サイダーハウス・ルール [2008年 レビュー]
「サイダーハウス・ルール」(1999年・アメリカ) 監督:ラッセ・ハルストレム
ハルストレム監督作品は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」「シッピング・ニュース」と観て来ましたが、個人的にはこれが最高傑作。
今回僕は劇場公開時以来おそよ8年ぶりに観たのですが、ラストでは自分でも驚くほど号泣してしまいました。それはきっと8年前よりも深くこの映画の意味を理解したからでしょう。
そう思えば、映画の面白さは「宝探し」に似ています。
映画とは、監督がフィルムに託したいくつかのメッセージを、観客が自らの力で見つけるもの。
今回、僕がこの映画で見つけたのは「人生の意義」でした。
「人は皆、誰かの為に生きている」
言葉を換えれば「使命」と言ってもいい。
山の中の孤児院で生まれ育ち、海すら見たことの無かったホーマー(トビー・マグワイア)はまさに「井の中の蛙大海を知らず」だった。そんな少年がふいに思い立って孤児院を出て、様々な人たちと触れ合うことで徐々に気付いていく「自分に与えられた使命」。
観客はそんなホーマーの日常を傍観しながら、エンドクレジットが流れる頃には自身の環境と立場を振り返ることになると思います。
そう。人は旅をして自分の還る場所を知るのです。
この映画でもうひとつ重要なキーワードはタイトルにもある「ルール」。
孤児院を出たホーマーは、要所で「僕はどうしたらいい?」と聞きます。これは自分の中でルールが確立されていないホーマーの未熟さを表していました。
相対するエピソードが、季節労働者たちに向けたサイダーハウスのルール。
しかし労働者の大半は文盲で、そのルールが読めない、という設定が面白い。
ホーナーがそれを読み上げると、あまりのバカバカしさに労働者たちは一笑。そして収穫作業のボスであるミスター・ローズ(デルロイ・リンドー)が、目をギョロリとさせて一言。
「俺たちのルールは俺たちで作る」
僕はこの言葉を「自分の人生は自分で決める」と受け止めました。ただそこには「大いなる責任を伴う」という意味も含まれています。本編にはこのあと、
「他人が作ったルールには矛盾がある。しかし個人の勝手で作ったルールには歪(ひずみ)がある」
と思い知らされる強烈なエピソードが挿入されます。
未見の人は自分の目で観て驚いて欲しい。
この“事件”がきっかけとなって、ホーナーは師であるラーチ医師の「本意」を悟るのです。
なんと見事な展開。なんと素晴らしい脚本。
8年前に観たときも大いに感じるものはあったのですが、今年この映画を観ることが出来たのは幸運でした。
「かわいい子には旅をさせよ」
古くから言われる言葉ですが、この映画がそれを裏付けています。
そして今の僕を形成しているのも、早くから旅に出してくれた父親のおかげ。
深い意味なんて分からなくてもいいから、多くの若者に観てもらいたい珠玉の一遍です。
thanks! 680,000prv
ハルストレム監督作品は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」「シッピング・ニュース」と観て来ましたが、個人的にはこれが最高傑作。
今回僕は劇場公開時以来おそよ8年ぶりに観たのですが、ラストでは自分でも驚くほど号泣してしまいました。それはきっと8年前よりも深くこの映画の意味を理解したからでしょう。
そう思えば、映画の面白さは「宝探し」に似ています。
映画とは、監督がフィルムに託したいくつかのメッセージを、観客が自らの力で見つけるもの。
今回、僕がこの映画で見つけたのは「人生の意義」でした。
「人は皆、誰かの為に生きている」
言葉を換えれば「使命」と言ってもいい。
山の中の孤児院で生まれ育ち、海すら見たことの無かったホーマー(トビー・マグワイア)はまさに「井の中の蛙大海を知らず」だった。そんな少年がふいに思い立って孤児院を出て、様々な人たちと触れ合うことで徐々に気付いていく「自分に与えられた使命」。
観客はそんなホーマーの日常を傍観しながら、エンドクレジットが流れる頃には自身の環境と立場を振り返ることになると思います。
そう。人は旅をして自分の還る場所を知るのです。
この映画でもうひとつ重要なキーワードはタイトルにもある「ルール」。
孤児院を出たホーマーは、要所で「僕はどうしたらいい?」と聞きます。これは自分の中でルールが確立されていないホーマーの未熟さを表していました。
相対するエピソードが、季節労働者たちに向けたサイダーハウスのルール。
しかし労働者の大半は文盲で、そのルールが読めない、という設定が面白い。
