オールド・ボーイ [2005年 ベスト20]
「オールド・ボーイ」（2003年・韓国） 主演：チェ・ミンシク、ユ・ジテ
専門家はこの映画を絶賛している。
クエンティン・タランティーノも大絶賛で、彼が審査委員長を務めた2004年のカンヌではグランプリを獲得した。
しかし、ちゃんとお金を払ってこの映画を観た人たちの声は、専門家たちのそれとは少し違っていた。いや正しくは「違う意見を持つ人たちが少なからずいた」だ。
だから僕は今日、「面白いっていう人もいれば、ちょっとキツイという人もいる映画」と認識してDVDの再生ボタンを押した。「チェ・ミンシクが主演の映画で面白くない映画なんてあるのかな？」と思いながら。
これは、【15年も監禁されていた男が復讐をする物語】です。
僕は予備知識ナシで映画を観るのが好きなので（作り手の立場に立って考えたら、白紙状態の人に見せるつもりで作っていると思うので）、この程度の情報で充分。だからこそ驚いたことがたくさんあります。ヘタな情報を持ってしまうと冒頭の18分はあまり楽しめません。断言します。
不幸にも余計な情報をインプットしてしまった方。ま、安心してください。それでもこの映画に驚くことはいくつかあります。映像も、展開も、そして結末も。
＊この映画を観ようと決めていて、でもまだ観ていない人はここから先、行っちゃダメです。
観ようかどうしようか悩んでた人は、思い切ってボタン押しちゃって下さい。
この映画を「キツイ」と言った人の気持ちも判ります。実際、僕も途中は「キツイ」と思いました（ついでに言うとすごく体力を使います）。
ところがエンドマークが出る直前、僕は不覚にも泣いてしまいました。
その理由。単純に感動してしまったからです。
わけもわからず15年も監禁されるという突拍子もない設定のドラマで、途中あまりにも理不尽な展開があるにもかかわらず、後半さまざまな謎が解けていくことで、そのすべてが計算し尽くされたものだったと気付く衝撃。そして原作と異なる結末。美しい映像。
僕にとっては「殺人の追憶」に匹敵するラストシーンだったかも知れません。
この映画は音楽も秀逸。
音楽プロデューサー、チョ・ヨンウクの希望で3人の作曲家が登用され、その中の1人、イ・ジスは当時ソウル大学在籍中で若干23歳！しかも彼は『シルミド』の映画音楽も担当し、『冬のソナタ』ではペ・ヨンジュンの代役としてピアノを弾いていたそうです。
そんなプチ情報はいいとして（笑）、この映画ではワルツが効果的使われていて、オリジナルスコアの「cries and whispers」やエンディングの「the last waｌｔz」などはあまりにもせつなくてせつなくて、もう一度最初から観たくなるような名曲です。
役者はチェ・ミンシク（やっぱりこの人スゴイ）も、ユ・ジテ（今回はハマリ役だったかも）もいいんですが、監禁されてた「オジサン」の世話を焼くカン・ヘジョンがサイコーーーーーにいいです！。
オープニングのクレジットの出し方もセンスがあっていい。
脚本のセリフもすごく練りこまれていい。
唯一、「敵の敵は友」ってところだけが僕は判らなかったけれど。
でもセリフで一番良かったのはこれ。
「正しい質問は“なぜ監禁したのか”じゃない。“なぜ解放したのか”だ」
一歩間違うと説明セリフになりかねないんだけど、この作品のすべてを物語る名セリフです。
誰かが「キツイ」と言おうが僕はこの映画に「傑作」のハンコを押します。
そして、ここまで読んで「観てみよう」と思ってくださった方。
ありがとうございます。ぜひ万全の体調でご覧になってください。
この映画を真正面から受け止めるためには、かなりの体力が必要ですから。
では僕はこれから、このDVDを買いに行って来ます。
どうしてもメイキング他特典映像が見たくなったもので。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/04/02
- メディア: DVD
はじめまして！ＴＢさせていただきました☆ＤＶＤもう買われましたか？
「正しい質問は“なぜ監禁したのか”じゃない。“なぜ解放したのか”だ」
私もあのセリフは大好きです。
あのセリフとワルツのハミングが、この映画の最大の見所の様な気がします。
ラストまで一気に駆け抜ける衝撃は、あまり味わったことのない感覚でした。
「殺人の追憶」同様、実に抜けのない、すばらしい映画です。
殺人の追憶といえば、メイキングにソン・ガンホが出てましたね（＾＾）
なんか、ああゆうのいいですよね☆
by chi-noji (2005-04-09 19:49)
chi-nojiさん、はじめまして。「nice!」ありがとうございます。
DVD買いましたよ～（笑）。
まだインタビューしか観ていませんが、なんだかもったいなくて
ゆっくり観てみようと思っています。
