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ロックンロールミシン [2007年 レビュー]

ロックンロールミシン」(2002年・日本) 監督:行定勲 原作:鈴木清剛

 「OPEN HOUSE」からの続き。
 行定監督が言う「ドラマチックな日常をそのまま映画にしてしまうと、ドラマチックすぎて不健康」に僕が激しく同意するのは、まず僕が「テレビドラマを否定している」からだと思う。
 テレビドラマは2時間単発にしろ連続モノにしろ、とにかく何かしら「よからぬこと」が起きる。そして「よからぬこと」が解決することによってドラマは終わりを迎える。僕はこのルールが嫌いなのだ。

 僕は「何も起きない平穏な日常もひとつのドラマ」だと思う。
 他人のことは知らないが、少なくとも僕の日常はそんなにドラマチックじゃない。
 偶然の出逢いも悲劇的な事件も頻繁には起きないし、人は
それを「平和」と言うならやはり平和な日常の中に喜怒哀楽があり、大抵のドラマは“静かに展開するもの”だと思うのだ。
 そういう意味で「ロックンロールミシン」は、ドラマ的なドラマチックさは排除されていたと思う。
 人生の転機となるかもしれない重要な会話は何気ないシーンでされたり、逆に何でもない場面を劇的に演出したりしているところに行定監督が考える「ドラマ」を観たような気がした。
 と、ここまでは僕がなんとなく行定監督を理解しつつあるからこそ出た言葉であって、客観的に観た作品の感想はまた少し異なってくる。

 僕はこれを「アメリカンニューシネマ」の亜流と思えば悪くないと思う。
 「成長するためのリセット」というテーマもいい。
 しかし商業映画としての魅力は決定的に欠けている。
 矛盾するけれど“ドラマチックさ”を排除しすぎていてメリハリがないからだ。特に本編50分過ぎの強烈な中だるみは作品に対する興味を危うく失いそうになる。実尺を知って観ていた僕はデッキのカウンターに表示されるタイムを見ながら、あと1時間もどうやってもたせるつもりなんだろう?と心配をしてしまったほどだ。
 ワンシーンにだけ出演している宮藤官九郎が強烈なスパイスとして効いているだけに、こういった演出を他にも施せばかなりメリハリは効いたように思うのだが、それは結果論か。

 再び個人的な話。
 観念的だった「OPEN HOUSE」に比べると、かなり観易く感情移入もし易い「ロックンロールミシン」だが、それでも僕はこの映画に熱くなれなかった。その理由はなんだろうと途中考えてみたら、今の僕自身に原因があった。
 まずは僕が監督よりも年上であると言うこと。
 そして行定監督が描く世代に、僕自身積み残してきたものが何もない、という背景が大きく影響していると思う。
 この件については、続く「ひまわり」で再び。

 最後にもうひとつ。主人公を演じた池内博之が素晴らしい。

ロックンロールミシン

ロックンロールミシン

  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • 発売日: 2003/05/21
  • メディア: DVD

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コメント 2

ミック

テレビドラマとCMはどうしても、大好きです♪
音楽で言ったら、インディーズの様な感覚です。
監督が有名になる前にいろいろ見ておけるという感じが好きです。
「めいなCo.」の音楽は良かったけど、
>そして行定監督が描く世代に、僕自身積み残してきたものが何もない
同じ様な事、感じて見てました^^。
by ミック (2007-08-03 23:17) 

ken

CMは僕も好きですけどね。ドラマはよほどのことじゃないと…。
nice!ありがとうございます。
by ken (2007-08-04 00:35) 

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