深呼吸の必要 [2005年 レビュー]
「深呼吸の必要」(2004年・日本)
一度はレンタル店で手に取りながら、でも観ないでいた映画です。
観なかった理由は内地の人間が主役だったこと。観ることにした理由はよーこさんの記事をよんだからです。よーこさんはeriさんの記事を読んだから観ることにしたそうですが、こういう伝染って悪くないなあと思ってました。
内地から沖縄へやって来た若い男女が日当5,000円でさとうきびを刈る物語です。
もちろんタダモンじゃありません(笑)。それじゃ映画にならないからね。
ファーストシーンがすごくいいです。25メートルプールを泳ぎきった女の子の満足げな笑顔。もちろん何かの伏線だと皆が気付くんだけど、僕の場合はこのシーンで過分な期待をしてしまいました。まったく、へたな期待はするもんじゃないよ。
僕は沖縄が好きだから沖縄を描いた映画も大好きなんだけど、沖縄を撮り切れていない映画は好きじゃない。「じゃあオマエ撮れるのかよ?」って聞かれたら、「判らない」としか答えられませんが、中江裕司監督が撮るあの空気感は「深呼吸の必要」にはなかったと思います。でも唯一、ひなみと池永がアイスクリームを食べながら帰るシーンだけは最高に良かった。
だから沖縄映画としてではなく、普通の映画として振り返ってみます。
あ!長澤まさみが出てる!はい合格(笑)。相変わらず可愛いねえ。でも、この映画の中じゃ笑わないキャラなのね。君は笑顔がいいのに~、それじゃつまらーん。…と、そんな話じゃなく。
すごく淡々とした物語です。ただ悪い意味じゃありません。普通だったらぐずぐず書きたくなるいくつかのシーンを、どちらかというと潔いくらいに何も語っていない。トラブルも起こさない。
若い男女が単身沖縄までさとうきびを刈りに来るくらいだから、皆何かしらの問題を抱えているはずなのに、それをぐだぐだ語らず余計な事件を起こさないところはいい。
だけど本編の半ば、激しい雷雨の夜に若者たちがさとうきびを心配するシーンで、おじいとおばあに「だめになったらまた一からはじめるだけさあ」と言わせた瞬間、この映画の使命は終わったと思います。結論を喋らせちゃったからね。
ここから残りの40分は、最早ゴール(刈り切るか否か)できるのかどうかというエピローグだったように思います。
長澤まさみの役どころはリストカットした高校生だった。
このキャラクターがどうやって自分と折り合いをつけるかについても、ほとんど何も語っていない。その辺りは脚本のすごさを感じました。
ただし脚本の構成はいいんだけど、台詞回しはいまいち。なんだか舞台の台詞みたいでした。
僕が子供の頃、何かに行き詰ったら行く先は北海道の牧場だった。
ドラマ「赤い疑惑」で、八方塞になったの三浦友和も確か牧場で働いていた。それが今では沖縄という選択肢もあるのか、と思ったら無性に行ってみたくなった。
「おまえ、この期に及んでまだ壁にぶつかってんのかよ!」
って自分に突っ込みたくなるけどね(笑)。
結論。
この映画を沖縄映画というジャンルには入れたくない。でも青春映画としてはなかなかイケる映画だったと思います。この作品を観て、「よし」と思う若者がいることを願います。
こんばんは。TBありがとうございます。
kenさんに記事を書いてもらうと 自分の言葉の足りないところを
補ってもらったようで、ありがたいです。
確かに沖縄映画とはいえないかもしれないけどいい映画にであえて
よかったと思ってます。
by (2005-03-30 20:08)
考えてみたら「オキナワ映画」って分け方もヘンな話ですよね。
何にしても「自立」って大切なんだと思わせてくれる映画でした。
「大人問題」を読み終えた直後だったので、余計にそう思いましたね。
by ken (2005-03-31 00:41)
「ミレニアム・マンボ」にTBありがとうございました。
これにもTBさせていただきました。
by NIKO (2005-03-31 19:35)