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パッチギ! LOVE&PEACE [2008年 レビュー]

パッチギ! LOVE&PEACE」(2007年・日本) 監督:井筒和幸

 劇場公開時にいい評判を聞かなかったのでスルーした「パッチギ!」の続編をwowowで観る。
 まあ前作が面白すぎたんですわ。正直なハナシ。
 ただ個人的にビックリしたのは今回の舞台が僕の自宅の近く、江東区枝川だったこと。
 劇中、枝川がコリアン・タウンになったいきさつを紹介するシーンがあるんですけど、詳しく調べて驚きました。
 旧東京市は戦前のオリンピックと東京万博の誘致に失敗して、1941年「環境整備」の名目で枝川に簡素なバラックを建設し、市内に不法住宅を構えていた朝鮮人約1,000人を強制収容した。
 これが枝川=コリアン・タウンの起源なんだそうです。勉強になりました。そういえば美味いと評判の焼肉屋さんが何軒かあると友人に聞いたのですが、引っ越して来て1年半。まだ行けてません。

 本作が「いまいち面白くない」という評判を呼んでしまった理由は、「前作が面白すぎた」ということ以外に重要なポイントがいくつもあったと思います。
 まず並行する3つのエピソードが上手く書けていないこと。
 実はストーリーの骨子は悪くないんです。
 「重い病気を患い、アメリカで治療を受ける必要がある、と診断された子供のため、金の密売に手を染めようとする父とその友人。さらに芸能界で身体を使ってまでも伸し上がり、金を工面しようとする若き叔母。そんな親子と兄弟を蔭から支える在日朝鮮人の人々」
 この原案を元に想像力を存分に働かせれば、充分面白い脚本になったと思う。
 しかし、ならなかった。
 その理由は「すべてが言葉足らず」だったこと。
 例えば、国士舘の応援団と枝川の住人が対立している理由も、キョンジャが芸能界を目指そうとする経緯も、その他枝川の長老(米倉斉加年)、ホルモン屋のおばちゃん(馬渕晴子)、朝鮮将棋のおじさん(村田雄浩)、サンダル屋の夫婦(風間杜夫、手塚理美)も、それぞれの背景がまったく見えてこない。キャラクターは完全に死んでいたと思います。なんともったいない。
 主要3人のキャスティングもポイントですね。
 井坂俊哉、中村ゆり。…誰?w 唯一知ってるのか藤井隆。…弱っ!w
 前作は豪華でしたからねえ。沢尻エリカ、オダギリジョー、塩谷瞬、小出恵介などなど。しかもそれぞれの役がちゃんと立ってたし。

 さて、本編の最大の見せ場は、キョンジャが兄のアンソンに涙ながらこう語るシーンです。
 「なんでうちら朝鮮人なん?朝鮮人になんて生まれたくなかった!」
 この前後がどんなに拙いシーンの連続でも、ここだけは涙なしに観られません。
 キョンジャのこのセリフのために、父親のエピソードを入れたり、大和魂バンザイ的な映画のエピソードを入れたのだと思うのですが、どれも中途半端だったのが残念でなりません。
 華はなかったけど、キョンジャを演じた中村ゆりも実は悪くなかったのにな。

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パッチギ!LOVE&PEACE スタンダード・エディション

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

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コメント 2

satoco

ストーリーの骨子は...のくだりでなんだかすっきりです。映画だとどうも混乱しているというか、整理がついていないんですよね。
中村ゆり、良かったと思います。 アンソンが小粒な感じでしたね...。
by satoco (2008-06-12 11:40) 

ken

僕は、芸能界には在日の人たちがたくさんいる、ってエピソードを
もっと押してくれても良かったのになあ、と思いました。
だって当時いろんな意味で悔しい思いをしたスターが沢山いたはずなんです。
そういう意味で、国生さゆりとのシーンってかなり好きなんですけどねえ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-06-13 00:05) 

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