女王陛下の007 [2010年 レビュー]
「女王陛下の007」(1969年・イギリス) 監督:ピーター・ハント
シリーズ6作目。初見。
ジョージ・レーゼンビーが一度だけボンドを演じた作品である。強烈な印象を残すショーン・コネリーのあとだけに賛否両論あったレーゼンビーだが、僕は「なかなか良かった」と思う。評価するポイントは2つ。
まず「よくぞ引き受けた」という男気に10ポイント(笑)。コネリーが復帰した7作目を観てみないとハッキリしたことは言えないが、続く8作目でロジャー・ムーアがボンド役を引き受け易くなったんじゃないかと思う。
僕の想像ではこうだ。
7作目で復帰したコネリーは「いいんだけど、ちょっと飽きた」。そして8作目のムーアは「レーゼンビーよりマシ。だからいい」という世論だったんじゃないだろか。つまりレーゼンビーはシリーズ全体を考えたときの功労者という意味だ。
もう一点は思いのほかいい身体をしていたこと。
「007は二度死ぬ」のときのコネリーはすでに身体がダブついていて、僕は「コイツ、楽してやがんな」とガッカリした。比べてレーゼンビーは胸毛が少なかったのは残念だが、コネリー以上に「パワーのあるボンド」だったと思う。仮面ライダー世代の僕は「技の1号、力の2号」という言葉を思い出すが、まさにそんな位置づけが出来たんじゃないか。
ただ左ほほにあるでかいホクロもどきは整形手術でとるべきだった。アップになったとき目立ってしょうがない。
しかし作品としては好きじゃない。一番許し難いのは登場人物の設定だ。
「女王陛下の007」はレーゼンビーが一度きり主演した作品であると同時に、ボンドの一度だけの結婚エピソードが描かれていることで有名な作品である。初見の僕もどんな経緯でボンドが結婚することになるのか、大いに注目していた。ところが、そのきっかけに驚いた。ボンドは犯罪組織ユニオン・コルスのボスから「ウチのふらふらしてる娘と結婚してやってくれ」と頼まれるのだ。よりによって英国諜報部員が、である。例えばマル暴の若手エリートが、暴力団の親分に「ウチの娘、もろたってくれや」と頼まれて結婚するか?しないだろ。
もちろん最後はボンドが本気になって結婚するわけだけれど、相手役のダイアナ・リグもパッとしない女優だったし、なんとも腑に落ちない展開でガッカリした。
許せない設定のもう一つはブロフェルドが元気すぎたこと(笑)。
今回はテリー・サラバスが演じているというので、「何かあるな」とは思っていたけれど、今まで猫の頭をなで回していたブロフェルドが突然最前線で身体を動かし始めるのだ。自らスキーを履いてボンドを追いかけ、クライマックスでは猛スピードで走るボブスレー上でボンドとタイマン勝負する。今までは一体何だったんだ。
他にもアクションシーンの撮影と編集が下手すぎたり、ブロフェルドの企みがいまひとつよく分からなかったり、ユニオン・コルスのボスの考えが掴めなかったりと、作品としては不満だらけの1本。
褒められるのはエンディングの思い切りの良さくらいだろう。必要以上に湿っぽくならない編集には好感が持てた。
余談だが、ここまでのシリーズすべてを観ている人に向けてのサービスカットがあったのは可笑しかった。ユニバーサル貿易内のボンドのオフィスがはじめて登場し、その机の中からハニー・ライダーのナイフ、レッド・グランドのワイヤー仕込みの腕時計、サンダーボール作戦で使った小型ボンベが出て来る。女はあっさり捨てるのに、物には執着する男らしい(笑)。ボンドがそれらを手にするごとに、それぞれの回のテーマ曲がBGMで流れるのも一興だ。
それにしても「女王陛下の007」というタイトルの意味は分からなかった。
JAMES BOND 007 WILL RETURN
in “DIAMONDS ARE FOREVER”
シリーズ6作目。初見。
ジョージ・レーゼンビーが一度だけボンドを演じた作品である。強烈な印象を残すショーン・コネリーのあとだけに賛否両論あったレーゼンビーだが、僕は「なかなか良かった」と思う。評価するポイントは2つ。
まず「よくぞ引き受けた」という男気に10ポイント(笑)。コネリーが復帰した7作目を観てみないとハッキリしたことは言えないが、続く8作目でロジャー・ムーアがボンド役を引き受け易くなったんじゃないかと思う。
僕の想像ではこうだ。
7作目で復帰したコネリーは「いいんだけど、ちょっと飽きた」。そして8作目のムーアは「レーゼンビーよりマシ。だからいい」という世論だったんじゃないだろか。つまりレーゼンビーはシリーズ全体を考えたときの功労者という意味だ。
もう一点は思いのほかいい身体をしていたこと。
