ネバーセイ・ネバーアゲイン [2010年 レビュー]
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983年・アメリカ) 監督:アーヴィン・カーシュナー
奇天烈な映画である。
主人公はジェームズ・ボンドを名乗り、それをショーン・コネリーが演じているが、これは007シリーズ作品ではない。だからガンバレル・シークエンスもなければ、「ジェームズ・ボンドのテーマ」も流れない。なぜこんな作品が産まれることになったのか。すべては原作者イアン・フレミングのフライングが原因だが(007の共同脚本を自身のオリジナル小説として発表してしまった)、複雑な話なので興味のある人はwikiあたりで調べるといいだろう。
ともかくこれは「007シリーズとは無縁の、独立したボンド映画」である。
その内容も奇天烈である。
まず脚本が酷い。ストーリーはショーン・コネリー12年ぶりの復帰に合わせて、ボンドも久しぶりの現場復帰という設定になっていて、ボンドは新任のMに「まず、その身体をなんとかしろ」的なことを言われる。確かにプレタイトルを観た客は、ショーン・コネリーのだらしない身体とキレの無い立ち回りにガッカリしたと思う。だからと言って、自虐的なネタをストーリーに盛り込んで欲しくなかった。これは早い話が楽屋オチ。まったくスタイリッシュじゃないし、これじゃパロディ映画と変わらない。
ちなみに僕が一番驚いたのは、英国大使館員役でミスター・ビーンこと、ローワン・アトキンソンが出ていたこと。おかげで余計にパロディ映画に見えてしまった。
さらに音楽も奇天烈である。
ボンド映画の音楽をミシェル・ルグランが担当している。あの「シェルブールの雨傘」のミシェル・ルグランである。頼んだ人間の気も知れないが、受けたルグランの気も知れない。と言うのも「出来ないなら、断れば良かったじゃん」と言いたくなるほどのスコアなのだ。
あるシーンでは座りの悪い曲が、のっぺりと張り付いているかと思えば、ぐだぐだのアクションシーンになんの音楽も付けずに知らんぷりしていたりする。その仕事ぶりはオスカーを3度も受賞した人とは思えないほどだ。
それを許した監督はアーヴィン・カーシュナーである。
カーシュナーはこの3年前にスター・ウォーズシリーズ最高傑作の「帝国の逆襲」を撮っているが、本作を観てしまうと「帝国の逆襲」が面白いのは、少なくともカーシュナーの力じゃないような気がしてきた。この2作品は雲泥の差だ。
ハナシが逸れた。
しかし、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」はひとつだけいい仕事をしている。それは人気に陰りの見えていた“本家”007を救ったことだ。
ボンドの身のこなしが軽くなく、「ジェームズ・ボンドのテーマ」も聴けず、なにより作品としての完成度が低いために、多くの観客は「ホンモノの007を観たい」と思ったに違いない。少なくとも僕はそうだった。
この作品は007シリーズの時系列に合わせ、「オクトパシー」のあとに観るのがいいだろう。すると「美しき獲物たち」も、まだマシに見えるに違いない。
ちなみにボンドガール(と呼んでいいのか?)はキム・ベイシンガー。若い。そして身体が柔らかい。観れば意味は分かる。
エンドクレジット。
さすがに「JAMES BOND WILL RETURN」は出なかった(笑)。
奇天烈な映画である。
主人公はジェームズ・ボンドを名乗り、それをショーン・コネリーが演じているが、これは007シリーズ作品ではない。だからガンバレル・シークエンスもなければ、「ジェームズ・ボンドのテーマ」も流れない。なぜこんな作品が産まれることになったのか。すべては原作者イアン・フレミングのフライングが原因だが(007の共同脚本を自身のオリジナル小説として発表してしまった)、複雑な話なので興味のある人はwikiあたりで調べるといいだろう。
ともかくこれは「007シリーズとは無縁の、独立したボンド映画」である。
その内容も奇天烈である。
まず脚本が酷い。ストーリーはショーン・コネリー12年ぶりの復帰に合わせて、ボンドも久しぶりの現場復帰という設定になっていて、ボンドは新任のMに「まず、その身体をなんとかしろ」的なことを言われる。確かにプレタイトルを観た客は、ショーン・コネリーのだらしない身体とキレの無い立ち回りにガッカリしたと思う。だからと言って、自虐的なネタをストーリーに盛り込んで欲しくなかった。これは早い話が楽屋オチ。まったくスタイリッシュじゃないし、これじゃパロディ映画と変わらない。
ちなみに僕が一番驚いたのは、英国大使館員役でミスター・ビーンこと、ローワン・アトキンソンが出ていたこと。おかげで余計にパロディ映画に見えてしまった。
さらに音楽も奇天烈である。
ボンド映画の音楽をミシェル・ルグランが担当している。あの「シェルブールの雨傘」のミシェル・ルグランである。頼んだ人間の気も知れないが、受けたルグランの気も知れない。と言うのも「出来ないなら、断れば良かったじゃん」と言いたくなるほどのスコアなのだ。
あるシーンでは座りの悪い曲が、のっぺりと張り付いているかと思えば、ぐだぐだのアクションシーンになんの音楽も付けずに知らんぷりしていたりする。その仕事ぶりはオスカーを3度も受賞した人とは思えないほどだ。
それを許した監督はアーヴィン・カーシュナーである。
カーシュナーはこの3年前にスター・ウォーズシリーズ最高傑作の「帝国の逆襲」を撮っているが、本作を観てしまうと「帝国の逆襲」が面白いのは、少なくともカーシュナーの力じゃないような気がしてきた。この2作品は雲泥の差だ。
ハナシが逸れた。
しかし、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」はひとつだけいい仕事をしている。それは人気に陰りの見えていた“本家”007を救ったことだ。
ボンドの身のこなしが軽くなく、「ジェームズ・ボンドのテーマ」も聴けず、なにより作品としての完成度が低いために、多くの観客は「ホンモノの007を観たい」と思ったに違いない。少なくとも僕はそうだった。
この作品は007シリーズの時系列に合わせ、「オクトパシー」のあとに観るのがいいだろう。すると「美しき獲物たち」も、まだマシに見えるに違いない。
ちなみにボンドガール(と呼んでいいのか?)はキム・ベイシンガー。若い。そして身体が柔らかい。観れば意味は分かる。
エンドクレジット。
さすがに「JAMES BOND WILL RETURN」は出なかった(笑)。
2010-08-10 19:47
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コメント(2)
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当時、名画座で見たのですが、結構楽しめました。
いかにもB級映画っぽい仕上がりでした。
「帝国の逆襲」は好きなんですが、こちらはカーシュナーも色々大変だったんでしょう。
要はプロデューサーがダメだったという事ではないかと。
by きさ (2010-08-11 10:31)
プロデューサーの力がいかに重要かを思い知りましたw
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-08-11 12:39)