ハンニバル [2009年 レビュー]
「ハンニバル」(2001年・アメリカ) 監督:リドリー・スコット
もしも公開時に観ていたら、ずいぶん違った感想を持ったと思います。
当時僕は「ジョディ・フォスターがこの仕事を引き受けなかった」という事実から、相応の脚本なんだろうと勝手に見切りを付け、その段階で「観ない」と決めて今日まで来ました。ま、ホラーだのスリラーだのってジャンルが嫌いってのも若干ありましたけど。
でもね、人の気持ちなんてコロコロ変わるんですよ。しかも何年も経っちゃうとね(笑)。
僕は今さらですけど、リドリー・スコットとジュリアン・ムーアはエライなと思ったわけです。アカデミー賞5冠を獲得した傑作映画の続編を、前作に全く関わっていなかった2人が引き受けたわけです。これは相当しんどい仕事だったと思いますね。でもどうして引き受けたのか、その理由が知りたかった。だから観ることにしたわけ。最近前フリ長いね。
で、そんな気持ちを酌んで観たら、やっぱり面白かった。
事件から10年後、という設定も効いていて、ジョディのイメージをいい意味でジュリアンが踏んづけている印象を受けました。
そう思わせたのが冒頭のシークエンス。FBIが麻薬密売組織のトップを確保しようとする場面で、クラリスはその作戦を指揮する立場にいます。10年前、レクター博士の前で心を読まれまいと必死になっていたジョディ=クラリスは過去の人。現在のジュリアン=クラリスは経験を積んだベテラン捜査官に成長していることが、ここで明らかになるのです。僕はここで「そりゃ10年も修羅場くぐってくれば人相も変わるよなあ」と思いました。だからジュリアン=クラリスを素直に受け入れられた。
おそらくジュリアンがこの仕事を引き受けたのは、本作のクラリスがジョディのイメージを引きずっていなかったからだと思います。
一方リドリー・スコットが引き受けた理由は、レクター博士を使って新たな暴力を表現したかったからじゃないでしょうか。クライマックスを見て、そんな気がしました。これは後述。
いくらか不満がないわけでもないです。
まずはクラリスが失脚に追い込まれる理由。これは冒頭のシークエンスが絡んでいるのですが、「その程度のことでバッジ取り上げんのか?」と思いました。で、これをきっかけにレクター博士がクラリスに接触を試みるという設定も、こじつけた感が満載で納得がいきません。
あとは「博士、そんなにのんびりしてて逃げられるんですか?」と言いたくなるような設定。「ルパンじゃなきゃ、ゼッタイ捕まるって!」(笑)。
ただ、映画としては悪くないと思います。
あ、R-15ですから子どもは見ちゃダメです。子どもが見たらゼッタイにトラウマになるシーンがクライマックスにあります。僕の映画史の中で「戦慄」という言葉が最も相応しいシーンでした(笑)。リドリー・スコットがやりたかったのはコレかなと。
くそー。ここまで来たら「レッド・ドラゴン」も観たくなって来たぞ。
もしも公開時に観ていたら、ずいぶん違った感想を持ったと思います。
当時僕は「ジョディ・フォスターがこの仕事を引き受けなかった」という事実から、相応の脚本なんだろうと勝手に見切りを付け、その段階で「観ない」と決めて今日まで来ました。ま、ホラーだのスリラーだのってジャンルが嫌いってのも若干ありましたけど。
でもね、人の気持ちなんてコロコロ変わるんですよ。しかも何年も経っちゃうとね(笑)。
僕は今さらですけど、リドリー・スコットとジュリアン・ムーアはエライなと思ったわけです。アカデミー賞5冠を獲得した傑作映画の続編を、前作に全く関わっていなかった2人が引き受けたわけです。これは相当しんどい仕事だったと思いますね。でもどうして引き受けたのか、その理由が知りたかった。だから観ることにしたわけ。最近前フリ長いね。
で、そんな気持ちを酌んで観たら、やっぱり面白かった。
事件から10年後、という設定も効いていて、ジョディのイメージをいい意味でジュリアンが踏んづけている印象を受けました。
そう思わせたのが冒頭のシークエンス。FBIが麻薬密売組織のトップを確保しようとする場面で、クラリスはその作戦を指揮する立場にいます。10年前、レクター博士の前で心を読まれまいと必死になっていたジョディ=クラリスは過去の人。現在のジュリアン=クラリスは経験を積んだベテラン捜査官に成長していることが、ここで明らかになるのです。僕はここで「そりゃ10年も修羅場くぐってくれば人相も変わるよなあ」と思いました。だからジュリアン=クラリスを素直に受け入れられた。
