さらば冬のかもめ [2007年 レビュー]
「さらば冬のかもめ」(1973年・アメリカ) 監督:ハル・アシュビー 脚本:ロバート・タウン
アメリカン・ニューシネマの佳作、と紹介されることが多い作品なんですが、では今日は僕と一緒に「アメリカン・ニューシネマとはなんぞや?」を勉強しましょう。知ってる人はパスして下さい。
今のご時勢、分からないことがあったら、まずWikipediaですよね~。調べてみたら実に分かりやすく書いてありました(執筆者さん、ありがとう)。
「アメリカン・ニューシネマとは60年代後半、70年代にかけてアメリカで製作された、反体制的な人間(特に若者)の心情を綴った映画作品群」とありました。さらに、「ニューシネマと言われる作品は、反体制的な人物(若者であることが多い)が体制に敢然と闘いを挑む、もしくは刹那的な出来事に情熱を傾けるなどするのだが、最後には体制側に圧殺されるか、あるいは個人の無力さを思い知らされ、幕を閉じるものが多い」んだそうで、まさにこの「さらば冬のかもめ」もそう。
もうひとつ大事なのはこの続き。
「ニューシネマで打ち出されるメッセージの殆どは“個人の無力”であったが、70年代後期になると、ジョン・G・アビルドセン監督の『ロッキー』に代表されるように、“個人の可能性”を打ち出した映画が人気を博すようになる」
分かり易いですねえ(笑)。
アメリカン・ニューシネマの代表作と言えば「俺たちに明日はない」がその第1号と認定されているらしく(なんでだろう?)、他には「イージーライダー」「いちご白書」「真夜中のカウボーイ」「カッコーの巣の上で」などが挙げられるのだそうです。
僕自身は20世紀のハリウッド映画を「スター・ウォーズ」の前と後で区切っているので、本作は「SW前」ってことになります。そして「がんばれ!ベアーズ」の項にも書いた「緩さ」が前面に出た作品になっています。
ここでの「緩さ」は体制に対する「無力感」にも似て(特に頻繁に繰り返されるゆっくりとしたオーバーラップなどを含め)、この緩さがもしも計算ずくならすごい演出力だなと思いました。
合わせて作品同様緩いんだけど、それでも刺々(とげとげ)しいジャック・ニコルソンの演技は一見の価値あり。
手ぐせの悪い水兵メドウズを演じたランディ・クエイドの演技も見事。
そしてメドウズが劇中、お題目(南無妙法蓮華経)を唱える展開になるのが、日本人として面白い。
さてでは、この作品をいま観る必要があるかというと、僕は「大いにある」と言ってしまいましょう。
特に大きな組織に属していて何らかの不満を抱えている人は観るといい。
きっとこの映画の中に自分の姿を見出すだろうし、そんな姿を客観視したとき、新たなモチベーションが湧き上がるのか、それともあきらめてしまうのか、を試すには格好のリトマス試験紙になると思います。
余談。
古い映画を観ていると思いがけず嬉しいことあります。それは好きだった女優の若かりし頃の姿を見つけること。
この映画には初々しいナンシー・アレンの姿がありました。またなんて可愛いこと!(笑)。
古い映画で好きだった女優の姿を見つけるのって、友達のアルバムを見せてもらっているときに偶然初恋の女の子の写真を見つけるような不思議な感覚でした(笑)。
アメリカン・ニューシネマの佳作、と紹介されることが多い作品なんですが、では今日は僕と一緒に「アメリカン・ニューシネマとはなんぞや?」を勉強しましょう。知ってる人はパスして下さい。
今のご時勢、分からないことがあったら、まずWikipediaですよね~。調べてみたら実に分かりやすく書いてありました(執筆者さん、ありがとう)。
「アメリカン・ニューシネマとは60年代後半、70年代にかけてアメリカで製作された、反体制的な人間(特に若者)の心情を綴った映画作品群」とありました。さらに、「ニューシネマと言われる作品は、反体制的な人物(若者であることが多い)が体制に敢然と闘いを挑む、もしくは刹那的な出来事に情熱を傾けるなどするのだが、最後には体制側に圧殺されるか、あるいは個人の無力さを思い知らされ、幕を閉じるものが多い」んだそうで、まさにこの「さらば冬のかもめ」もそう。
もうひとつ大事なのはこの続き。
「ニューシネマで打ち出されるメッセージの殆どは“個人の無力”であったが、70年代後期になると、ジョン・G・アビルドセン監督の『ロッキー』に代表されるように、“個人の可能性”を打ち出した映画が人気を博すようになる」
分かり易いですねえ(笑)。
アメリカン・ニューシネマの代表作と言えば「俺たちに明日はない」がその第1号と認定されているらしく(なんでだろう?)、他には「イージーライダー」「いちご白書」「真夜中のカウボーイ」「カッコーの巣の上で」などが挙げられるのだそうです。
僕自身は20世紀のハリウッド映画を「スター・ウォーズ」の前と後で区切っているので、本作は「SW前」ってことになります。そして「がんばれ!ベアーズ」の項にも書いた「緩さ」が前面に出た作品になっています。
ここでの「緩さ」は体制に対する「無力感」にも似て(特に頻繁に繰り返されるゆっくりとしたオーバーラップなどを含め)、この緩さがもしも計算ずくならすごい演出力だなと思いました。
合わせて作品同様緩いんだけど、それでも刺々(とげとげ)しいジャック・ニコルソンの演技は一見の価値あり。
手ぐせの悪い水兵メドウズを演じたランディ・クエイドの演技も見事。
そしてメドウズが劇中、お題目(南無妙法蓮華経)を唱える展開になるのが、日本人として面白い。
さてでは、この作品をいま観る必要があるかというと、僕は「大いにある」と言ってしまいましょう。
特に大きな組織に属していて何らかの不満を抱えている人は観るといい。
きっとこの映画の中に自分の姿を見出すだろうし、そんな姿を客観視したとき、新たなモチベーションが湧き上がるのか、それともあきらめてしまうのか、を試すには格好のリトマス試験紙になると思います。
余談。
古い映画を観ていると思いがけず嬉しいことあります。それは好きだった女優の若かりし頃の姿を見つけること。
この映画には初々しいナンシー・アレンの姿がありました。またなんて可愛いこと!(笑)。
古い映画で好きだった女優の姿を見つけるのって、友達のアルバムを見せてもらっているときに偶然初恋の女の子の写真を見つけるような不思議な感覚でした(笑)。
アメリカン・ニューシネマってそういうことだったんですね。
この映画は長年観たいと思っているんですが、
レンタル屋で探しても見当たらなかったんです。
こうなったらアマゾンですかね。
こんなマイナーな映画もとりあげるなんて、kenさんさすがです!
大変参考になるレビューでした♪
by lucksun (2007-06-24 00:42)
ま、今となってはマイナーというワケで(笑)。
参考になって僕も嬉しいです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-06-24 02:04)
なるほどー!
そういう位置づけの映画なのですね。
すごく勉強になりました。
by (2007-09-20 15:06)
そーなんです、川崎さん。(ふるっ!)
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-09-20 16:20)