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007/リビング・デイライツ [2010年 レビュー]

007/リビング・デイライツ」(1987年・イギリス) 監督:ジョン・グレン

 シリーズ15作目はティモシー・ダルトンが4代目ボンドとして登場する。
 若返りっていいもんだ。嫁と畳とボンドは新しい方がいい。

 前作「美しき獲物たち」のロジャー・ムーアは57歳。今作のティモシー・ダルトンは41歳。一気に16歳も若返ると印象もずいぶんと変わる。なんたってプレタイトルからかなりのアクションをこなしていて、過去3代のボンドと比べると身体も一番動いていたと思う。世のご婦人にしても若い男のほうがお好みだろう。
 唯一懸念材料だったダルトンの顔の濃さも(スチルを見たときは中東出身かと思ったが、れっきとしたイギリス人だった)意外と許容範囲内で、ロジャー・ムーアのようにチャラくないのがいい(プレタイトルでは一瞬エロいけれど)。
 作品そのものも気に入った。その理由は「なかなかシリアスなスパイ映画」だったからだ。ストーリーはあえて追わないが、東西冷戦を背景に「亡命」、「暗殺」、「罠」、「かけひき」、そして「ミッション・インポッシブル」が幾重にも仕掛けられていて、後半は「どこまでやるの?」と思わないでもなかったが、過去14作とは明らかに気合の入り方が違った。

 その気合はスタントシーンに顕著だった。
 一番驚いたのは、輸送機のハッチから飛び出した貨物の網に、ボンドと殺し屋がぶら下がりながら闘うスタント。今ならCGでちょいちょいと作ってしまうだろうけれど、この時代はまだ度胸のある人間が死ぬ気でやってる時代だ。そんなスタントマンもさることながら、僕はカメラマンの仕事っぷりに驚いた。一体どうやって撮影したのだろう。メイキングを見たくなるほどスゴイ映像だった。考えてみれば「ボンド映画の歴史はスタントの歴史」なのだ。

 本作はシリーズ生誕25周年作品でもある。
 「ドクター・ノオ」を20歳で観た客は45歳になっているわけだが、そろそろ若い客を取り込むためにも大きな変化を求められた作品でもあったわけだ。そういう意味で、ロジャー・ムーアとルイス・マクスウェルの降板はいいきっかけだった。
 アフガン情勢を盛り込んだ脚本も今までにないタッチだったし、荒唐無稽な設定から脱却した「新たな007映画」の誕生だったのではないかと思う。
 そう言いながら、古くからのファンにも応えるべく、ボンドの盟友CIAのフェリクス・ライターを「死ぬのは奴らだ」以来で登場させたのも良かったし(久々なんだから、何者なのか説明があっても良かったと思うけれど)、肉体を武器にしないボンドガールだったのも良かった。しかも登場したのはマリアム・ダボ一人だけである。
 ボンドガールが一人しか登場しないのは「女王陛下の007」以来2度目で、現在まででこれが最後のケースでもある。つまりボンドの浮気性は封印されていたわけだ。この設定がシリアス感を醸し出していた一因と言えるだろう。

 本作は「カジノ・ロワイヤル」に破られるまで、19年間シリーズ最大のヒット作だったそうだ。
 納得。

 JAMES BOND WILL RETURN

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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coco030705

こんばんは。
この映画はよかったですね。ティモシー・ダルトンのボンドが好きです。
でもたった2作でティモシーは降りてしまいましたね。ケガをしたからか、
やはりボンド役はキツかったからか……。大変残念に思いました。
by coco030705 (2010-06-30 22:46) 

きさ

ティモシー・ボンド良かったです。
マリアム・ダボのヒロインも良かったですが、その後見ませんね。
by きさ (2010-07-01 05:31) 

ken

>coco030705さん
 ティモシー・ボンドは僕も想像以上に良かったなと思いました。
 そういえば2作で降板だったんですねえ。もったいない。
 nice!ありがとうございます。

>きささん
 マリアム・ダボは久々にグッと来たボンドガールでした。
 でもその後、パッとしなかったようですね。こちらももったいない。
 nice!ありがとうございます。
by ken (2010-07-02 06:27) 

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