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ワールド・オブ・ライズ [2009年 レビュー]

ワールド・オブ・ライズ」(2008年・アメリカ) 監督:リドリー・スコット 脚本:ウィリアム・モナハン

 ハリウッド映画のすごいところは、“もっともらしい嘘”が得意なところだ。
 特にCIAが関わる国家機密モノは、その実態を知る者が少ないだけに、その気になれば“いかようにも”作ることが出来る。こういった作りこみはハリウッドが世界一巧いと思う。そして作りこみが本気であればあるほど「現実を超越した非現実」が完成すると言うわけだ。

 CIAの工作員フェリス(レオナルド・ディカプリオ)と、ベテラン局員のホフマン(ラッセル・クロウ)は、国際的テロリスト組織のリーダーを捕獲する任務に当たっていた。フェリスは世界中を飛び回り、命がけの毎日を送る一方で、上司のホフマンはアメリカの本部や自宅から携帯電話で指示を出すだけ。フェリスはそんなホフマンに不満を抱き、作戦の遂行についても何かと対立をしていた…。

 劇中、重要なアイテムとして「偵察衛星」が登場する。
 この衛星のおかげで、ホフマンはワシントンにいながら世界中どこでも監視することが出来る、という設定になっているのだが、本作における「ハリウッドの本気度」はまずここに現れている。
 この世に偵察衛星が存在していることは事実である。しかしCIAの一局員がそれを自由に動かせるかどうかと、ターゲットの顔まで認識出来る性能かどうかは分からない。分からないけれど、「それくらいのことはもう出来るんだろう」と思わせてしまうところがハリウッドの凄いところなのだ。嘘(Lie)ではない、はったり(Bluff)である。まさに「ブレードランナー」のリドリー・スコットらしい。

 ストーリーも良く出来ている。
 タイトルにある通り「嘘」が重要な鍵を握っていて、嘘が得意なCIA(これは事実)モノとしては秀逸な展開だ。唯一「主人公は絶対に死なない」という予定調和を、予定調和に見せないつもりで用意した設定が効いていないところが残念なくらい。
 「ディパーテッド」と「ブラッド・ダイアモンド」で俳優として完全に開花したディカプリオはここでも安定した演技を見せ、リドリー・スコットから「体重を20キロ増やしてくれ」と依頼されたラッセル・クロウも、毒の抜けかかった嫌味な中年管理職を見事に演じている。2人の掛け合いだけでも見応えは充分。リドリー・スコットのそつのない演出は言うに及ばず。完成度の高いサスペンスだ。観て損はない。

ワールド・オブ・ライズ 特別版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

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コメント 2

**feeling**

デカプリオのお肉もかなり気になる。
by **feeling** (2009-12-31 20:25) 

ken

それがいいのよ。
by ken (2010-01-01 12:41) 

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