チーム・バチスタの栄光 [2010年 レビュー]
「チーム・バチスタの栄光」（2008年・日本） 監督：中村義洋 脚本：斉藤ひろし、蒔田光治
このタイトルを知らない人はきっと此処にはいないだろう。だから助走はすっ飛ばす。
映画化に当たって、不定愁訴外来の医師・田口公平を田口公子と女性に置き換えたアイディアは良かった。テレビ版で田口を演じた伊藤淳史を否定するつもりはないけれど、劇場の集客を考えたら女性にするのが正解だ。だからって竹内結子が良かったかわけじゃない。個人的には気に入らなかった。
俳優陣の話を先にしてしまう。
僕が竹内結子に物足りなさを感じたのは、単純に彼女の芝居が下手だからだ。確かに「グチ外来の医師」という正解の見つからない人間になりきる難しさはあったかも知れない。しかし正解がなければ逆に何をやっても許されるわけで、なのに役柄を作り込もうともしない姿勢がそもそも気に入らなかった。僕はもう一人の主人公である白鳥圭輔（阿部寛）が登場するまでの間、何度「観るの止めようかな」と思ったか分からない。
一方で阿部寛はさすがだ。本作では厚労省のキレモノ役人という設定だが、こういった強引かつ横柄な役をやらせたら天下一品。キャスティング会議では堤真一や佐藤浩市の名前も挙がっただろう。しかし阿部寛こそがベストなキャスティングだったと思う。
天才心臓外科医、桐生恭一を演じた吉川“モニカ”晃司も良かった。大して難しい役ではなかったけれど、彼の落ち着きぶり（あるいは大物ぶり）がとても良く生かされた設定で、役にも役者にも好感が持てた。
原作に描かれた医局政治の部分は尺の関係で消化不良にならざるを得なかったものの、國村隼、平泉成、佐野史郎、野際陽子といったキャスティングは充分な重石になっていただろう。
本作の特徴は「コミカルな描写を擁するミステリー」であることだ。
成功率60％という拡張型心筋症の手術、通称バチスタ手術を脅威の成功率でこなしていく東城大学病院の“チーム・バチスタ”。ところがある日を境に、3例続けて術中死が発生してしまう。事故か、医療ミスか、それともスタッフの故意か。内部調査に任命された田口公子は聞き取り調査を始めるが、問題は見つからない。そこで外部からの調査官として厚労省の白鳥圭輔がやって来る…。
白鳥の登場によって本編は一気に面白味を増すのだが、ミステリーの中にコミカルな要素を持たせるのは、なかなか難しいものだと思った。なぜなら緊張感を持たせるためにコミカルな要素は不要だからだ。それでもこれらを包括できるなら、作品の完成度は確実に上がるだろう。
では本編はどうだったか。
阿部寛のおかげでコミカルな面は楽しめた。しかしミステリーとしては不完全燃焼だった。足りなかったのは院内の緊張感と犯人の動機、そして何より謎が解明されるカタルシスである。
テレビ局が制作する映画は、地上波での放送を考えて、どうしても2時間以内に入れようとする。だから原作モノの場合は特に説明不足になったり、食い足りなかったりするのだが、その悪しきパターンが本作でも出たように思う。阿部寛がいるから、あと20分は長くてももったと思うのだが。
一応、堺雅人が出ている続編も観てみよう。
![チーム・バチスタの栄光 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51gCQtegUpL._SL160_.jpg "チーム・バチスタの栄光 [DVD]")
このタイトルを知らない人はきっと此処にはいないだろう。だから助走はすっ飛ばす。
映画化に当たって、不定愁訴外来の医師・田口公平を田口公子と女性に置き換えたアイディアは良かった。テレビ版で田口を演じた伊藤淳史を否定するつもりはないけれど、劇場の集客を考えたら女性にするのが正解だ。だからって竹内結子が良かったかわけじゃない。個人的には気に入らなかった。
俳優陣の話を先にしてしまう。
僕が竹内結子に物足りなさを感じたのは、単純に彼女の芝居が下手だからだ。確かに「グチ外来の医師」という正解の見つからない人間になりきる難しさはあったかも知れない。しかし正解がなければ逆に何をやっても許されるわけで、なのに役柄を作り込もうともしない姿勢がそもそも気に入らなかった。僕はもう一人の主人公である白鳥圭輔（阿部寛）が登場するまでの間、何度「観るの止めようかな」と思ったか分からない。
一方で阿部寛はさすがだ。本作では厚労省のキレモノ役人という設定だが、こういった強引かつ横柄な役をやらせたら天下一品。キャスティング会議では堤真一や佐藤浩市の名前も挙がっただろう。しかし阿部寛こそがベストなキャスティングだったと思う。
天才心臓外科医、桐生恭一を演じた吉川“モニカ”晃司も良かった。大して難しい役ではなかったけれど、彼の落ち着きぶり（あるいは大物ぶり）がとても良く生かされた設定で、役にも役者にも好感が持てた。
原作に描かれた医局政治の部分は尺の関係で消化不良にならざるを得なかったものの、國村隼、平泉成、佐野史郎、野際陽子といったキャスティングは充分な重石になっていただろう。
本作の特徴は「コミカルな描写を擁するミステリー」であることだ。
