コットンクラブ [2010年 レビュー]
「コットンクラブ」(1984年・アメリカ) 監督・脚本:フランシス・コッポラ 脚本:ウィリアム・ケネディ
タイトルは1920年代にニューヨーク・ハーレム地区で開業した実在の高級ナイトクラブ。
白人のために黒人のジャズとショウを楽しませる店だったようだが、リチャード・ギア扮するディキシーがコルネット奏者として出演するなど、映画の中では若干脚色が加えられている。
本作はこのクラブを“メインステージ”にした群像劇。
ある夜、ダイナマイトを投げつけられたギャングのボス、ダッチ(ジェームズ・レマー)を救ったことから、付き人になったコルネット奏者ディキシー。
そのディキシーと互いに惹かれ合いながらも、ダッチの愛人となる歌手のヴェラ(ダイアン・レイン)。
兄ディキシーのコネを使ってダッチに取り入る野心家のヴィンセント(ニコラス・ケイジ)。
一流のタップダンサーを夢見て、兄と共にコットンクラブのオーディションを受けるサンドマン(グレゴリー・ハインズ)。
そしてコットンクラブのオーナーで暗黒街の顔役でもあるオニー(ボブ・ホスキンズ)などなど…。華やかな表舞台と、抗争の絶えない裏舞台を表裏一体にして、禁酒法下のハーレムの様が色鮮やかにときにドス黒く描かれている。
ちなみに原案作成にはマリオ・プーゾも参加していた。
観るのはおそらく20年以上ぶりだったと思う。
公開当時からお気に入りの作品で、まだレンタルビデオ屋が出始めの頃に、確か2,500円も払ってVHSダビング(もちろん違法だ)をした記憶がある。だから何度観たか分からない。そのせいか20年以上も経って、大して重要じゃないシーンの台詞が無意識に出て来て驚いた。コットンクラブのオーディションに合格し、楽屋まで案内されるサンドマン兄弟。途中譜面を手に打ち合わせ中の男を弟が指さして一言。
「デューク・エリントンだ」
リズミカルな、いい間の編集が施してあって心地良い。
それにしても。
改めて観るとずいぶんセンチメンタルな映画だったと思う。
一番気になったのは、恐らく女には不自由しないだろうディキシーが、クラブで偶然出逢ったヴェラに何年も想いを寄せていることに対して、その理由がまったく語られなかったことfだ。惚れた女はギャングの情婦になり、自分はその使いっ走りをさせられて、仮に「その屈辱を晴らすため」と言うなら、ヴェラに対して純粋な気持ちではいられまい。
こういった説明不足はコッポラの美意識がもらたした弊害だと思った。特にエンディングでディキシーが放つ台詞、「ハッピーエンドに乾杯」はコッポラの映画人生において「最大級の失点」である。
ただし。もしかしたらプロデューサーであるロバート・エヴァンスの意向が反映されていたのかも、と思わなくもない。「くたばれ!ハリウッド」で彼の強引なやり方を垣間見ると、多少コッポラを弁護したくもなる。
と言いつつ、やっぱり僕はこの映画が好きだ。
リチャード・ギアのコルネットの“吹き真似”は見ていられないけれど、モーリス&グレゴリー・ハインズという実の兄弟で演じたサンドマン兄弟のタップは見事なプレイで、全編に流れるジャズ・ナンバーも耳障り良く、キャストのハマリ具合もレベルは高い。若かりし頃のニコラス・ケイジやローレンス・フィッシュバーンは一種のお宝映像的であり、なによりリチャード・ギアとダイアン・レインが美しい。
これを踏まえて、近いうちに「最後の初恋」を観るのだ。年を重ねたギアとレインがどんな演技を見せるのか。永らく映画を観てきて良かったと思えると嬉しい。
タイトルは1920年代にニューヨーク・ハーレム地区で開業した実在の高級ナイトクラブ。
白人のために黒人のジャズとショウを楽しませる店だったようだが、リチャード・ギア扮するディキシーがコルネット奏者として出演するなど、映画の中では若干脚色が加えられている。
本作はこのクラブを“メインステージ”にした群像劇。
ある夜、ダイナマイトを投げつけられたギャングのボス、ダッチ(ジェームズ・レマー)を救ったことから、付き人になったコルネット奏者ディキシー。
そのディキシーと互いに惹かれ合いながらも、ダッチの愛人となる歌手のヴェラ(ダイアン・レイン)。
兄ディキシーのコネを使ってダッチに取り入る野心家のヴィンセント(ニコラス・ケイジ)。
