人のセックスを笑うな [2008年 レビュー]
「人のセックスを笑うな」(2007年・日本) 監督:井口奈巳
原作は芥川賞候補にもなった山崎ナオコーラの恋愛小説。
主要キャストは男と女が2人ずつ。これだけならフツーの恋愛ドラマだけど、男2人と女1人は19歳。で、もう1人の女が39歳ってところがミソです。原作未読。
タイトルから何を想像するかは勝手ですが、内容はとても繊細な恋愛ドラマ。
39歳の非常勤講師ユリ(永作博美)と恋に落ちた19歳のみるめ(松山ケンイチ)。みるめに好意を寄せていた同級生のえんちゃん(蒼井優)はそれに少なからずショックを受け、共通の友人である堂本(忍成修吾)もまた複雑な思いで2人を見ていた…。
性別と年齢によって感情移入するキャラクターは変わります。そして多くの人が、タイトルの意味を考えながら観た(観る)と思います。僕もその1人。そして「セックス」と言うワードを別の言葉に置き換えられたら、それがそのまま映画の感想になります。
僕は「人の“はじめての恋”を笑うな」としました。その心は。
やっぱり最初の恋愛っていろいろマヌケなんですよね、男も女も。特に男があたふたしてる様は見られたもんじゃありません。本編のみるめも相当カッコ悪いヤツです。カッコ悪くて「オマエなにやってんだよ」とか言いたくなっちゃう。何故ならみるめはかつての自分だから。
仮にはじめての女性が経験豊富な年上で、しかも可愛らしくて魅力的な女性だったら、住所を調べて自宅まで行きたくなる気持ちも分かります。だって逢いたい(=ヤリたい)んだもん。
一方で女性はどういう感想を持ったのか、とても興味があります。良かったら誰か教えてください。
それにしても「男子学生と女性講師の恋愛」という構図は「あるスキャンダルの覚え書き」と同じです。素材は一緒でもテーマが違えば作品の仕上がりはこうも違うという好例でした。
本作のみどころは、永作博美と蒼井優の“芝居”です。
監督の井口奈巳はズームを一切使わず、基本フィックスと横移動のドリー(あるいはレール)ショットのみで本編を構成しています。よってワンカットが幾分長くなり、おかげで観客は落ち着いて役者の“芝居”を堪能することが出来るんですが、まあなんたって蒼井優が絶品です。
彼女は平凡な女の子を演じるとき天才的な演技を披露しますが、最近観た中では本作が一着。僕は彼女ほどフレームの外にいるスタッフの気配を消してくれる女優を知りません。
と言うわけで本作は、蒼井優を観るだけで1,800円払う価値ありの映画なんですが、実は永作博美もそれに輪をかけて良いんです。何が良いってユリって女が「嘘くさくない」のが良い。
俳優は「設計図上のアウトラインしかないキャラクターに、血を通わせ命を吹き込むこと」が仕事なのですが、永作博美の場合は、「彼女の肉体をメディアにして存在しないはずのキャラクターが降臨した」かのような凄みがある。蒼井優とは別の意味で感動しました。
完全に女優2人の映画。余計な期待をしないで観ればきっと愉しめます。
原作は芥川賞候補にもなった山崎ナオコーラの恋愛小説。
主要キャストは男と女が2人ずつ。これだけならフツーの恋愛ドラマだけど、男2人と女1人は19歳。で、もう1人の女が39歳ってところがミソです。原作未読。
タイトルから何を想像するかは勝手ですが、内容はとても繊細な恋愛ドラマ。
39歳の非常勤講師ユリ(永作博美)と恋に落ちた19歳のみるめ(松山ケンイチ)。みるめに好意を寄せていた同級生のえんちゃん(蒼井優)はそれに少なからずショックを受け、共通の友人である堂本(忍成修吾)もまた複雑な思いで2人を見ていた…。
性別と年齢によって感情移入するキャラクターは変わります。そして多くの人が、タイトルの意味を考えながら観た(観る)と思います。僕もその1人。そして「セックス」と言うワードを別の言葉に置き換えられたら、それがそのまま映画の感想になります。
僕は「人の“はじめての恋”を笑うな」としました。その心は。
やっぱり最初の恋愛っていろいろマヌケなんですよね、男も女も。特に男があたふたしてる様は見られたもんじゃありません。本編のみるめも相当カッコ悪いヤツです。カッコ悪くて「オマエなにやってんだよ」とか言いたくなっちゃう。何故ならみるめはかつての自分だから。
