シャッター・アイランド [2010年 レビュー]
「シャッター・アイランド」(2009年・アメリカ) 監督:マーティン・スコセッシ
スコセッシ×ディカプリオ4作目となるサスペンスミステリー。
精神を病んだ犯罪者が収容される沖の孤島「シャッター・アイランド」。この施設の隔絶された部屋から、一人の女が忽然と消えた。連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は失踪事件の捜査のため、新しい相棒のチャック(マーク・ラファロ)と共に島に上陸する。しかし捜査は遅々として進まず、テディは苛立ちを見せ始める…。
冒頭で「この映画の結末は、まだ観ていない人に絶対話さないで下さい」的なテロップが出る。実はこの手の“お断り”が本編のオープニングにあるのは珍しい。
予告編やチラシのコピーに使われることはある。
記憶に残るところではデ・パルマの「殺しのドレス」の宣伝コピーが「見たら話さない。見たかったら聞かない」だったし、別の映画の予告編で「結末は、決っっして、話さないで下さいぃぃ」というドスの効いたナレーションも何度か耳にした。
しかし、こと本編の冒頭でとなると、僕の記憶では「シックス・センス」しかない。ただ「シックス・センス」の場合はこういう文言だった。
「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい」
M・ナイト・シャラマンは「結末」という言葉を使わず、さらにブルース・ウィリス名義にした。実はこれが技ありだった。なぜなら「秘密」を知っているはずのブルース・ウィリスが、映画の中では一番肝心なことを知らなかった、という構造だったからだ。ナイト・シャラマンの“仕掛け”はこれ以上ないほど用意周到だったのだ。
それに引き換えスコセッシは、残念ながら「結末」と断定してしまった。正直この“演出”はプラスよりもマイナスに働いているように思う。なぜなら「…と、言うことは相応の結末が待っているんだな」と、構えてしまうからだ。こういうのは良くない。観ながらどうしてもオチを想像してしまうし、事実僕の知人は「途中で分かりましたよ」としたり顔で言い、結果的に「面白くなかった」という結論に着地してしまっていた。
僕は冒頭のテロップを観た瞬間から、“余計なことは考えない”ようにした。だから、「そう来たか」と思えたけれど、何の前フリもなく見せられた方がよほど衝撃的だったと思う。
さて、結末はともかく。僕はファーストカットがとても気に入った。シャッター・アイランドに向かう船が霧の中から姿を見せるというシーンだが、これがとても濃厚でいい。僕はこのワンカットだけで「さすがスコセッシ」と感心し、この映画を観た甲斐があったと思った。振り返ればこのカットには「どこからやって来たのか分からない」という意味も込められていたように思う。そして「もう一度最初から観たい」と思わせる、力のあるファーストカットだった。
ちなみに僕は「超日本語吹き替え版」を観た。
字幕に目を奪われていると、作品本来の面白さを“見逃す”恐れがある。まるで2時間ドラマのようなテロップも入るが、これも悪くない。ディカプリオの声を聴きたい人は2回観ればいい。僕はマーク・ラファロが気に入った。
スコセッシ×ディカプリオ4作目となるサスペンスミステリー。
精神を病んだ犯罪者が収容される沖の孤島「シャッター・アイランド」。この施設の隔絶された部屋から、一人の女が忽然と消えた。連邦保安官のテディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)は失踪事件の捜査のため、新しい相棒のチャック(マーク・ラファロ)と共に島に上陸する。しかし捜査は遅々として進まず、テディは苛立ちを見せ始める…。
冒頭で「この映画の結末は、まだ観ていない人に絶対話さないで下さい」的なテロップが出る。実はこの手の“お断り”が本編のオープニングにあるのは珍しい。
予告編やチラシのコピーに使われることはある。
記憶に残るところではデ・パルマの「殺しのドレス」の宣伝コピーが「見たら話さない。見たかったら聞かない」だったし、別の映画の予告編で「結末は、決っっして、話さないで下さいぃぃ」というドスの効いたナレーションも何度か耳にした。
しかし、こと本編の冒頭でとなると、僕の記憶では「シックス・センス」しかない。ただ「シックス・センス」の場合はこういう文言だった。
「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい」
M・ナイト・シャラマンは「結末」という言葉を使わず、さらにブルース・ウィリス名義にした。実はこれが技ありだった。なぜなら「秘密」を知っているはずのブルース・ウィリスが、映画の中では一番肝心なことを知らなかった、という構造だったからだ。ナイト・シャラマンの“仕掛け”はこれ以上ないほど用意周到だったのだ。
それに引き換えスコセッシは、残念ながら「結末」と断定してしまった。正直この“演出”はプラスよりもマイナスに働いているように思う。なぜなら「…と、言うことは相応の結末が待っているんだな」と、構えてしまうからだ。こういうのは良くない。観ながらどうしてもオチを想像してしまうし、事実僕の知人は「途中で分かりましたよ」としたり顔で言い、結果的に「面白くなかった」という結論に着地してしまっていた。
僕は冒頭のテロップを観た瞬間から、“余計なことは考えない”ようにした。だから、「そう来たか」と思えたけれど、何の前フリもなく見せられた方がよほど衝撃的だったと思う。
さて、結末はともかく。僕はファーストカットがとても気に入った。シャッター・アイランドに向かう船が霧の中から姿を見せるというシーンだが、これがとても濃厚でいい。僕はこのワンカットだけで「さすがスコセッシ」と感心し、この映画を観た甲斐があったと思った。振り返ればこのカットには「どこからやって来たのか分からない」という意味も込められていたように思う。そして「もう一度最初から観たい」と思わせる、力のあるファーストカットだった。