一流のタップダンサーを夢見て、兄と共にコットンクラブのオーディションを受けるサンドマン(グレゴリー・ハインズ)。
そしてコットンクラブのオーナーで暗黒街の顔役でもあるオニー(ボブ・ホスキンズ)などなど…。華やかな表舞台と、抗争の絶えない裏舞台を表裏一体にして、禁酒法下のハーレムの様が色鮮やかにときにドス黒く描かれている。
ちなみに原案作成にはマリオ・プーゾも参加していた。
観るのはおそらく20年以上ぶりだったと思う。
公開当時からお気に入りの作品で、まだレンタルビデオ屋が出始めの頃に、確か2,500円も払ってVHSダビング(もちろん違法だ)をした記憶がある。だから何度観たか分からない。そのせいか20年以上も経って、大して重要じゃないシーンの台詞が無意識に出て来て驚いた。コットンクラブのオーディションに合格し、楽屋まで案内されるサンドマン兄弟。途中譜面を手に打ち合わせ中の男を弟が指さして一言。
「デューク・エリントンだ」
リズミカルな、いい間の編集が施してあって心地良い。
それにしても。
改めて観るとずいぶんセンチメンタルな映画だったと思う。
一番気になったのは、恐らく女には不自由しないだろうディキシーが、クラブで偶然出逢ったヴェラに何年も想いを寄せていることに対して、その理由がまったく語られなかったことfだ。惚れた女はギャングの情婦になり、自分はその使いっ走りをさせられて、仮に「その屈辱を晴らすため」と言うなら、ヴェラに対して純粋な気持ちではいられまい。
こういった説明不足はコッポラの美意識がもらたした弊害だと思った。特にエンディングでディキシーが放つ台詞、「ハッピーエンドに乾杯」はコッポラの映画人生において「最大級の失点」である。
ただし。もしかしたらプロデューサーであるロバート・エヴァンスの意向が反映されていたのかも、と思わなくもない。「くたばれ!ハリウッド」で彼の強引なやり方を垣間見ると、多少コッポラを弁護したくもなる。
と言いつつ、やっぱり僕はこの映画が好きだ。
リチャード・ギアのコルネットの“吹き真似”は見ていられないけれど、モーリス&グレゴリー・ハインズという実の兄弟で演じたサンドマン兄弟のタップは見事なプレイで、全編に流れるジャズ・ナンバーも耳障り良く、キャストのハマリ具合もレベルは高い。若かりし頃のニコラス・ケイジやローレンス・フィッシュバーンは一種のお宝映像的であり、なによりリチャード・ギアとダイアン・レインが美しい。
これを踏まえて、近いうちに「最後の初恋」を観るのだ。年を重ねたギアとレインがどんな演技を見せるのか。永らく映画を観てきて良かったと思えると嬉しい。
観たのは随分前でした。
なつかしい。
by うろごつはくば (2010-10-10 10:23)
お互い若かったですね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-10-11 00:16)
これと「アマデウス」の2本立てを立ち見した自分は若かったと思います。
主演二人の美男美女ぶりが印象的でしたが、今見るとすごい豪華キャストですね。グレゴリー・ハインズ目当てにもう一度見たいです。
by satoco (2010-10-11 02:07)
濃厚な2本立てですねw
キャストは(今だからこそ)豪華で楽しめます。
そして若くして逝ったグレゴリー・ハインズに涙します。
ぜひご覧になって下さい。
nice!ありがとうございます。
by ken (2010-10-11 02:29)
遅ればせのリチャード・ギアファンになり(笑)
初めてこの映画をみました。
「デューク・エリントンだ」
のシーンは普通に見ましたが
そうか・・・あとでもう一度見てみよう!
私はタップダンスが大好きで
ほんと見応えありましたね。
ラストでのタップと殺しが重なっていくシーンはなんかすごかった・・・!
by ecco (2012-03-25 11:03)
今頃リチャギファンになられたとは、何がきっかけだったのでしょう!
ちょっと驚きですw
でもこの映画のギア様はカッコいいですよねえ。
他に「オータム・イン・ニューヨーク」もオススメですよ。
映画としては完全にスカですけど、リチャギがやっぱりカッコいいです。
nice!ありがとうございます。
by ken (2012-03-25 22:50)