ホーナーがそれを読み上げると、あまりのバカバカしさに労働者たちは一笑。そして収穫作業のボスであるミスター・ローズ(デルロイ・リンドー)が、目をギョロリとさせて一言。
「俺たちのルールは俺たちで作る」
僕はこの言葉を「自分の人生は自分で決める」と受け止めました。ただそこには「大いなる責任を伴う」という意味も含まれています。本編にはこのあと、
「他人が作ったルールには矛盾がある。しかし個人の勝手で作ったルールには歪(ひずみ)がある」
と思い知らされる強烈なエピソードが挿入されます。
未見の人は自分の目で観て驚いて欲しい。
この“事件”がきっかけとなって、ホーナーは師であるラーチ医師の「本意」を悟るのです。
なんと見事な展開。なんと素晴らしい脚本。
8年前に観たときも大いに感じるものはあったのですが、今年この映画を観ることが出来たのは幸運でした。
「かわいい子には旅をさせよ」
古くから言われる言葉ですが、この映画がそれを裏付けています。
そして今の僕を形成しているのも、早くから旅に出してくれた父親のおかげ。
深い意味なんて分からなくてもいいから、多くの若者に観てもらいたい珠玉の一遍です。
thanks! 680,000prv
公開時からずっと気になっていました。
kenさんの記事で、「観てみよう」と思いました。
by Sho (2008-03-11 05:22)
自分がジョン・アービングが好きになったのも、この小説と映画(たしか脚本も書いてる?)によるところが大きいと思っております。
by snorita (2008-03-11 08:15)
こんにちは。
見たのがだいぶ前だなあと思っていたら、8年も経っているんですね!
このごろとみに時間の経過の速さを感じます。
いい映画でしたね。トビー・マグワイアの持ち味とこの役柄がとても
合っていたように思いました。もう一度見てみたい映画の1本です。
by coco030705 (2008-03-11 10:18)
おはようございます。
「サイダーハウス・ルール」は劇場で観て感涙でした。
ラストに主人公が立派な医師になって生まれ育った孤児院に帰っていったシーンに感激しました。
師匠の死も悲しいものでした。
by mouse1948 (2008-03-11 10:31)
>Shoさん
これだけは何を差し置いても観る価値があると思います。
楽しんでください。
nice!ありがとうございます。
>snoritaさん
仰るとおり、本作の脚本もジョン・アーヴィング本人です。
彼はこれでアカデミー賞を受賞していますね。
nice!ありがとうございます。
>coco030705さん
トビーはこういう役柄が似合ってますね。
思えば「スパイダーマン」も「シービスケット」もそんな映画でした。
nice!ありがとうございます。
>mouse1948さん
僕が号泣したのもまさに「帰宅」のシーンでした。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-03-11 12:54)
ジョン・アーヴィング原作というと「ガープの世界」とか「ホテル・ニューハンプシャー」が好きなんですが、この作品もいいですよね。
ちょっとビックリな場面もありつつ、これは原作者の作風通りかな、と思っていましたが、マイケル・ケインのイブシ銀ぶりが気に入っています。。。
by うつぼ (2008-03-11 21:08)
観てみたいとおもいつつ観ていなかった作品です。
今週末にでもDVD借りてきます!
アーヴィングの原作も結局未読だけど、そっちもぼちぼち。。。
by カオリ (2008-03-11 22:31)
>うつぼさん
「ガープの世界」
読んだのも観たのもずいぶん昔ですが、
ずいぶん面白かった記憶があります。
「ホテル・ニューハンプシャー」は観てないかも…?
nice!ありがとうございます。
>カオリさん
ぜひぜひ楽しんでください!
by ken (2008-03-11 22:38)
このころのトビー・マグワイアはかわいかったですね~。
ジョン・アーヴィング原作の映画のなかでも、
この作品がいちばんしっくりくる感じがします。
やはり本人が脚本を手掛けているのが大きいんでしょうね。
また観たくなっちゃいました。
by lucksun (2008-03-12 01:14)
本人が書いた原作を自分で脚色して
アカデミー脚色賞受賞って、いいのかそれで?! と思いましたが
ま、それはそれでいいのかな?(笑)。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-03-12 01:18)