「007は二度死ぬ」のときのコネリーはすでに身体がダブついていて、僕は「コイツ、楽してやがんな」とガッカリした。比べてレーゼンビーは胸毛が少なかったのは残念だが、コネリー以上に「パワーのあるボンド」だったと思う。仮面ライダー世代の僕は「技の1号、力の2号」という言葉を思い出すが、まさにそんな位置づけが出来たんじゃないか。
ただ左ほほにあるでかいホクロもどきは整形手術でとるべきだった。アップになったとき目立ってしょうがない。
しかし作品としては好きじゃない。一番許し難いのは登場人物の設定だ。
「女王陛下の007」はレーゼンビーが一度きり主演した作品であると同時に、ボンドの一度だけの結婚エピソードが描かれていることで有名な作品である。初見の僕もどんな経緯でボンドが結婚することになるのか、大いに注目していた。ところが、そのきっかけに驚いた。ボンドは犯罪組織ユニオン・コルスのボスから「ウチのふらふらしてる娘と結婚してやってくれ」と頼まれるのだ。よりによって英国諜報部員が、である。例えばマル暴の若手エリートが、暴力団の親分に「ウチの娘、もろたってくれや」と頼まれて結婚するか?しないだろ。
もちろん最後はボンドが本気になって結婚するわけだけれど、相手役のダイアナ・リグもパッとしない女優だったし、なんとも腑に落ちない展開でガッカリした。
許せない設定のもう一つはブロフェルドが元気すぎたこと(笑)。
今回はテリー・サラバスが演じているというので、「何かあるな」とは思っていたけれど、今まで猫の頭をなで回していたブロフェルドが突然最前線で身体を動かし始めるのだ。自らスキーを履いてボンドを追いかけ、クライマックスでは猛スピードで走るボブスレー上でボンドとタイマン勝負する。今までは一体何だったんだ。
他にもアクションシーンの撮影と編集が下手すぎたり、ブロフェルドの企みがいまひとつよく分からなかったり、ユニオン・コルスのボスの考えが掴めなかったりと、作品としては不満だらけの1本。
褒められるのはエンディングの思い切りの良さくらいだろう。必要以上に湿っぽくならない編集には好感が持てた。
余談だが、ここまでのシリーズすべてを観ている人に向けてのサービスカットがあったのは可笑しかった。ユニバーサル貿易内のボンドのオフィスがはじめて登場し、その机の中からハニー・ライダーのナイフ、レッド・グランドのワイヤー仕込みの腕時計、サンダーボール作戦で使った小型ボンベが出て来る。女はあっさり捨てるのに、物には執着する男らしい(笑)。ボンドがそれらを手にするごとに、それぞれの回のテーマ曲がBGMで流れるのも一興だ。
それにしても「女王陛下の007」というタイトルの意味は分からなかった。
JAMES BOND 007 WILL RETURN
in “DIAMONDS ARE FOREVER”
女王陛下の007 (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
2010-05-03 00:00
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コメント(4)
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ジョージ・レーゼンビーはいろいろと気の毒だと思いました。
頑張っていたと思います。
ラストの雪のアクションは快調ですね。
タイトルの意味ですが、イギリスの戦艦とかは艦名の頭に「女王陛下(HMS)」と付くわけです。
軍艦が国王の所有物とされていた時代からの伝統です。
なので007はイギリスの公的な兵器の扱いという事ですね。
by きさ (2010-05-03 07:54)
なるほど、そういうことなんですね。つまり007は誰かのものになるなと。
いつも解説ありがとうございます。
by ken (2010-05-03 11:39)
ジョージ・レーゼンビーは当時人気のあったモデルと聞きましたが
顔が濃いのに地味なのと、濡れたシャツから透けて見えたチ○ビ(笑)に
気持ちが萎えてしまったのとで、乗らないまま見終わった感ありです。
仰るとおり、どうしてこの女性と?な気持ちもありましたね。。。。
by うつぼ (2010-05-09 17:15)
コネリーのセクシーさをパワーアップさせようとして、
シャツを濡らしてビーチク見せたりしたんでしょうねw
萎える気持ちも分かります。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-05-10 01:36)