善き人のためのソナタ [2008年 ベスト20]
「善き人のためのソナタ」(2006年・ドイツ) 監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
2006年のアカデミー賞外国語映画賞を獲得し、日本でも評判になった本作が、キネマ旬報ベストテン外国映画部門の第2位に選ばれた。ちなみに第1位は「長江哀歌」。ありえねー。昨年映画会社の内覧に行ったものの、あまりのつまらなさに半分以上寝てた映画だ。これだからキネ旬のベストテンは昔から信用していない。しかし「善き人のためのソナタ」は必ず観ようと思っていた。
監督は若干33歳でこれが長編デビューなのだそうだ。これには正直驚いた。
「ならば」と思う。
ならば僕の不満は相殺しよう。一応ここに書いておくけれど。
反体制的疑いのある劇作家ドライマン宅を盗聴する国家保安庁の局員ヴィースラー大尉。
優秀な党員である彼が、なぜドライマンを擁護するようになったのか。
このきっかけや傾倒していく様が理解し難くないか。
「善き人のためのソナタ」を聴くシーンがその決定的なターニングポイントとして描かれてはいるが、「なぜヴィースラー大尉はここで涙したのか?」が僕には分からなかった。これが僕の唯一にして最大の不満だ。
それ以外は実に見応えのある濃厚なドラマで、ベルリンの壁が崩壊するまでは知り得なかった独裁国家の非道が、まるで厳冬の空気のような静かだけど肌にぴりぴりと痛いタッチで描かれている。
個人的にとても好きなシーンはヴィースラー大尉がベルリンの壁崩壊を知るシーン。
手紙の開封作業という閑職の部署に、かつて党の食堂で議長のジョークを飛ばした若者がいる。
些細な演出だけれど、これも旧東ドイツの実情をうまく表現していたと思う。
エンディングの切れ味も良かった。
最後の最後、たった一言のセリフで泣かせられた映画も久し振りだった。
この作品は「終わり良ければすべて良し」の典型でもある。
それが昨日見た「ノーカントリー」とは決定的に違うところで、映画の評価を大きく左右するのはやはりエンディングなのだ。
観客に結論を委ねる映画も悪いとは言わない。
けれど僕は、映画で一番大切なものは「メッセージ」だと思う。
語り継ぐべきもの。
「善き人のためのソナタ」も大切なその一つだ。
2006年のアカデミー賞外国語映画賞を獲得し、日本でも評判になった本作が、キネマ旬報ベストテン外国映画部門の第2位に選ばれた。ちなみに第1位は「長江哀歌」。ありえねー。昨年映画会社の内覧に行ったものの、あまりのつまらなさに半分以上寝てた映画だ。これだからキネ旬のベストテンは昔から信用していない。しかし「善き人のためのソナタ」は必ず観ようと思っていた。
監督は若干33歳でこれが長編デビューなのだそうだ。これには正直驚いた。
「ならば」と思う。
ならば僕の不満は相殺しよう。一応ここに書いておくけれど。
反体制的疑いのある劇作家ドライマン宅を盗聴する国家保安庁の局員ヴィースラー大尉。
優秀な党員である彼が、なぜドライマンを擁護するようになったのか。
このきっかけや傾倒していく様が理解し難くないか。
「善き人のためのソナタ」を聴くシーンがその決定的なターニングポイントとして描かれてはいるが、「なぜヴィースラー大尉はここで涙したのか?」が僕には分からなかった。これが僕の唯一にして最大の不満だ。
それ以外は実に見応えのある濃厚なドラマで、ベルリンの壁が崩壊するまでは知り得なかった独裁国家の非道が、まるで厳冬の空気のような静かだけど肌にぴりぴりと痛いタッチで描かれている。
個人的にとても好きなシーンはヴィースラー大尉がベルリンの壁崩壊を知るシーン。
手紙の開封作業という閑職の部署に、かつて党の食堂で議長のジョークを飛ばした若者がいる。
些細な演出だけれど、これも旧東ドイツの実情をうまく表現していたと思う。
エンディングの切れ味も良かった。
最後の最後、たった一言のセリフで泣かせられた映画も久し振りだった。
この作品は「終わり良ければすべて良し」の典型でもある。
それが昨日見た「ノーカントリー」とは決定的に違うところで、映画の評価を大きく左右するのはやはりエンディングなのだ。
観客に結論を委ねる映画も悪いとは言わない。
けれど僕は、映画で一番大切なものは「メッセージ」だと思う。
語り継ぐべきもの。
「善き人のためのソナタ」も大切なその一つだ。
まったく同感です。ヴィスラーが傾倒していく気持ちが理解しきれなかった為、ずっごく入れ込むことができませんでした。ラストシーンは爽快だったけど。
by クリス (2008-01-13 10:10)
ラストが良かったです。
唐突に出てきた涙に、自分でも驚きました。
by てくてく (2008-01-13 10:54)
>クリスさん
おー、やはりそうでしたか。
見事なラストに気を取られて、つい見逃してしまうポイントですよね。
nice!ありがとうございます。
>てくてくさん
唐突でしたねー。ぶわってカンジでした(笑)。
nice!ありがとうございました。
by ken (2008-01-13 11:42)
こんばんは。
この作品の監督「若干33歳でこれが長編デビュー」ですか!
それに愕きました@@
この作品で感じたのは「人は変われる」ということ。
自分の生活を捨ててでも助けたかった無償の行動。
ラストがすばらしい作品です。
by (2008-01-13 21:35)
第1位は「長江哀歌」。ありえねー。に同感です(笑)。
「善き人の~」ラストが良いなら、観ようと思います。
by 江戸うっどスキー (2008-01-14 00:21)
>Bettyさん
「人は変われる」という解釈はとてもいい着地点ですね。
nice!ありがとうございます。
>江戸うっどスキーさん
でしょう?「長江哀歌」の1位は許せません。
「善き人~」はイイですよ。ぜひ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-14 01:36)
私にとって昨年一番心に残る映画でした。
あれほど抑圧された社会の中でも
良心に逆らうことの出来ない人間の凄さを感じました。
ラスト、良かったですね。
by Naka (2008-01-15 22:51)
あの環境の中で、人間としての良心に目覚めたヴィースラー大尉は
奇蹟としか言いようがないと思います。
だから映画として成立しているんですけどね。いい映画だったと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-01-15 23:18)
ヴィースラーは曲に涙したというよりは、「この曲を聴いた者は悪人にはなれない」という言葉の方に動かされたのかな、とも思いました。
あのラストシーンは忘れられません。
by (2008-02-04 22:08)
そういう解釈も出来ますね。
でもそのためには、もっとちゃんとした伏線が欲しかったなあと。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-02-05 01:06)