ちなみに僕は「超日本語吹き替え版」を観た。
字幕に目を奪われていると、作品本来の面白さを“見逃す”恐れがある。まるで2時間ドラマのようなテロップも入るが、これも悪くない。ディカプリオの声を聴きたい人は2回観ればいい。僕はマーク・ラファロが気に入った。
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私は字幕版を見ました。
ファーストカットがもう、謎っぽくて良かったですよね。
そして、映像が凄く良かったのに
ネタバレになりそうであまり言えなくて残念です。
シックスセンスとは違って
途中で、もう分からなくなってきて
私はメメントみたいに感じました。
by コッスン (2010-04-10 00:12)
あのファーストカットは久しぶりに、ぞくっと来た映像でした。
メメントは未見なんですが、きっとこの映画は字幕よりも吹き替え版がいいと
思います。ま、僕は最近、字幕を追うのに疲れてるってのもありましたけどw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-10 09:59)
「超日本語吹き替え版」というのがあるんですね。
この映画、観ようかどうか迷っていたんですが、
kenさんのレビューを読んで、やっぱり観ようと思いました。
「結末」が気になります……。
ご紹介ありがとうございました。
by lucksun (2010-04-11 01:19)
過度な期待は禁物ですので、お気をつけ下さいませw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-11 23:20)
こんにちは☆
>何の前フリもなく見せられた方がよほど衝撃的
そうなんですよね、、、
自分がいかに情報に翻弄されるかを痛感しました、、T_T
あの冒頭のシーンはよかったですね☆
by ジジョ (2010-04-17 07:33)
いえ。僕も完全に翻弄されましたw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-17 10:22)
kenさんの記事を読んで俄然見に行きたくなりました。
もちろんディカプリオファンですから!(笑)
吹き替えを見る人が多いらしいとは
なにがで聞きましたが
kenさんの理由をきいて納得。
by ecco (2010-04-18 06:14)
ディカプリオファンなら、字幕で観たいでしょうね。
でも映画を楽しむなら、吹き替え版がいいですよ!
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-18 12:02)
こんばんは。
この作品は構えて見てしまうと詰まらなくなってしまいますよね。
オチは直ぐに分かってしまったので、途中で頭を切り替えました(^_^;)
謎よりも彼の心を見つめていた方が面白さが増す気がしました☆
by non_0101 (2010-04-18 20:14)
僕って意外とオチに気付かないので(バカなんですw)そこそこ楽しめましたけど、
オープニングで出たテロップは、エンディングで良かったんじゃないかと
今は思います。それが新しい演出の気がするな。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-19 01:35)
いつも参考にさせていただいています。今回も超吹き替え版で観賞してきました。NONさんのおっしゃるように、途中でこれって?と思いましたが、ディカプリオの狂気がだんだん増して、チリチリするように伝わってきました。
これからも、視点の違う批評、楽しみにしています。
by eklady (2010-04-23 19:40)
こんばんは。
最初から謎が謎を呼ぶ展開で、とてもおもしろかったです。時間があっという間に過ぎました。ディカプリオの魅力も映画のおもしろさに貢献したと思います。
マーク・ラファロは最初と後の顔が違って見えました。いい役者ですね。
by coco030705 (2010-04-23 23:22)
>ekladyさん
いつもありがとうございます。
超吹き替え版、良かったですよね?
押し売りにならない、レビューをこれからも書き続けたいと思いますw
>coco030705さん
マーク・ラファロがこの映画最大の功労者かもしれませんね。
あの顔も好きですw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-04-26 13:23)
こんばんは~^^
やっと観てきて、
記事も書いたのでお邪魔いたしました!
最初に色々言われちゃったもんだから、
色々目配りしたりしてたんだけど、
途中からはもう普通に観ることにしました。
結末が途中で解ろうが、
そこに行き着くまでの物語と、役者さんの演技を楽しみました。
by てくてく (2010-04-27 19:41)
結局はフツーに観るのが正解ですねw
だから冒頭で、ヘンな演出してほしくなかったんですよ。
by ken (2010-04-28 20:48)
字幕版を見ました。
かなりの豪華キャストがいいですね。
面白かったですが、ちょっと長かったかな。
絵作りはさすがですね。
ラストは半村良の傑作短編を連想してしまいました。
ネタバレなのでその短編のタイトル書けませんが、
個人的にはアッチの方が良く出来ていたかな。
by きさ (2010-05-17 23:19)
仕掛けが多数あったので、長くならざるを得なかったのでしょう。
確かにちょっと中だるみしたかも。
by ken (2010-05-19 02:15)