ムーンウォーカー [2009年 レビュー]
「ムーンウォーカー」(1988年・アメリカ) 監督:ジェリー・クレイマー、コリン・シルヴァース
MJ追悼。
本作の公開は「BAD」リリース翌年の88年10月。
当時「BAD」のショートフィルム(スコセッシ監督作品)の出来栄えが良かったせいで、本作に期待した人も多かったと思う。もちろん僕もその一人。
ところが「BAD」と「ムーンウォーカー」のギャップはあまりに大きかった。僕は溜息が出るほどガッカリして、誰かれ構わず「駄作」と吹聴した記憶がある。
しかし、20年も経過すると「駄作」という印象が残るのみで、その内容までは記憶に無かった。
今改めて観ると、オープニングで驚くのは僕だけじゃないだろう。
映画でありながらドラマが始まるわけでなく、MJがまず「Man in the Mirror」を熱唱するのだ。
僕はこの曲の和訳を初めて目にしたと思う。そしてMJのメッセージを今になって受け取った自分が恥ずかしかった。
「よりよい世界を望むなら、自分から行動を起こそう。Change!」
MJの若々しいパフォーマンスに目を細めながら、僕は「彼の音楽を聴いて育った」と語ったオバマ大統領の顔を思い浮かべた。MJはオバマより20年も早く、大衆を前に「Change!」と叫んでいたのだ。そう言いつつも本作は、このテーマを首尾一貫押し通してくれるわけではない。だから本作は駄作なのだ。
当時一番観客を驚かせ、ガッカリさせたのは、MJがロボットになってしまう件だろう。実際にはロボットだけではなく、スーパーカーにも、宇宙船にもなる。
僕は「MJ、アタマおかしくなったか?」と思った。そして「子供じみた展開にもほどがある」とも。
ところが、今となってはこの解釈も若干変化する。
これは「トランスフォーム」なのだ。
MJはアニメ「THE TRANSFORMERS」のファンだったと言う。つまり彼はスピルバーグやマイケル・ベイより20年早く、トランスフォームしてしまったと言うワケだ。もう、さすがMJとしか言いようがない。
さて。
ここまでをどう解釈するかは観客に任せるとして、けれど間違いないのは、ビジュアル的にかなり美しかった時代のMJがこのフィルムには記録されているということだ。今となっては、それを観るだけで充分価値がある作品、と紹介するのが妥当のような気がする。悪役を演じているのがジョー・ペシだったり(なんで引き受けたんだろう)、まだ12歳のショーン・レノンが出演していたりするのも一興だ。
想像力に乏しい僕は、MJの死を実感出来ていない。
ここ数年は彼が生きていようと、生きていないのに等しい時代だったからだ。
確かにロンドンでの公演が幻になってしまったのは残念だ。しかし「ムーンウォーカー」を観ると、この頃のMJはすでに亡き者だった、という思いを新たにしてしまう。
僕の中でMJは二度死んだのだ。
合掌。
MJ追悼。
本作の公開は「BAD」リリース翌年の88年10月。
当時「BAD」のショートフィルム(スコセッシ監督作品)の出来栄えが良かったせいで、本作に期待した人も多かったと思う。もちろん僕もその一人。
ところが「BAD」と「ムーンウォーカー」のギャップはあまりに大きかった。僕は溜息が出るほどガッカリして、誰かれ構わず「駄作」と吹聴した記憶がある。
しかし、20年も経過すると「駄作」という印象が残るのみで、その内容までは記憶に無かった。
今改めて観ると、オープニングで驚くのは僕だけじゃないだろう。
映画でありながらドラマが始まるわけでなく、MJがまず「Man in the Mirror」を熱唱するのだ。
僕はこの曲の和訳を初めて目にしたと思う。そしてMJのメッセージを今になって受け取った自分が恥ずかしかった。
「よりよい世界を望むなら、自分から行動を起こそう。Change!」
MJの若々しいパフォーマンスに目を細めながら、僕は「彼の音楽を聴いて育った」と語ったオバマ大統領の顔を思い浮かべた。MJはオバマより20年も早く、大衆を前に「Change!」と叫んでいたのだ。そう言いつつも本作は、このテーマを首尾一貫押し通してくれるわけではない。だから本作は駄作なのだ。
当時一番観客を驚かせ、ガッカリさせたのは、MJがロボットになってしまう件だろう。実際にはロボットだけではなく、スーパーカーにも、宇宙船にもなる。
僕は「MJ、アタマおかしくなったか?」と思った。そして「子供じみた展開にもほどがある」とも。
ところが、今となってはこの解釈も若干変化する。
これは「トランスフォーム」なのだ。
MJはアニメ「THE TRANSFORMERS」のファンだったと言う。つまり彼はスピルバーグやマイケル・ベイより20年早く、トランスフォームしてしまったと言うワケだ。もう、さすがMJとしか言いようがない。
さて。
ここまでをどう解釈するかは観客に任せるとして、けれど間違いないのは、ビジュアル的にかなり美しかった時代のMJがこのフィルムには記録されているということだ。今となっては、それを観るだけで充分価値がある作品、と紹介するのが妥当のような気がする。悪役を演じているのがジョー・ペシだったり(なんで引き受けたんだろう)、まだ12歳のショーン・レノンが出演していたりするのも一興だ。
想像力に乏しい僕は、MJの死を実感出来ていない。
ここ数年は彼が生きていようと、生きていないのに等しい時代だったからだ。
確かにロンドンでの公演が幻になってしまったのは残念だ。しかし「ムーンウォーカー」を観ると、この頃のMJはすでに亡き者だった、という思いを新たにしてしまう。
僕の中でMJは二度死んだのだ。
合掌。
恥ずかしながら、僕も全く記憶にありません。
だけど、間違いなくマイケルはエンタテイナーだった!
そしてその存在は僕の常識を軽く越えていました。
世界中の国で、その存在が熱狂され、表現が目を釘付けにした。
やっぱり、ありがとう、マイケルです。
by ケンタッキー (2009-07-07 00:27)
マイケルの前にマイケルなし。マイケルの後にもマイケルなしです。
スリラーのPVをウガンダさんがパロディにしていたのも懐かしい。
MJは僕の青春でした。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-07-07 01:13)
好き嫌いは別として、我が世代に存在感ばっちりでした。
by snorita (2009-07-07 14:08)
この人のいない20世紀は考えられません。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-07-07 15:18)
駄作ですけど凄いですよね!!
トランスフォームはびっくりしましたが^^
by movielover (2010-07-05 12:53)
マイケルの整形がここで止まっててくれたらなあ、と思いながら
ずーっと観てました(笑)。nice!ありがとうございます。
by ken (2010-07-05 18:37)