アポカリプト [2008年 レビュー]
「アポカリプト」(2006年・アメリカ) 監督・脚本:メル・ギブソン 脚本:ファラド・サフィニア
マヤ文明後期の中央アメリカ。
狩猟民族の小さな村が巨大勢力を誇る部族に襲撃される。襲われた村の男たちは“生贄”にされるため捕虜となるが、そのうちの一人の青年が奇跡的に脱出に成功。しかし強靭な肉体と武器を持った男たちが青年を追いかけ森に入って行く。
メル・ギブソンにはまず感心することがひとつと、あきれることがひとつ。
感心するのは、安易な英語劇にしないこと。
「パッション」のときはアラム語とラテン語。今回も俳優は全員マヤ語を使っている。
あきれるのは、メル・ギブソンのドSぶり。
とにかく残酷で、時に目を覆いたくなる。けれど、これこそが彼に映画を撮らせる原動力なのだろう。
メル・ギブソンにとって映画を撮るということは、「イメージへの挑戦」なんだと思う。
歴史モノに執着するのもその表れだろう。文献や書籍、あるいは絵画によって作られた人それぞれのベストなイメージを如何に超えていくか。それが彼の目指す“高み”なのだと思う。
“イメージ”に正解は無い。
だから、その時代を知る由も無い我々がリアリティの有無を語ることは出来ない。
しかし、観客のイメージを大きく逸脱することなく、ましてやその時代へタイムスリップしたような感覚を観客に与えられたなら、メル・ギブソンの仕事は成功したと言っていいだろう。
本編の冒頭はまさにそんなシーンだ。村の青年たちが深い森の中で一頭のバクを仕留める件。獲物を手に村に帰ると、続いて村での暮らしが描かれる。この一連は実に良く出来ていたと思う。問題はこの先の展開だ。
※この先ネタバレします。
「アポカリプト」は映像の面でこそ我々のイメージを超えてはくれたが、我々が観たいストーリーだったかというと決してそうではなかったと思う。スペイン船が登場したエンディングで観客の全員が気付いたはずだ。
「どうせならもっと違うハナシが観たかった」
この時代を設定に選んで、なぜ追いつ追われつのアクション映画を撮る必要があったのか、僕にはまったく理解できなかった。これなら「ボーン・アルティメイタム」を観る方がマシ。残念。
マヤという興味深い文明が題材だったのに、後半では思わずウトウトしてしまいました。まさにkenさんのレビュー通り、「なぜ?」という感じです。
それにしても「パッション」に引き続き、見てると身体が痛くなるシーンが多すぎますよね。そこは監督の意図するところなのでしょうけど、ちょっとシンドイ。
by ミホ (2008-11-11 11:47)
いちいち目を伏せたくなるし、心臓がバクバクするしねw
観ていてホント疲れます。それが狙いなんだろうけど。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-11 13:05)