おそらくジュリアンがこの仕事を引き受けたのは、本作のクラリスがジョディのイメージを引きずっていなかったからだと思います。
一方リドリー・スコットが引き受けた理由は、レクター博士を使って新たな暴力を表現したかったからじゃないでしょうか。クライマックスを見て、そんな気がしました。これは後述。
いくらか不満がないわけでもないです。
まずはクラリスが失脚に追い込まれる理由。これは冒頭のシークエンスが絡んでいるのですが、「その程度のことでバッジ取り上げんのか?」と思いました。で、これをきっかけにレクター博士がクラリスに接触を試みるという設定も、こじつけた感が満載で納得がいきません。
あとは「博士、そんなにのんびりしてて逃げられるんですか?」と言いたくなるような設定。「ルパンじゃなきゃ、ゼッタイ捕まるって!」(笑)。
ただ、映画としては悪くないと思います。
あ、R-15ですから子どもは見ちゃダメです。子どもが見たらゼッタイにトラウマになるシーンがクライマックスにあります。僕の映画史の中で「戦慄」という言葉が最も相応しいシーンでした(笑)。リドリー・スコットがやりたかったのはコレかなと。
くそー。ここまで来たら「レッド・ドラゴン」も観たくなって来たぞ。
原作はだいぶ濃い話で、さらっと映画化したなと思っています。私もジュリアン・ムーアは良かったです。
「レッド・ドラゴン」は私は美しいストーリィだと感じました。ひどい話ではありますが。ぜひ見てみてください。
by satoco (2009-06-24 22:35)
ひどい話なのに美しいとはなんとも哲学的で興味を引きますねw
それにしてもこの映画のジュリアンはいつもに増して美しかったなと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-06-25 00:56)
レッドドラゴンはマイアミバイスっぽいのもあって、二作見比べるのも一興ですよ。
satocoさま同様の感想ですが、原作小説の善悪の彼岸を超えていく驚愕のクライマックスこそが映像で見たかったのですけども…映画のお弁当なんてアレに比べたらプチおちですよ(むしろ子役にモンゴロイドを選んだことに差別的なものを感じました)…機会がありましたら後編の最終章だけでも読まれますことをお薦めします。
好きな作品なのでつい長々すみません。
by inuneko (2009-06-25 02:45)
なるほど。原作の肝の部分は映画に盛り込まれていないのですね。
それは原作ファンからすると、「ちょっと待て、コラ」ってなりますね。
原作に興味沸きました!読んでみようと思います。
by ken (2009-06-25 09:22)
>子どもが見たらゼッタイにトラウマになるシーンがクライマックスに
こういう情報はホントにありがたいです。
ホラーとか暴力とかダメなので。
by rosemary (2009-06-25 10:00)
ですよね~。僕もそんな情報、求めてますw
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-06-25 14:10)
映画はテレビで流してちゃんと見ていないのですが、原作は読みました。
原作は結構面白いのですが、前作は越えてない感が大きいです。
映画はさらに原作を越えてない感がありました。
by きさ (2009-06-25 21:50)
この映画は風景がよかったですわー、フィレンツェの。
といいつつ、だいぶフィレンツェじゃない所もありましたが。
レッドドラゴンは二つあるので見るとき注意です。
by ばくはつごろう (2009-06-25 22:00)
>きささん
原作ファン、意外とたくさんいらっしゃるんですね。
>ばくはつごろうさん
「刑事グラハム」ってヤツですね。注意しときます。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-06-26 12:28)
特に好きだ。
by **feeling** (2009-07-10 00:21)
分かる。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-07-10 00:26)