アイアンマン2 [2010年 レビュー]
「アイアンマン2」(2010年・アメリカ) 監督:ジョン・ファヴロー
「原作モノの映画と言えど、読まずとも愉しめなければ映画にあらず」
これは僕の永年の持論だ。今も変わらない。
きっと80年代の角川映画に触れて育ったからだと思う。
角川春樹事務所が制作していた時代の角川映画は(作品のクオリティはともかくとして)、ひとつだけ高く評価できる点がある。日本映画史的には「映画でメディアミックスを成功させた一例」となるのだが、個人的には「映画と原作がもたれ合うことなく、独立した作品として成り立っていたこと」こそ評価すべきだと思っている。もちろん大半は原作から先に世に出ているから、正しくは「映画が原作を頼っていなかった」だが、その企業姿勢は「人間の証明」(1977)公開時の有名なキャッチコピー、「読んでから見るか、見てから読むか」にも表われている。
近年の原作モノ映画は、その大半が原作本のヒットに便乗する形で成り立っているが、80年代の角川書店と角川映画はこのキャッチコピーからも分かるとおり、「映画が面白かったら、原作もぜひ」という姿勢だったのだ。と言うことは、「読まずとも面白い映画」でなければ文庫本のセールスにはつながらない。だからこそ角川映画は、原作にもたれない映画作りを目指していたのである。
僕は角川春樹のこの姿勢を今も高く評価している。そして気が付けば僕の持論になってしまった。
そんな理由から、「アイアンマン」はおもいきり酷評した。
原作に触れていなければ、理解し難い世界観に満ち溢れていたからである。それはまるで「一見さんに親切じゃない老舗料理屋の新装オープン」みたいだった。
ところが「アイアンマン2」は、この人が出てると聞いただけで観たくなった。
スカーレット・ヨハンソンである。
目を疑うファンもいるはずだ。
「マトリックス」のトリニティーのようなポーズを決めたこの女子がスカーレット?!
原作を読んでいようがなかろうが、僕の中では関係なくなってしまった。原作にスカーレット演じるキャラがいるのかどうかも関係ナシ。つまり僕の中でこの作品は「原作に頼らない(極端に言えば、原作なんてどうでもいい)映画」にカテゴライズされてしまったのだ。
確かに原作を知らなければキャッチできない情報も数多くまぶしてあっただろう。それを前作では批判したのだけれど、本作に限っては興味すらなかった。僕はスカーレットの一挙手一投足を見逃すまいと必死になっていたのだ。
そうは言いつつも。
単にヒーローとしてだけでなく、巨大軍需企業の社長であるが故に見舞われるトラブルや、プライベート上の問題など、「スーパーマン」や「バットマン」とは異なる背景に慣れて、ハードルが低くなったのも事実。さらにミッキー・ロークの存在も大きく意外と愉しめてしまった。
「アイアンマン」は「アベンジャーズ」へとつながるプロジェクトでもあり、この辺りをもう少し上手く宣伝すれば、日本での興行成績も変わったと思うのだが、どうだろうか。
個人的には次回作にもスカーレットの登場を望むばかりである。彼女のアクションを観るだけで心が満たされる(笑)。
これは楽しかったです。
私も1よりずっと楽しめました。
ヨハンソンのスピンオフという話もあるそうで、それは見たいです。
by きさ (2010-09-25 08:36)
グレイトな企画ですね。ゼッタイに作って欲しいです。
by ken (2010-09-25 12:27)
角川春樹評、強くうなづいております。
by inuneko (2011-01-14 02:47)
我ながらよく書けてるなと思いましたw
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-01-15 23:47)