STAR TREK [2009年 レビュー]
「スター・トレック」（2009年・アメリカ） 監督：J.J.エイブラムス
初の映画化は1979年。
リアルタイムで観たノン・トレッキーの僕は当時その面白さが分からなかった。言葉を選ばずに言うなら「単純に面白くなかった」のだ（僕はこの映画こそが日本に「スター・トレック」を定着させなかった最大の要因だと思っている）。
以来30年。これまで10本のシリーズ作品がリリースされて来たが、10作目から7年ぶりに製作された本作は、言うなれば「スター・トレック ビギンズ」。これをトレッキーじゃないJ.J.が監督をしたのが大きかった。
「トレッキーにも、そうじゃない人たちにも楽しんでもらいたい」
J.J.自身そう語った本作はSFアドベンチャーとしてかなり完成度の高い作品に仕上がっていたと思う。なによりテレビシリーズも映画も1秒も観たことのなかった妻が「なにがなんだかよく分からないけど面白かった」と言ったのがその証だ。
「だってずっとハラハラしてたもん」。
確かに見せ場に限って言えば、ツボを押さえた脚本だったと思う。
もちろんトレッキーにとってはたまらない仕掛けが随所にある。
最大の悦びはキャスティングだ。
本作のキャスティング・ディレクターは実に素晴らしい仕事をしたと思う。
ミスター・スポック、ドクター・マッコイ、スコッティ、スールー。少なくともこの4人はオリジナルの面影を充分過ぎるほど残し、ファン心理を絶妙にくすぐったキャスティングだった。特に僕はマッコイとスールーが気に入った。
「スター・トレック」はカーク船長とミスター・スポックが主役のドラマではない。USSエンタープライズ号に関わるすべての人々の群像劇である。もちろん132分で全員のドラマは描けないが、このキャスティングのおかげで観客は作品の背景を“補完”し、オリジナルの“味わい”を満喫出来たんじゃないかと思う。
オリジナルをリスペクトしたJ.J.のこだわりはカメラワークにも見られた。
一番はカークやスポックがブリッジに入る際の“受け”のドリーショット。幾分カメラを傾けてスピード感を出したショットを見たときには、オリジナルのテイストを感じずにはいられなかった。もちろんトレッキーが見れば、もっともっと楽しめる仕掛けが随所に隠されていただろう。
さてストーリーの進行上、唯一分かりにくいのが「パルス兵器」という設定だ。
敵が使うこの兵器は星の表面に穴を空け、パルスの干渉によって通信も転送も機能しなくなる、というもの。ここは若干説明が不足していて、ついて行けない観客もいただろう。
もう一点は23世紀と24世紀、2つの世界をまたいだ物語であるということ。この設定のおかげで驚くべきサプライズを仕掛けることが出来たのだが、SF設定のお約束とも言うべき「時空のねじれ」については、考えれば考えるほどドツボにはまるので、観ている最中は深く考えない方がいいかもしれない（笑）。
いずれにしてもエンタープライズ号のテイクオフは大成功だった。
全米興行収入は2億3,500万ドルを突破し、現在も4,053館で上映中（日本ではまもなく終了）。
もちろん本年度のNo.1ヒットで、J.J.の手による続編にも大いに期待をするが、ここからの航海は決して順風満帆とは行かないだろう。シリーズ作品につきものの「マンネリ」という最大の敵とどう戦うのか。キャプテンJ.J.の手腕が見ものだ。
余談だが、僕がこれまで観て来た映画版の中で、一番のオススメは「ジェネレーションズ」。新旧のエンタープライズクルーが交錯する実に豪華な作品だった。
「スター・トレック」という作品がどういうものかを知るためには、やはり30年前の第1作を観るのがてっとりばやいかも。
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初の映画化は1979年。
リアルタイムで観たノン・トレッキーの僕は当時その面白さが分からなかった。言葉を選ばずに言うなら「単純に面白くなかった」のだ（僕はこの映画こそが日本に「スター・トレック」を定着させなかった最大の要因だと思っている）。
以来30年。これまで10本のシリーズ作品がリリースされて来たが、10作目から7年ぶりに製作された本作は、言うなれば「スター・トレック ビギンズ」。これをトレッキーじゃないJ.J.が監督をしたのが大きかった。
「トレッキーにも、そうじゃない人たちにも楽しんでもらいたい」
