こころの湯 [2004年 レビュー]
「こころの湯」(1999年・中国)
再開発が進む中国のとある下町。そこで銭湯「清水池」を経営する父リュウと知的障害者の息子アミン。
ある日アミンが、さも父が病床に伏しているような絵を描き、兄へハガキを送ったことから都会で働く長男ターミンが帰ってくる。しかし、リュウは何事も無く元気で働いている。銭湯の馴染み客たちも長男の不意の帰省に「何事か?」といぶかる。
リュウとターミンは永年抱えたわだかまりのためにしばらくはギクシャクしているが、やがてそれも打ち解けていく。
父の存在感を再認識したターミンはしばらく店を手伝うことにし、家族3人での平和な生活が始まるがそれもつかのま「清水池」にもいよいよ立ち退きの通知が届く…。
銭湯に集まる常連客たちのエピソードを「枝葉」にして、縦軸の物語(親子関係)をいかに充実させるかが作品の出来不出来を左右するパターンの構成なんだけど、枝葉部分のエピソードが少し緩いんです。リュウの亡くなった妻の“入浴にまつわるエピソード”だけが飛びぬけて面白いため、余計に他が辛く感じるのかも。
家族を演じる3人はそれぞれにすばらしく、特に父リュウを演じたチャウ・シュイの芝居は、演技であることを忘れさせる名演です。
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