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髪結いの亭主 [2007年 レビュー]

髪結いの亭主」(1990年・フランス) 監督:パトリス・ルコント

 「親密すぎるうちあけ話」を観たときに「やっぱり観なきゃ」と思った作品。
 子供の頃「結婚するなら理容師の女」と決めた男が、中年になってようやくその夢を実現する、というハナシ。

 これは男の映画ですね。男の妄想の物語。
 「床屋」ってところは「マッサージ屋」と並ぶ2大“完全無防備”スペースで(だから昔のギャングは床屋で首を掻っ切られたり、マッサージ屋で目玉に弾丸を喰らったりしたんだけど)、実は“M男”を育てる土壌でもあるんですね。特に子供の頃から通う「床屋」に女性店員がいたらもうアウト(笑)。そこは母親以外の誰かに頭を撫で回される唯一の場所で、それだけでも妙な気分になるんだけど、その上1度でも女性店員の胸が顔に触れちゃったりしたら一発で“M男”の出来上がりとなります。
 もちろん、そうならない人もいます。そういう人は大抵「子供の頃は床屋が嫌いだった」と言います。お気づきの通りそんな彼は“S”なんですけど(笑)。
 
 主人公アントワープの気持ちが判る男はルコントの世界にずるずると引き込まれます。
 「どうしてアントワープは仕事もしないでずっと店に居るのか?」なんて野暮な疑問も抱かない。この“聖域”感を理解できなければ、きっとつまらない映画に映ってしまうでしょう。
 映画としての魅力はアントワープの夢を叶えた妻、マチルドの存在が大きい。驚くほどの美人じゃないんだけど彼女の視線にヤラれます。ヤラれる僕もM男なんですけど(笑)。
 この作品の評価を大きく分けるのは、ドラマを終わらせてしまう“ある事件”に尽きます。
 僕はこの結末を「12歳の少年のままでいるアントワープと、年老いていくだけの自分を並べてみたときに、謂いようの無い不安を感じてしまったんだろう」と解釈しました。エンドクレジットの映像に関しては、さらにいろんな解釈が出来そうですね。こういうのこそ「ゆる会」のネタかなと(笑)。
 
 ルコント作品に興味が沸いたら、避けて通れない1本。

髪結いの亭主

髪結いの亭主

  • 出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ
  • メディア: DVD

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コメント 9

keiko

私はSです・・・ってちがうか。
これ見るのをためらっている自分がいる。
なんでかな~。
by keiko (2007-05-01 08:43) 

ken

男の妄想を観て、女性はどんな感想を持つのか興味ありますけどね。
by ken (2007-05-01 09:57) 

**feeling**

あー気になる発言だ。
これは見ないとわからない・・・
by **feeling** (2007-05-01 12:48) 

ken

ぜひ。GW中に。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-05-01 13:13) 

瑠璃子

そうそう、私はこの映画を見た知人に「おっさんの妄想映画」といったら「そうかあ?」といわれてしまったんですけれども、おー、やっぱりkenさん、わかっていらっしゃるw
この映画のラスト、あの結末で終わると思っている人多いみたいですね。私はあの紙でくしゃくしゃと頭を洗う(?拭いている?)シーンが凄く好きで、高校のとき一度見たきりなんですけど鮮明に覚えてます。
ゆる会に参加できたらこの話したいなあ。そんな私は連休最後に鈴木則文という監督の多岐川裕美幻のデビュー作(黒歴史ともいう)「聖獣学園」を見てきます。
by 瑠璃子 (2007-05-01 18:02) 

この映画大好きです。
憧れの人に髪切ってもらいたいなあ(笑)。
by (2007-05-02 12:16) 

ken

>瑠璃子さん
 いや~解釈の方向が似ていて良かった(笑)。
 「ゆる会」のトークテーマとしては申し分ない1本ですね。
 「聖獣学園」!確か20年位前に見たなあ。

>脳外科医さん
 その気持ち、よーく分かります!僕も同感です!(爆)
 nice!ありがとうございます
by ken (2007-05-05 12:13) 

クリス

いやー、やっぱり男目線の感想って新たな発見がありますね。鑑賞当時は、「仕立て屋の恋」のほうが好きだったんですが、今観たら違う目線で観れる気がします。
by クリス (2007-05-13 10:49) 

ken

男の妄想は果てしないでしょ?(笑)。
「仕立て屋…」も観てみようと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-05-13 22:52) 

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