BAR(バール)に灯ともる頃 [2006年 レビュー]
「BAR(バール)に灯ともる頃」(1989年・イタリア) 監督:エットレ・スコーラ
ダメダメ邦題にムカつくことは沢山あっても、褒められるタイトルに出会うことはなかなかありません。ここ数年で僕がいいなと思った邦題は、
「死ぬまでにしたい10のこと」 (原題:MY LIFE WITHOUT ME)
「失われた龍の系譜」 (TRACES OF A DRAGON)
「クジラの島の少女」 (WHALE RIDER)
「恋愛適齢期」 (SOMETHING’S GOTTA GIVE)
…くらいでしょうか。意外と少ないもんです。
そんな中、「CHE ORA E?」(今何時?)という原題のイタリア映画に「BAR(バール)に灯ともる頃」というタイトルをつけたセンスは悪くないと思います。
今回はこのタイトルと、“久し振りに再会する父と子の気まずい関係”と言う内容に惹かれてこの作品を観てみることにしました。
往年の名優、マルチェロ・マストロヤンニが初老の裕福な弁護士を、「イル・ポスティーノ」のマッシモ・トロイージがその息子を演じています。
僕の経験で言うと成人した息子とその父親は、地球上で最も会話の少ない「親友」のような気がします。息子にとって父とは“いつかは乗り越えなければならない存在”であり、“いつかは力関係が逆転する間柄”でもあります。そして互いにその時期の到来を感じた瞬間から疎遠になって行くのです。
この作品は父と息子、どちらの立場で観るかによって受け止め方が大きく変わります。
僕は息子の立場で観ました。息子の立場で観てしまうとどうしても「自分が理想とする父親像」と比較してしまうのですが、そのせいで僕はとても居心地の悪い思いをしました。と言うのも、劇中の父親があまりに女々しいからです。個人的には息子に依存する母親のような印象を受けてしまいました。
本心を語り合わなかった父と息子がはじめて互いの感情を爆発させ、新たな関係を構築する、というテーマは素晴らしいと思います。しかし脚本の出来はよくありません。とても残念です。
こんにちは。いつもこっそり拝見しています。
この作品はむか~し劇場で観たんですけど
ジーンズもぱんぱんな脚をしているマッシモ・トロイージが
「イル・ポスティーノ」では、あんなにやせこけちゃったのね…、なんて
妙な感慨を抱いたのを覚えてます。
この父子、確か父親はイタリア北部出身で、そこで活動してて、なのに息子は
母親と共に南部で育って、みたいな話でしたよね。
マストロヤンニとトロイージを共演させるためだけに無理やり作ったような
不自然な設定が、最後までしっくりこない作品でした。
味はあるんですけどね。
by ぱふ (2006-06-20 00:45)
ぱふさん、ようこそ。
いつもこっそりお越しいただきありがとうございます(笑)。
そう。この作品、味はあるんですよね。
で、映画なんだからお互いの感情をぶつける芝居はあってもいいと思うんですけど(なかったら、話の中身もなくなる)、その描き方には問題がありましたね。
「海辺の家」みたいに父親が余命幾ばくもない、なんて設定じゃないところは
好感が持てたんだけどなあ。
nice!ありがとうございます。またこっそり覗きに来て下さい^^
by ken (2006-06-20 01:22)