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ゲット スマート [2008年 レビュー]

ゲット スマート」(2008年・アメリカ) 監督:ピーター・シーガル

 ハワイ島行きのJAL直行便は思いのほか映画の本数が多かった。
 ハリウッド、日本、韓国、中国とバリエーションも豊か。そのラインナップを小冊子で見ながら「セックス・アンド・ザ・シティ」の欄に気になるコメントを発見。
 「本作品は未編集のため、一部未成年に不適切な内容があります」
 未編集?映画を勝手に編集してどうする。と思いながら僕はふとあることを思い出した。
 昨年秋、ANAのロス便で観た「ダイ・ハード4.0」。この“機内バージョン”はマクレーンがイエローキャブをヘリコプターにぶつけて撃墜するシーンがカットされていた。「機内で観るには縁起が悪いということか?」と思って、僕はあまり深く考えずにやり過ごしたのだけれど、今回はどうにも気になった。JALのラインナップにあった「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の上映時間が小冊子には116分とあったからだ。これはおかしい。あの映画は間違いなく2時間超だったはず(確認したら2時間20分だった)。ということは、機内上映の映画は何らかの理由でカットされている可能性が高いということだ。
 ではその理由とはなんだろう。
 ひとつは、「SATC」の断りでも分かるとおり、未成年に不適切なシーンが含まれているからだ(だったら機内上映するなよと思うんだけど)。
 もうひとつは僕の想像だけど、機内サービスの都合上、2時間オーバーの作品は最後まで観られないケースが出てしまうため、あえて“ハサミ”を入れているんじゃないかと思う。夕食のあとはいいが、朝食のあと、到着までに映画を観ようと思うと、90分前後の作品でなければ最後まで観られないケースが多い。だから一部の作品はカットされるのだろう。妻は「インディ・ジョーンズ」を観たが「展開が速すぎて何だかよく分からなかった」と言った。そりゃそうだろう。あのトンデモナイ映画をさらに30分弱もカットしたら、意味も味わいもあったもんじゃない。航空会社も罪なことをするもんだと思った。
 そんなことに気が付いたせいで僕は出来るだけカットされていなだろう映画を選ぶことにした。「ゲット スマート」は110分。これならギリギリOKだろう。

 60年代にメル・ブルックスが創造したTVムービー「それ行けスマート」のリメイク作。
 スマートを演じるのは「40歳の童貞男」のスティーヴ・カレル。ヒロインはアン・ハサウェイ。予告編を観たときにこれは面白そうだと期待していたコメディ映画だ。しかし、映画の評価たるもの期待した傍から下り坂へ向かうようになっている。
 スパイ映画のパロディはジェームズ・ボンドが基本だ。
 強くて、頭が良くて、しかも男前で、女にもモテる。メル・ブルックスならずとも茶化したくなる気持ちはよく分かる。が、茶化すべきは登場人物だけで、パロディと言えど「スパイ映画の王道」は押さえておかないと失敗するのだ。
 本作に足りなかったのは悪役の存在感。
 スパイ映画だけでなく勧善懲悪の映画には魅力的な悪役が必要不可欠であることは映画史を振り返っても明らか。本作にはそれが足りなかったと思う。ハリウッド産だけに映像はハデだ。しかし内容が伴っていない。そういえば「ジョニー・イングリッシュ」も同様の失敗作だった。

 スティーヴ・カレルはいい。実は男前だし(笑)、表情を変えずにテンションをアップダウンさせる演技は相変わらず楽しかった。
 ザ・ロック改めドウェイン・ジョンソンもいい。往年のO・J・シンプソンを彷彿とさせる馬鹿さ加減が中年ファンにはたまらない(笑)。
 エージェント組織「コントロール」のチーフを演じたのは、スティーヴ・カレルも出演していた「リトル・ミス・サンシャイン」でオスカーを受賞した“おじいちゃん”アラン・アーキン。とぼけた感じはナイスだが、もう一癖あるキャラクターにしたら尚よかった。
 エージェントの一人としてワンシーンのみ登場したビル・マーレィは笑った。この人はこういう仕事好きだねえ。
 さて理解に苦しんだのはアン・ハサウェイ。どうしてこの仕事を引き受けたのか?もちろん彼女が出てなきゃ観なかったかも知れないけれど、だったらもう少しお色気があっても良かったのに。

 そんなわけでハワイ島から帰ってきました(笑)。

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コメント 4

蓮花

最初この記事をケータイで拝見したのですが、最後の写真が小さく表示されていて「お!これはひょっとしてkenさんと奥様!?」と思っていました。

機内上映がそんなことをやってたなんて、今更ながら驚きました。
by 蓮花 (2008-10-04 23:53) 

ken

ははは。返しようのないコメントですねw
それにしても機内上映のトリックって意外ですよねえ。
by ken (2008-10-05 01:29) 

地蔵

やはり、あの木の中にいたのはビル・マーレィでしたか。
そうかなあ、とは思ったんですが。

> 本作に足りなかったのは悪役の存在感。
確かにそうですね。そのあたりに若干の物足りなさを感じたのかも。
TVオリジナルでは、悪役連中もすっとぼけた世界征服を目指していたのかも。


by 地蔵 (2008-10-13 13:50) 

ken

ビル・マーレイは本当にグレイトです。
悪役は、主役以上に存在感がないとねえw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-10-13 14:09) 

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