容疑者Xの献身 [2009年 レビュー]
「容疑者Xの献身」(2008年・日本) 監督:西谷弘 脚本:福田靖
いろんなことに合点がいった1本。
僕はテレビドラマをほとんど観ないので(と、言いつつ昨日から始まったNHKの「坂の上の雲」は観た。金かかってんなあ、と思いつつ来週も観る予定)、テレビからスクリーンへ進出した作品には基本ついて行けない。当然だがキャラクターの背景など「知ってて当然」で作ってあるし、テレビで放映されたエピソードもいくつか流用されていたりするからだ。じゃあ、どうして観たかと言えば、単なる興味からである。それ以上でも以下でもない。ついでに多くを語る映画でもなかったので、冒頭の“合点”を簡単にまとめる。
合点その1 「みっちーのギャグの意味」
「ガリレオ」を観ていない僕に、「実におもしろい」のオリジナルはみっちーである。本当に申し訳ないと思ったが、本編でそのセリフが出たときにはつい笑ってしまった。福山の白衣姿も、すかした物言いも、すべてがみっちーに見えてどうしようもなかった。
合点その2 「KOH+誕生の理由」
特に書くことなし。ただ僕が知らなかっただけで(笑)。
合点その3 「日本アカデミー賞」
作品賞、助演男優賞、助演女優賞、とノミネートされているが、主演男優と主演女優のノミネートはなかった。…が、観れば分かる。皆まで言うな。
合点その4 「原作の完成度」
脚本がこれでいいとは思わない。けれど原作は相当おもしろいに違いない、と思った。
天才物理学者と天才数学者のかけひき。そして意表を突いたトリック。エンディングでつい「実におもしろい」と言いそうになった。ただ原作の良さが本作にどこまで出ていたのかが気になる。
脚本についてのみ少し詳しく書いておく。
僕は序盤でどうしても引っ掛かることがあった。それは別れた夫を偶発的に殺してしまった元妻と娘が、警察に届けることをせず、殺人の隠蔽を選んだ理由だ。隣に天才数学者がいたからと言って、その男が自分に好意を寄せているからと言って、「殺人」のほかに「隠匿」の罪まで犯す理由はない。何よりリスクが大き過ぎる。ところがそのエクスキューズはないままドラマは進行する。中盤以降でその理由はあきらかになるが、感情移入させるにはタイミングが遅かったと思う。
クライマックス。明かされたトリックには感心したが、追い込みが足りない。
これは解答を聞いても納得感の薄い難解なクイズと同じで、「問題のポイントはどこにあるか」の説明が足りないのだ。少なくとも「なぜ元妻には完璧なアリバイがあるのか」と、「なぜ一点の曇りなく嘘をつき通せるのか」を観客にとことん考えさせるべきだったと思う。
それにしても、これは堤真一の映画だった。
普段は豪気な役どころの多い彼が、背中を丸めた卑屈な役も出来ると知ってかなり驚いた。この役を堤真一が引き受けてくれたおかげで、作品そのものの“格”が上がったと言ってもいいだろう。
ついでに福山雅治が担当した音楽そのものは気に入った。
やはり原作は読んでおくべきか。
いろんなことに合点がいった1本。
僕はテレビドラマをほとんど観ないので(と、言いつつ昨日から始まったNHKの「坂の上の雲」は観た。金かかってんなあ、と思いつつ来週も観る予定)、テレビからスクリーンへ進出した作品には基本ついて行けない。当然だがキャラクターの背景など「知ってて当然」で作ってあるし、テレビで放映されたエピソードもいくつか流用されていたりするからだ。じゃあ、どうして観たかと言えば、単なる興味からである。それ以上でも以下でもない。ついでに多くを語る映画でもなかったので、冒頭の“合点”を簡単にまとめる。
合点その1 「みっちーのギャグの意味」
「ガリレオ」を観ていない僕に、「実におもしろい」のオリジナルはみっちーである。本当に申し訳ないと思ったが、本編でそのセリフが出たときにはつい笑ってしまった。福山の白衣姿も、すかした物言いも、すべてがみっちーに見えてどうしようもなかった。
合点その2 「KOH+誕生の理由」
特に書くことなし。ただ僕が知らなかっただけで(笑)。
合点その3 「日本アカデミー賞」
作品賞、助演男優賞、助演女優賞、とノミネートされているが、主演男優と主演女優のノミネートはなかった。…が、観れば分かる。皆まで言うな。
合点その4 「原作の完成度」
脚本がこれでいいとは思わない。けれど原作は相当おもしろいに違いない、と思った。
