PARIS [2010年 レビュー]
「PARIS」(2008年・フランス) 監督・脚本:セドリック・クラビッシュ
来週16年ぶりにパリへ行く。2度目のパリ。一人旅。
娘が産まれて間もないので後ろ髪引かれる思いも若干あるが、今回はルーブル、ポンピドー、ベルサイユと美術館巡りをする予定なので、実は愉しみでもある。
初めてのパリは31歳のときだった。当時の僕はまだアメリカン・カルチャーに夢中で、ヨーロッパにはまったく関心が無かった。「ヨーロッパを愉しむのはもう少し歳をとってからでいい」と勝手に思っていたくらいだ。
ところが、いざパリに降りてみると、アメリカとは比べ物にならない“文化の年輪”に、僕は心を鷲づかみされてしまう。パリに比べたらアメリカは赤子同然だった。
あれからパリはどう変わっただろう。
そんなことを確認したくて、2008年の本作を観る。主演はジュリエット・ビノシュ。僕は彼女が出ているというだけで期待をしてしまう。
群像劇。
心臓病を患い、移植手術を受けなければ余命わずかと言われた元ダンサー。
その姉、女手ひとつで3人の子どもを育てる社会福祉士。
年甲斐もなく教え子に恋をした歴史学者。
離婚後も同じ市場で働く元夫婦。
兄を頼りに不法入国をたくらむカメルーンの少年。
…タイトルからストーリーが想像できないだけに、途中ドラマの向かう先が見えなくて困った。群像劇もたとえば「恋愛」とか「クリスマス」といった明確なテーマがないと見にくいものらしい。最近は娘のケアで寝不足気味ということもあり、僕は途中何度も落ちそうになった。
しかし、決して悪い映画じゃなかった。観かたさえ間違わなければ「佳作」と評価することも出来る。ではどう観るのがいいか。一見何の脈略もない登場人物たちだが、彼らにはある共通点があった。
それは「小さな不満を抱えている」こと。
観客はそんなパリ市民を見守ることになる。そして無作為に選ばれた登場人物たちを“串刺し”にするのが、心臓病を患うムーラン・ルージュの元ダンサー、ピエールである。
エンディング間近。ピエールの漏らす一言が金言。そこで多くの観客は自分の置かれた立場を理解するだろう。自分がいかに幸せであるかを。
ジュリエット・ビノシュはとても魅力的。ぼさぼさのヘアメイクも決まっていて、中年女性の色気をときどき感じさせてくれた。
発見だったのは「イングロリアス・バスターズ」で見い出したメラニー・ロランが出演していたこと。観ようと思った映画に自分好みの女優が2人も出ていたら、それだけでもう満足。
「PARIS」というタイトルの割に、美しい景観が少なかったのはちょっと残念。
来週この目で確かめよう。
来週16年ぶりにパリへ行く。2度目のパリ。一人旅。
娘が産まれて間もないので後ろ髪引かれる思いも若干あるが、今回はルーブル、ポンピドー、ベルサイユと美術館巡りをする予定なので、実は愉しみでもある。
初めてのパリは31歳のときだった。当時の僕はまだアメリカン・カルチャーに夢中で、ヨーロッパにはまったく関心が無かった。「ヨーロッパを愉しむのはもう少し歳をとってからでいい」と勝手に思っていたくらいだ。
ところが、いざパリに降りてみると、アメリカとは比べ物にならない“文化の年輪”に、僕は心を鷲づかみされてしまう。パリに比べたらアメリカは赤子同然だった。
あれからパリはどう変わっただろう。
そんなことを確認したくて、2008年の本作を観る。主演はジュリエット・ビノシュ。僕は彼女が出ているというだけで期待をしてしまう。
群像劇。
心臓病を患い、移植手術を受けなければ余命わずかと言われた元ダンサー。
その姉、女手ひとつで3人の子どもを育てる社会福祉士。
年甲斐もなく教え子に恋をした歴史学者。
離婚後も同じ市場で働く元夫婦。
兄を頼りに不法入国をたくらむカメルーンの少年。
…タイトルからストーリーが想像できないだけに、途中ドラマの向かう先が見えなくて困った。群像劇もたとえば「恋愛」とか「クリスマス」といった明確なテーマがないと見にくいものらしい。最近は娘のケアで寝不足気味ということもあり、僕は途中何度も落ちそうになった。
しかし、決して悪い映画じゃなかった。観かたさえ間違わなければ「佳作」と評価することも出来る。ではどう観るのがいいか。一見何の脈略もない登場人物たちだが、彼らにはある共通点があった。
それは「小さな不満を抱えている」こと。
観客はそんなパリ市民を見守ることになる。そして無作為に選ばれた登場人物たちを“串刺し”にするのが、心臓病を患うムーラン・ルージュの元ダンサー、ピエールである。
エンディング間近。ピエールの漏らす一言が金言。そこで多くの観客は自分の置かれた立場を理解するだろう。自分がいかに幸せであるかを。
ジュリエット・ビノシュはとても魅力的。ぼさぼさのヘアメイクも決まっていて、中年女性の色気をときどき感じさせてくれた。
発見だったのは「イングロリアス・バスターズ」で見い出したメラニー・ロランが出演していたこと。観ようと思った映画に自分好みの女優が2人も出ていたら、それだけでもう満足。
「PARIS」というタイトルの割に、美しい景観が少なかったのはちょっと残念。
来週この目で確かめよう。
>美しい景観が少なかったのはちょっと残念
俺、この映像でいいと思ってます。
生活者の視点でのパリ、きれいでも汚くもなく、あるように撮る。
共感できました。
メラニー・ロラン、俺も好きです。
パリ、楽しんできてください。
もう、秋で、しっとりと濡れたムードのパリは男一人が似合いますよ。
by うろごつはくば (2010-09-04 21:08)
言われてみればそうですね。何気ない風景がいいのかも。
今回はローライ1本勝負しようと思ってます。
だからなおさらそんな風景でいいのかも。
パリではセレブリティに混じって、とある晩餐会に出て来ます。
20年前、食うにも困る貧乏野郎だったのに、人生なんて分からんもんです。
by ken (2010-09-05 00:57)
パリ、行ったことないんです。老後の愉しみにとっておくのももったいないきもしてるんですが。
ジュリエット・ビノシュ、そういえば、最近観てません。さすがにフランス人、すてきな年のとり方をしてるんですね。
道中お気をつけて。晩餐会楽しんできてくださーい。
by カオリ (2010-09-07 22:26)
超あこがれの人です。ジュリエット・ビノシュ。
老後の愉しみにするには、ちょっと体力もいる街かと思います。
食もいいしね。
by ken (2010-09-08 00:13)
私も初めてのパリは30そこそこでした。
ヨーロッパの築き上げた年輪を全く理解できず、
まったく楽しくなかったという記憶があります。
今思うともったいないことをしたな、と思うのでした。
旅の安全をお祈りしています。
by ぐった (2010-09-13 16:22)
この作品結構好きです。
確かに華やかなパリはでてきませんが、
リアルなパリが描かれてると思います。
今となっては笑っちゃうくらい何も身になってませんが、学生時代は仏文専攻でした。
ああ、また行きたいなぁ、パリ。
Bon Voyage!
by movielover (2010-09-14 23:00)
>ぐったさん
47にしてパリを堪能することが出来ました。
またすぐ行きたい!
>movieloverさん
仏文専攻でしたか。勉強してから行くと、また楽しいでしょうね。
行きましょうよ、パリ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-09-16 00:12)