by ken (2005-04-09 21:51)
まだボタンは押してません(笑)
ちょっと気になるので今度借りてきます！！
by (2005-04-11 08:56)
ぜひご覧になって、ボタンを押してください！
by ken (2005-04-11 13:15)
初めまして。私は、あまり映画館に見に行くことは少ないのですが、映画を見るのは好きなので、レンタルとスカパー！とwowowで見てます。映画を選ぶときに、いつも参考にさせて頂いています。
この感じの映画は私は見ないのですが、この感想を読んで借りました。
＞では僕はこれから、このDVDを買いに行って来ます。
買いたくなるほどのいい作品なのだと思ったら、是非見たくなりました。
予想もできないラストでした。
また、「黒水仙」も私は題名から見なくてもいいかと思ってましたが
こちらを読んで、このまえスカパー！で放送していた物を見ました。
両方とも素通りしなくて、見て良かったと思える映画でした。
by youko (2005-04-21 15:41)
youさん、ありがたいコメントを頂戴して、もったいない限りです。
実は「オールドボーイ」のエンディングに関しては、いろんな人と
お話をしてみたいと思っていました。
近いうちに記事を書きますので、また覗きに来て下さいね。
by ken (2005-04-21 16:25)
こんにちは、コメント頂いたむらましおです。
僕もラストに感動したクチなので、「殺人の追憶」、気になります。今度見てみようかなと思う次第。
ぜひＴＢさせてくださいm( __ __ )m
by むらましお (2005-04-25 22:00)
むらましおさん。
「殺人の追憶」もなかなかヘビーな映画です。
体調を整えてからお楽しみ下さい＾＾
by ken (2005-04-26 12:30)
見ました昨日。おもしろかった～
久しぶりに、画面から・はじめから・目が離せず。
こんな映画に出えたことに感謝です。
by keiko-nari (2005-04-30 23:45)
人も映画も本もレコードも
「いい」と思えるものに出会えたときの感動は
何物にも代え難いものがあります。
keikoさんにとっても「いい映画」で良かったです＾＾
by ken (2005-05-01 02:59)
…やっとボタンを押せました(涙)
今度は「殺人の追憶」を観ることにします！！
by (2005-05-09 00:38)
時間かかったね。でもボタンを押せて良かったです＾＾
「殺人の追憶」も体力を温存して観て下さいね。
by ken (2005-05-09 01:27)
確かによくできた映画ではあるけれど、私にはストーリー展開が腑に落ちませんでした。映画前半から娘のことが気になっていたので、最後の種明かしもそんなに驚きませんでした。監禁した犯人探しも重要だけど、肉親探しもするでしょ普通は。催眠術のせいにするというのは、かなり安直な設定だと思うのですが・・・・
だけど、音楽は美しいし、主役の演技は鬼気迫るものがあり素晴らしいと思いました。
by domiz (2005-05-15 20:45)
言われてみれば家族を一番に探すのが人間心理かも知れませんね。
もう一度観てみよう。
by ken (2005-08-05 17:47)
始めまして・・・
一昨日「オールドボーイ」を見たのにまだ心が震えています。
おもしろい映画でした。
残虐な場面もあってギャーーーー！とは思いましたが・・
ラストで全て許された感じです。
最終カットのオ・デスの微笑みが忘れられません。
ミド役の女優さんも可憐で良かった。
あと、歯を抜かれた俳優さん、名前はわからないのですが
すごく印象的でした。
by きこり (2007-02-08 17:58)
復讐三部作、残りの2作はご覧になりましたか？
僕は三部作の中で一番の出来栄えだと思いますが、いかがでしょうか？
by ken (2007-02-09 02:45)
はじめまして！
私はこの映画に美しさを感じました。
変人と思われるかもしれませんが、泣いていました。
疲れたけど心地よい映画でした。一生忘れないでしょう....。
by ayasolo (2009-12-10 13:12)
ようこそ。
僕もこの映画は美しい作品だったと思います。
そして僕もさめざめと泣きました。
しかも、このサントラだけは、今もヘビロテしてます。
nice！ありがとうございます。
by ken (2009-12-11 16:27)
レビューを読んで、また観たくなってきましたぁ！！！
by u_yasu (2010-12-28 02:41)
僕も5年観ていないので、そろそろ観てみたくなりました！
nice！ありがとうございます。
by ken (2010-12-28 23:05)