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三年身籠る [2007年 レビュー]

三年身籠る」(2005年・日本) 監督・脚本:唯野未歩子 主演:中島知子

 「血と骨」、「SURVIVE STYLE 5+」などに出演している女優が撮った長編第1作。
 脚本ってヤツは、1人で根をつめて書いてしまうとその人の人生観や価値観が如実に表われたホンになる。…ってことを思い出すほど不思議な脚本でした。
 おそらく唯野さんは、「こんな会話があったらおもしろいな」、と思いついたことを沢山メモしている人じゃないかと思います。実は僕もそうだから。それを劇中登場する2組のカップルに与えたんじゃないでしょうか?
 例えば、セックスが長い、短いで言い争うシーン。
 例えば、「女の子が言うみたいに慰めて」と中年の彼氏に甘えるシーン。
 これらは創作したキャラクターの性格に合う場合にのみ、引き出しから引っ張り出して来て使うものだと、僕は思っているんですけど、唯野さんはそんなことお構いなしにぶちまけちゃったんでしょう。「間」は嫌いじゃないんですけど、あまりに唐突で断片的なシーンの連続はストーリー映画として欠陥があると言ってもいいと思います。これが「茶の味」のような散文詩的作品ならまだしも。

 そんな理由から「三年身籠る」ことによって何を訴えようとしているのか、僕は監督の意図を汲み取る気力を失ってしまい、うまく愉しむことが出来ませんでした。
 ついでに言うと中島知子の芝居も僕はダメ。この人、基本芝居ヘタですからねえ。「だったら観るなよ」ってことなんですけど(笑)、もしかして大丈夫?って思っちゃったもんで。
 「さよならみどりちゃん」で気に入った西島秀俊はここでも良かった。まるで腹話術師のように口をほとんど開け閉めせずに喋る感じが個人的にはすごく好きです。あの奇妙なぶっきらぼう感は他の誰も真似できないと思います。
 最後に。
 女系家族のメンバーが集合して食べている料理の数々は色合いが良く、とてもキレイな映像だったと思います。そんなシーンを眺めながら「メゾン・ド・ヒミコ」や「かもめ食堂」あるいは「マーサの幸せレシピ」をふと思い出していたのですが、料理というのは実に絵になる役者ですね。観客は観ることしか出来ないのに、その存在感は何物にも代えがたいものがあるように思います。
 いろいろ勉強になりました。

三年身籠る

三年身籠る

  • 出版社/メーカー: 東映
  • 発売日: 2006/11/21
  • メディア: DVD

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