赤いアモーレ：ナニミル？～DVD日記～：SSブログ

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「赤いアモーレ」（2004年・イタリア）　監督・脚本・主演：セルジオ・カステリット

　心臓がちりちりと焼けるような至高の文学映画です。
　イタリア文学界の最高峰、ストレーガ賞を受賞した小説「動かないで」を原作者マルガレート・マンツァンティーニの夫であるセルジオ・カステリットが脚色、監督し、主演まで務めた渾身の一篇。
　
　ある日、バイク事故を起こし意識不明の重態となった少女が病院に救急搬送されてくる。
　父親はその病院に勤務する外科医のティモーティオ。
　動揺が激しく、手術の立会いを拒否したティモーティオは、手術を待つ間にある幻影を見る。
　それはかつて激しく愛した女性“イタリア”の姿だった。

　2人の女性の間で身動きが取れなくなって悶々としたことがあるアナタ…。
　「一体オレはどうすりゃいいんだよ！」と頭をかきむしりながら、ぜひ御覧なさい。
　不倫相手の男から「妻が妊娠した」と言われて怒り狂ったことのあるアナタ…。
　「外でもウチでもヤッてんじゃねーよ！」と吐き捨てながら、ぜひ御覧なさい。
　亭主が浮気しているのを知りつつ気付かないフリをしている仮面夫婦のアナタ…。
　「外でヤッてきたときは上機嫌だから分かるんだよ！」と罵倒しながら、ぜひ御覧なさい。
　
　つまり、いい年したすべての男女が観ていいんじゃないかと思いますね。この映画は（笑）。
　特に「不幸な女」についつい手を~~出しちゃう~~差し伸べてしまう男は観た方がいい。
　
　ペネロペ・クルスがすごい芝居をしています。
　登場まもなくミニスカートでガニ股歩きしている姿には正直仰け反りました。たとえ男と女のドロドロした関係に興味がなくても、ペネロペの芝居は一見の価値があります。
　セルジオ・カステリットの演出も演技も見事です。ただし脚本と編集には不満がないわけじゃない。僕は何の情報も持たずに観たせいで、非時系列の編集に気が付いたのはしばらく経ってからだったし、その構造を理解するのにも若干の時間を要しました。ここはほんの少し分かりやすくしても良かったんじゃないでしょうか？

　それにしても一部の女性からは「サイテー！」と罵られそうな男の物語を、よくも女性が書けたもんだなと原作に感心しました。が、よくよく考えたら「男は冷静じゃないから、こんな物語書けないよなあ。男を客観視できる女性だからこそ書けたんだろうなあ」と、途中から居ても立ってもいられず、部屋をウロウロ歩きながら観てしまった僕は思いました。
　秋の夜長にもってこいの濃厚なドラマです。でも夫婦では見ないほうがいいかもしれません（笑）。