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秘密調査員 [2009年 レビュー]

秘密調査員」(1949年・アメリカ) 監督:ジョセフ・H・ルイス

 犯罪組織の大物を捕らえるべく奮闘する、財務省は秘密調査員たちの活躍を描く日本未公開作品。wowowの解説に「必見の傑作フィルム・ノワール」とあったので、売り文句に釣られて観てみた。ストレートなタイトルがいい。原題は「THE UNDERCOVER MAN」である。アメリカの映画タイトルは本当に単純だ。
 さて、正直観てみて驚いた。
 これは「アンタッチャブル」の原型じゃないか。

 主人公のフランク・ウォーレン(グレン・フォード)たちは、犯罪組織の大物を脱税で立件すべく、日夜懸命の捜査を行っていた。ところがやっとの思いで引き込んだ情報提供者たちが次々と謎の死を遂げる。それでも捜査の手を緩めないフランクだったが、ある日妻の身に危険が迫っていることを知る。

 テレビ版の「アンタッチャブル」は1959年にスタートし、4年間続いた番組だった。
 僕たちの記憶にある「アンタッチャブル」(1987)は、デ・ニーロがアル・カポネを、ケビン・コスナーがエリオット・ネスを演じた映画版である。本作はこの映画版に限りなく近い。つまり、それだけ面白いということである。終戦から4年後にこんな面白い映画を作るなんて、「さすが戦勝国」だなと、妙なところに感心をしてしまった。

 ハナシの筋が見えてしまえば、あとは如何にドラマチックに作られたかを確認するのみになってしまう。そうなると映像の派手さから言っても、当然87年版に軍配が上がるところだが、フィニッシュの爽快感は本作に軍配が上がる。  
 
ボスを逮捕された組織の人間たちは悪徳弁護士と結託し、陪審員全員を買収して裁判に臨もうとしていた。このままではフランクたちは絶対に負ける。そこでフランクから事情を聞いた裁判官が、開廷前に見事な裁きをする(ネタバレ自主規制)。僕は思わず膝を叩いて唸った。「巧い!」

 今から60年前に「アンタッチャブル」の原型が出来上がっていたことにまずは感動。
 けれど87年版に感動した当時の僕の気持ちはちょっと複雑。
 そして「映画の歴史はやっぱり面白い」と得心。
 残念ながらDVDはありません。

アンタッチャブル(通常版) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
  • メディア: DVD

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