仮にはじめての女性が経験豊富な年上で、しかも可愛らしくて魅力的な女性だったら、住所を調べて自宅まで行きたくなる気持ちも分かります。だって逢いたい(=ヤリたい)んだもん。
一方で女性はどういう感想を持ったのか、とても興味があります。良かったら誰か教えてください。
それにしても「男子学生と女性講師の恋愛」という構図は「あるスキャンダルの覚え書き」と同じです。素材は一緒でもテーマが違えば作品の仕上がりはこうも違うという好例でした。
本作のみどころは、永作博美と蒼井優の“芝居”です。
監督の井口奈巳はズームを一切使わず、基本フィックスと横移動のドリー(あるいはレール)ショットのみで本編を構成しています。よってワンカットが幾分長くなり、おかげで観客は落ち着いて役者の“芝居”を堪能することが出来るんですが、まあなんたって蒼井優が絶品です。
彼女は平凡な女の子を演じるとき天才的な演技を披露しますが、最近観た中では本作が一着。僕は彼女ほどフレームの外にいるスタッフの気配を消してくれる女優を知りません。
と言うわけで本作は、蒼井優を観るだけで1,800円払う価値ありの映画なんですが、実は永作博美もそれに輪をかけて良いんです。何が良いってユリって女が「嘘くさくない」のが良い。
俳優は「設計図上のアウトラインしかないキャラクターに、血を通わせ命を吹き込むこと」が仕事なのですが、永作博美の場合は、「彼女の肉体をメディアにして存在しないはずのキャラクターが降臨した」かのような凄みがある。蒼井優とは別の意味で感動しました。
完全に女優2人の映画。余計な期待をしないで観ればきっと愉しめます。
絶賛じゃないですか。
>余計な期待をしないで
それは無理、する。
by ばくはつごろう (2008-11-09 19:12)
絶賛したのは2人の女優です。監督でも作品でもありませんw
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-09 21:46)
わたしも、この映画を絶賛しました^^
永作さんと蒼井さんの演技に痺れました☆
個性的なキャラクターを「ありかも!」と思わせる演技と
普通な 〃 を不自然なく見せてくれる演技
間延びしたダラケル感じも作風と合っていて音楽共々良かったと思います。
男性と女性、そして年齢によって感想が違うでしょうね~
by Betty (2008-11-10 11:39)
後半、農道のバス停のショットでは雲がフレームアウトするほどの長回しが
まるで舞台を観ているようで面白かったです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-10 16:18)
優チャン、永作チャン、二人を見ていればOKですよね
ホント、好きな作品です!
by 魚河岸おじさん (2008-11-10 18:55)
おもしろいんだかつまらないんだか
よくわからない映画だったと思います。
確かに女優さん二人の映画です。
ちなみに当方が思い出すと
その後に観た『百万円と苦虫女』と被ってしまいます。
by 地蔵 (2008-11-10 20:12)
>魚河岸おじさん
みるめが松山ケンイチじゃなかったらなあ…とはこっそり思ってますw
>地蔵さん
確かに映画としては面白いんだか、面白くないんだか、ですw
「百万円…」観なきゃなあ。nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-11 00:53)
超つまらなかった。
by **feeling** (2008-11-28 23:02)
そりゃ残念。
by ken (2008-11-28 23:33)
母校が撮影に使われていたというので、興味があった映画なのですが、見ないうちに終わってしまいました。
映画のタイトルを口にするのがちょっと恥ずかしかったりしました。
意識しすぎっすね・・エヘ。
by hana (2008-12-03 11:17)
母校が映画の撮影に使われるなんてそうそうないことですから
ぜひご覧になってはいかがでしょうか。
「超つまらなかった」という方もいらっしゃいますがw
きっとhanaさんは母校を眺めるだけでも楽しいと思いますよ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-12-03 23:35)