術ではなく、災害シュミレートと言った分野にも有効な技術だと思うからだ。とすれば、こういった作品がヒットするということは、さらなるソフト開発に才能も資金も回せるわけだから、エメリッヒを“狼少年”と中傷するのは考え直すべきかも知れない(笑)。
ではハードウェアではなくソフトウェアとして観たときにどうか。
ストーリーはお約束のてんこ盛りである。主人公のジャクソン(ジョン・キューザック)は死んでおかしくない展開に何度も巻き込まれるが、もちろん死なない。足手まといでしかない子供たちももちろん死なない(ネタバレだが構わず書く)。その代わりにちょっと憎たらしい人物が、「あ~あ」な目に遭ったりする。この辺りはパニック映画全盛の70年代に培われたノウハウがそのまんま投影されている。
早いハナシが「自然の前に人間は無力である」という映画だ。ときどきそんなことを反芻しておいてもいいと思う。だからたまに観るのはいい。
特典映像の中でエメリッヒは「もうこの手の映画はやらない」と語っていた。なぜなら「今回でやりつくしたから」と。オオカミ中年にならないことを祈る。
この人の作品は話がでっかいですね^^;
CG担当の坂口亮の特集を見たことがありますが、
より良い表現のために流体力学の勉強をしてましたよ。
by CORO (2010-05-03 08:55)
こんにちは^^
ロス崩壊の映像は凄かったですよね。
口あんぐりで見てました^^
あの度迫力の映像をみられただけでも良かったかな~、
と納得させるところが凄いかも(笑)
by てくてく (2010-05-03 10:04)
>COROさん
かつてCG技術は「ホンモノに見えてはいけない。ホンモノのように見える
程度がいいんだ」と言われていましたが、もうそんな時代は終わりですねw
nice!ありがとうございます。
>てくてくさん
そうなんですよ。ストーリーなんかどうでもいいのかも知れません。
だれか東京をぶっ壊す映画も作ってくれないかしら。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-05-03 11:42)
このGWにDVD観ました。ストーリーは笑っちゃうくらいセオリーどおりでしたが、CGにはほんとに驚きました。ビルが崩れ落ちる様子とか、地滑りの様とか・・・。もうCGで表現できないものはなくなってしまったのかもしませんねぇ。
個人的には、あの残った3艘の巨大な船に乗った人々がどうやってこれから生きていくのか気になりました。あの船、中国製だし。
by カオリ (2010-05-06 22:32)
中国で作ってるから案の定作業が遅れてる、みたいなセリフもありましたよねw
船のあちこちに不具合が出て来て、船内大パニック!みたいなストーリーも
面白いかも知れませんw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-05-06 22:53)
災害シュミレート!!
そういった視点で観ると
この映画の技術は本当に凄いですよネ♪
by u_yasu (2010-05-09 19:42)
そうなんです。その技術、どこかで使ってくれ~と思いますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-05-10 01:37)