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プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 [2010年 レビュー]

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」(2010年・アメリカ) 監督:マイク・ニューウェル

 パリ行きNH205便のイチオシ映画は、今年リメイクされた「ベスト・キッド」だった。
 オリジナルが日本で公開されたのは今から25年前。この年「ポリス・ストーリー/香港国際警察」で監督・主演を務め、その人気を不動のものにしたジャッキー・チェンが、四半世紀後にまさかパット・モリタの演じた役をやろうとは。
 時の流れと共にうつろうジャッキーの俳優人生を見つめてきた僕たちは、是が非でも観なければならない作品だと思い、数ある機内上映から迷わずチョイスしたが、どういうわけか北京語に字幕がついていない。ついていたのは英語字幕だった。残念。これは近いうちに必ず観よう。

 枕が長くなった。チョイスの理由は主演のジェイク・ギレンホールである。
 「ブロークバック・マウンテン」「ジャーヘッド」「ゾディアック」と観る限り、ナイーブな役どころが巧い俳優が、ジェリー・ブラッカイマーのアクション映画の主演である。そもそも、このキャスティングは意外だった。作品としてはあまり興味がなかったのだけれど、ジェイクのキャスティングがどれほどはまっているかが知りたくて観た。

 古代ペルシャを舞台に、“時間の砂”を操ることが出来る短剣の争奪戦を描いたアクション・アドベンチャー。ジェイク・ギレンホールが演じるのはスラム出身ながら養子として王宮に迎えられた第3王子のダスタン。彼と行動を共にするのは“時間の砂”を邪悪な者から守る使命を与えられた聖なる都アラムートの姫タミーナ(ジェマ・アータートン)。王を亡き者にし、自ら国を支配しようと企む叔父のニザムにベン・キングスレー。この重石が効いていてドラマはなかなか魅せるが、いかんせんヒロインのジェマ・アータートンがまったくそそらない。一昔前ならゼッタイにキャサリン・ゼタ=ジョーンズにやって欲しい役どころだが、今はこの手をやれる女優がいないのか。ここにいい女優がはまっていないだけで僕の中では大きく減点。惜しい。
 一方ジェイクは素晴らしく良かった。一番良かったのはビジュアル(笑)。意外と脱いだらスゴかった美しい筋肉は、きちんとトレーニングしたあとが見えて、そんなところも好感が持てた。

 映画として。
 設定が設定だけに当然デジタル処理されたカットが全編を支配しているが、舞台設定が現代じゃないから許せてしまった。おそらく砂漠シーン以外は世界中どこへ行っても撮影のしようがないだろうし、ゼロから作るしかない映画なら全編デジタル処理も致し方なし、という価値観を僕は持っているんだろう。言うなればCGアニメーションと変わらないというワケだ。
 ただ脚本には一言ある。
 本作は父親殺しの汚名を着せられたダスタンが、その真相を暴くために旅する物語である。そこに“時間の砂”という魔法のアイテムがあって、観客は当然「父を生き返らせる瞬間がいずれ来る」と期待をしている。つまり結果はさておき、「ではどうやって途中楽しませてくれるのか」という思いでいるのだ。結論から言うと途中はまずまず楽しめた。とすれば、あとは落とし前のつけ方さえ間違わなければ作品としては成功である。
 ところが。
 観客が「当然」とイメージしていた結末に至らないのだ。これだけは大きな不満として残った。「ベタなシーンを入れるまでもないだろう」という製作者たちの思いは伝わらなくもないが、「あって当然」と思っていた僕にはちょっと肩透かしを食った気分。
 ただ機内上映で映像のスケールを満喫できなかった分、脚本にシビアになったかも。
 ジェイクファンには確実にオススメ。

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コメント 2

きさ

ギレンホールというと「遠い空の向こうに」の印象が強いので、いつまでもロケット・ボーイの印象ですが、本作では見違える様に体を鍛えてマッチョでした。
映画はなかなかおもしろかったです。
ただ「時間の砂」はかなり都合いいアイテムですが。
中盤はちょっとダレる感もありますが、最後が盛り上がったので良かったです。
でもラストはえ~、と思いましたが。
ジェマ・アータートンは「タイタンの戦い」と同じ様な役ですが、ヒロインと
してはちょっと弱いかな。
ベン・キングズレーがさすがの重みを見せています。

by きさ (2010-09-25 08:41) 

ken

この作品は、ベン・キングスレーがいなかったら、途方も無く軽い映画に
なっていたでしょうね。そう思うとぞっとします(笑)。
by ken (2010-09-25 12:28) 

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