俺は待ってるぜ [2007年 レビュー]
「俺は待ってるぜ」（1957年・日本） 監督：蔵原惟繕 脚本：石原慎太郎
こっそり続いていた日活映画シリーズ（笑）。
本作は「狂った果実」「嵐を呼ぶ男」に続く石原裕次郎主演3作目。
石原慎太郎にとっては4本目の脚本を、「狂った果実」の助監督でのちに「南極物語」の製作、監督、脚本を手がける蔵原惟繕（くらはらこれよし）が初監督しています。
慎太郎の“文学的脚本”も、裕次郎の“セリフ棒読み芝居”もヒドイっちゃあヒドイんですが、まあリアリティなんか誰も求めていない“完全なるアイドル映画”ですからそこは許すとしましょう。じゃあそれ以外のどこを楽しむんだと言われたら、プラピとアンジーの「Mr.＆Mrs.スミス」や、竹内結子と中村獅童の「いま、会いにゆきます」と同じで、「あー、こいつらこの映画でデキちゃったんだな」というワイドショー的視点で楽しむのがひとつ。
もうひとつはアーカイブとしてリアル「三丁目の夕日」を楽しむ。本作もわずかですが野外ロケーションのシーンがあって、そこには昭和30年代前半の横浜の様子が切り取られています。もし横浜に縁のある人ならそれらのシーンに何かを発見するかも知れません。
そして古い映画を楽しむ王道と言えば、大物俳優の若かりし姿を見出すこと。
本作にも二谷英明を始め、杉浦直樹、草薙幸二郎、深江章喜、榎木兵衛といった面々が出演しています。この中で一番の掘り出し物は杉浦直樹さんですかね。役目も無くセリフもほとんどない二谷英明の子分役を地味に演じています。
個人的に一番笑ったのは裕次郎の役名。
役柄は元プロボクサー。リング外で人を殴り殺した経歴があり、その事件をきっかけに引退した設定になっているのですが、男の名前が明らかになるのはボクサーとしての経歴を振り返るシーン。ここで試合のポスターや新聞がインサートされるのですが、そこに踊る名前が「島木譲次」。
………。
………。
………。
←？
ああ、この人は島木譲二だった。
でも、裕次郎の殺人パンチは「パチパチパンチ」なのかと思ったら、しばらく笑いが止まりませんでした（笑）。
都知事はこの事実、知ってるかなあ。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2002/09/27
- メディア: DVD
私の母は大の裕次郎ファンですが、「たのきん」（古いな）よりも「SMAP」よりも、ずっと人気があってカッコよかったといつもいってます、ほんとか？
それにしてもなんで北原三枝だったんだろうね・・・他に選択肢もあったろうに・・・。
それにしてもなんでkenさんこっそり日活シリーズ？
by snorita (2007-12-17 14:04)
僕が裕次郎でも北原三枝を選ぶと思うなあ。
だって献身的だもん。
なんで日活シリーズかと言うと、戦後の邦画を語る上では
絶対に観ておかなきゃいけないなと思ったからです。
別にプロの評論家じゃないんで、どうでもいいことなんですけど（笑）。
by ken (2007-12-17 20:19)
「俺は待ってるぜ」で連想。
愛聴している 木村充揮×近藤房之助の「男唄～昭和讃歩～」
の３曲目に入っているのです。
http://otokouta.com/
なんと言っても「泣いてたまるか」が子供時代の記憶とも
あいまって好きなのですが・・・
それで思ったのが、霧、夜霧って最近の東京じゃないですね。
「夜霧も今夜はありがとう」「赤坂の夜は更けて」
「夜霧のブルース」「霧にむせぶ夜」
昭和30年代はスモッグも激しかったので霧や夜霧が
多かったのでしょうか？
作詞家が好きな言葉だっただけなのか？
昭和60年代には代々木公園横の西参道にだけ霧が濃くなる
というような記憶があります。
湾岸地域ではどう変わったのかな？
あと気になっているのは「小鳩」という言葉を昔はみな
普通に歌っていたこと。「小鳩」をどこで見たのだろう？
くだらないことですが、最近「懐メロ」を聞くたびに疑問に
思っています。
by yamagen (2007-12-21 01:47)
まず、木村充揮×近藤房之助。
すごいユニットですねえ。
憂歌団とB.Bクイーンズじゃないですか（笑）。
霧、夜霧は、今のように街灯が整備される前の東京じゃないですか？
だからスモッグもその部類に入るような気がします。
クルマのヘッドライトでそういう風に見えるしね。
小鳩は分かりません（笑）。
by ken (2007-12-21 15:02)