成功率60％という拡張型心筋症の手術、通称バチスタ手術を脅威の成功率でこなしていく東城大学病院の“チーム・バチスタ”。ところがある日を境に、3例続けて術中死が発生してしまう。事故か、医療ミスか、それともスタッフの故意か。内部調査に任命された田口公子は聞き取り調査を始めるが、問題は見つからない。そこで外部からの調査官として厚労省の白鳥圭輔がやって来る…。
白鳥の登場によって本編は一気に面白味を増すのだが、ミステリーの中にコミカルな要素を持たせるのは、なかなか難しいものだと思った。なぜなら緊張感を持たせるためにコミカルな要素は不要だからだ。それでもこれらを包括できるなら、作品の完成度は確実に上がるだろう。
では本編はどうだったか。
阿部寛のおかげでコミカルな面は楽しめた。しかしミステリーとしては不完全燃焼だった。足りなかったのは院内の緊張感と犯人の動機、そして何より謎が解明されるカタルシスである。
テレビ局が制作する映画は、地上波での放送を考えて、どうしても2時間以内に入れようとする。だから原作モノの場合は特に説明不足になったり、食い足りなかったりするのだが、その悪しきパターンが本作でも出たように思う。阿部寛がいるから、あと20分は長くてももったと思うのだが。
一応、堺雅人が出ている続編も観てみよう。
- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
- メディア: DVD
- 作者: 海堂 尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
じゃあ。ジェネラルルージュも見れるね。
by **feeling** (2010-05-29 23:42)
映画というよりテレビドラマを見ている感じでした。
面白かったのですが、竹内結子があまりにもバカに見えました。
あれじゃ診療内科医が怒るよ・・と。「人工心肺」を知らない、というのは
どう考えも嘘っぽく感じました。
ラストは、最初はナルホド！、2回目はちょっと理由希薄。
阿部ちゃんがかなり面白くしてくれてると思いました。
by Sho (2010-05-30 06:30)
犯人、小者でしたよね・・・。カタルシス0でした。
私も、TVドラマにしておけばよかったのにって、思ったクチです。
などなど、続編楽しみにしてます^^
by クリス (2010-05-30 15:07)
こんばんは。
田口先生のキャラクターは小説、映画、TVドラマそれぞれがみんな違っていて
何だか不思議だなあと思ってます。
映画が一番お間抜けなキャラクターになっているのが寂しいです。
やっぱり小説が一番！コミカルではないですけど(^^ゞ
「ジェネラル・ルージュ」の感想も楽しみにしています☆
by non_0101 (2010-05-30 23:19)
>**feeling**さん
そうですか。観られますか。
nice！ありがとうございます。
>Shoさん
人口心肺知らないのは、ナシですよね。僕だって知ってるのに。
nice！ありがとうございます。
>クリスさん
テレビドラマで十分なスケールでした。次回作は堺雅人狙いで。
nice！ありがとうございます。
>non_0101さん
そうですか。映画が一番マヌケだったんですね。納得w
それにしても皆、次回作に期待してますね。面白いのかしら？？？
nice！ありがとうございます。
by ken (2010-05-30 23:38)
原作も白鳥ありき、でしたよ。謎解きよりも白鳥ですね。そして私も阿倍寛しか考えられません。
吉川“モニカ”晃司（笑)は仮面ライダーダブルでもすごくいいです。大した芝居は必要なくて、でもヒロイックな役柄に合いますね。
続編は謎ときよりもその後のクライマックスにグッときました。山本太郎がすごく現場っぽさを出していて、いい仕事してました。
by satoco (2010-05-31 00:19)
うえっ、吉川“モニカ”晃司が、仮面ライダーに出てる?! 知りませんでしたー。
続編、悪くなさそうですね。でも期待しないようにしようw
nice！ありがとうございます。
by ken (2010-05-31 09:16)
↑ そう，仮面ライダーに出てたんですよ。私もちょっと，観ようか・・・と
思っちゃいました(笑)
この映画をやってる時，すごく楽しみだったのに観そびれて，
テレビドラマが始まったので，それを観ました。
結構面白かったので。
kenさんのレビューを読んだら，阿部ちゃんとモニカは観たいけど，
結子さんが想像できちゃって，どうしょう・・・・
ちなみに，ジェネラルルージュ・・・のテレビドラマは見てません。
面白く無さそうで・・・
by 漣花 (2010-05-31 14:59)
竹内結子は無いものとして、阿部ちゃんだけは観たほうがいいです。
ソフトボールのシーンで、バットの持ち方だけが、
「さてはこいつ、シロウトだな」
と思うような握りだったのですが、あとはカンペキでしたよ。
nice！ありがとうございます。
by ken (2010-05-31 20:27)