J.J.自身そう語った本作はSFアドベンチャーとしてかなり完成度の高い作品に仕上がっていたと思う。なによりテレビシリーズも映画も1秒も観たことのなかった妻が「なにがなんだかよく分からないけど面白かった」と言ったのがその証だ。
「だってずっとハラハラしてたもん」。
確かに見せ場に限って言えば、ツボを押さえた脚本だったと思う。
もちろんトレッキーにとってはたまらない仕掛けが随所にある。
最大の悦びはキャスティングだ。
本作のキャスティング・ディレクターは実に素晴らしい仕事をしたと思う。
ミスター・スポック、ドクター・マッコイ、スコッティ、スールー。少なくともこの4人はオリジナルの面影を充分過ぎるほど残し、ファン心理を絶妙にくすぐったキャスティングだった。特に僕はマッコイとスールーが気に入った。
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オリジナルをリスペクトしたJ.J.のこだわりはカメラワークにも見られた。
一番はカークやスポックがブリッジに入る際の“受け”のドリーショット。幾分カメラを傾けてスピード感を出したショットを見たときには、オリジナルのテイストを感じずにはいられなかった。もちろんトレッキーが見れば、もっともっと楽しめる仕掛けが随所に隠されていただろう。
さてストーリーの進行上、唯一分かりにくいのが「パルス兵器」という設定だ。
敵が使うこの兵器は星の表面に穴を空け、パルスの干渉によって通信も転送も機能しなくなる、というもの。ここは若干説明が不足していて、ついて行けない観客もいただろう。
もう一点は23世紀と24世紀、2つの世界をまたいだ物語であるということ。この設定のおかげで驚くべきサプライズを仕掛けることが出来たのだが、SF設定のお約束とも言うべき「時空のねじれ」については、考えれば考えるほどドツボにはまるので、観ている最中は深く考えない方がいいかもしれない（笑）。
いずれにしてもエンタープライズ号のテイクオフは大成功だった。
全米興行収入は2億3,500万ドルを突破し、現在も4,053館で上映中（日本ではまもなく終了）。
もちろん本年度のNo.1ヒットで、J.J.の手による続編にも大いに期待をするが、ここからの航海は決して順風満帆とは行かないだろう。シリーズ作品につきものの「マンネリ」という最大の敵とどう戦うのか。キャプテンJ.J.の手腕が見ものだ。
余談だが、僕がこれまで観て来た映画版の中で、一番のオススメは「ジェネレーションズ」。新旧のエンタープライズクルーが交錯する実に豪華な作品だった。
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J.J版スタートレック、観ました。
ファンとしてはたまらない仕掛けがたくさんあったし、それを除いても
十分に楽しめる仕掛けがありました！
スタートレックが群像劇だからこそ、楽しめたんじゃないかと思います。
by ケンタッキー (2009-06-22 00:37)
今週末に観る予定です
以前のものは多分ほとんど観ているので、今回のも結構楽しみにしています
by mirai (2009-06-22 07:39)
>ケンタッキーさん
ファンにとってはどれくらい嬉しいツボがあったのか、逆に知りたいくらいです。
>miraiさん
トレッキーですね。レビューを楽しみにしています。
by ken (2009-06-22 14:03)
試写で見ました。
面白かったのですが、割と薄いファンとしても設定には色々と気になる所が。
「宇宙大作戦」は再放送で見たクチです。映画は一応全部見てますが。
一番、ほろっと来たのは最後の音楽ですね。
新旧スポックもいいですが、マッコイがそっくりでした。
by きさ (2009-06-23 23:28)
オリジナルテーマ曲をもう少しフューチャしてくれると、
もっと盛り上がれたかも知れませんね。
by ken (2009-06-24 12:22)
こんばんは～＾＾
奥様の気持ちが分かりますね～。
私もほとんど全く、シリーズに触れてないのですが、
それでもスピード感のある展開に
終始ハラハラさせられました。
続編が出来たら是非、大スクリーンで鑑賞したいものです。
・・・あと、悪役のエリック・バナに全然、気付きませんでした＾＾；
by てくてく (2010-07-13 00:26)
エリックに気付かない人、意外といるようです（笑）。
先日僕も、この映画観直しました。やっぱり面白かったですね～。
nice！ありがとうございます。
by ken (2010-07-13 01:42)