天才物理学者と天才数学者のかけひき。そして意表を突いたトリック。エンディングでつい「実におもしろい」と言いそうになった。ただ原作の良さが本作にどこまで出ていたのかが気になる。
脚本についてのみ少し詳しく書いておく。
僕は序盤でどうしても引っ掛かることがあった。それは別れた夫を偶発的に殺してしまった元妻と娘が、警察に届けることをせず、殺人の隠蔽を選んだ理由だ。隣に天才数学者がいたからと言って、その男が自分に好意を寄せているからと言って、「殺人」のほかに「隠匿」の罪まで犯す理由はない。何よりリスクが大き過ぎる。ところがそのエクスキューズはないままドラマは進行する。中盤以降でその理由はあきらかになるが、感情移入させるにはタイミングが遅かったと思う。
クライマックス。明かされたトリックには感心したが、追い込みが足りない。
これは解答を聞いても納得感の薄い難解なクイズと同じで、「問題のポイントはどこにあるか」の説明が足りないのだ。少なくとも「なぜ元妻には完璧なアリバイがあるのか」と、「なぜ一点の曇りなく嘘をつき通せるのか」を観客にとことん考えさせるべきだったと思う。
それにしても、これは堤真一の映画だった。
普段は豪気な役どころの多い彼が、背中を丸めた卑屈な役も出来ると知ってかなり驚いた。この役を堤真一が引き受けてくれたおかげで、作品そのものの“格”が上がったと言ってもいいだろう。
ついでに福山雅治が担当した音楽そのものは気に入った。
やはり原作は読んでおくべきか。
私はドラマ版をすべて見ていますが、同じ感想でしたよ。
「原作おもしろそうだな」
「たぶんこの映画は原作の良さを出せてないな」
と。
私は堤真一じゃ足りませんでした。温水さんくらい来てほしかったです。
by satoco (2009-12-01 00:40)
温水さんというキャスティングのアイディアに逆nice!です。笑いました。
でも温水さんじゃ、ますますコントに見えちゃうと思うなあw
のちほどsatocoさんのレビューを拝見しに上がります。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-12-01 00:53)
こんばんは。
原作読んでからコレ観ました。
原作絶賛されましたけどわたくしはあんまり感心しませんでした。
(あくまで私感ですが「秘密」や「白夜行」のほうが好きです)
ということでこの映画面白く拝見できました。
原作と比べても悪くなかったと思います。
おっしゃるとおり堤真一さんの映画でした。
by 脳外科医 (2009-12-01 20:57)
原作は読んでいて、映画は未見です。
原作からは確かに温水さんくらいのキャスティングが欲しいかも。
by きさ (2009-12-01 23:43)
>脳外科医さん
原作に感心しなかった方が、映画を面白く観たとは、とても興味深いです。
nice!ありがとうございます。
>きささん
そういう原作なんですね。なるほどなあ。
by ken (2009-12-02 01:13)
いいですよね。『容疑者Xの献身』
まず、題名がいいと思うんです。
『チーム、バチスタの栄光』とか『ジェネラルルージュの凱旋』とか、
題名がうまいと思うんですよ。
最近、ラッセル・クロウの『消されたヘッドライン』と『3時10分、決断の時』を見ましたが、どう譲っても題名がひどい(笑)
とびきりの金の掛かった派手な映画じゃなくても、
人の心をざわざわと感動させる映画は日本はうまいなと思いますね。
by spika (2009-12-03 19:40)
なにより日本人は繊細な国民ですからね。
肉とポテトとコーンしか食わない連中とは明らかに違うわけでw
でも日本人向けに作ってあるから、ざわざわするってのもあるでしょうね。
タイトルは大事です。ホント。
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-12-04 18:33)
ドラマの1話だけ見て主演のヒドさに観るのをやめたBettyです@@;
あの演技は受け入れられなかった・・・
ちなみにミッチーとは誰でしょうか?ドラマ「相棒」の新相棒のあの方しか浮かびません。
原作は良かったですよ。
by Betty (2009-12-05 20:54)
みっちーとは、福山雅治のモノマネをするお笑い芸人です。
やっぱりマイナーだったかあ!w
nice!ありがとうございます。
by ken (2009-12-08 13:19)