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GANTZ:PERFECT ANSWER(2011年・日本) [2011年 レビュー]

GANTZ: PERFECT ANSWER」 監督:佐藤信介 脚本:渡辺雄介

 後編は原作と違うオリジナルストーリーだそうだが、原作を読んでいない僕には無関係。
 東宝は先行試写会を行った際、観客に「結末を口外しない」という念書を取ったそうだ。それをPRにも流用していたけれど、僕はこの手のアピールを感心しない。
 過去同様のことがあったときも書いてきたが、これは自分で自分の首を絞めるようなものなのだ。口外してはいけないほどの結末とは何なのか。観客の想像は無限大に膨らむ一方で、それを超えてきた作品はほとんど無かったと思う。少なくとも僕は、常にストーリーの2歩くらい先を想像しながら見ることになってしまい、どうにも素直に愉しめなかった。

 しかし驚くのは実写に対するこだわりである。
 パート1に続き、本作にも何度か大きな爆発のシーンがあるが、それらはCGではなく本当にぶっ放していると思う。もしかして役者との距離感だけはデジタル処理されているかも知れないが、“暴れる火”は間違いなくホンモノだ。
 CGでなんでもかんでも出来る時代だからこそ、ホンモノの持つ力は大きい(…とも、何度も書いてきた)。そしてホンモノだけが観客の心に届くのだ。
 
 さて肝心のドラマ。
 「衝撃の結末」と聞いて、いくつかの展開を想像している最中に僕は映画のPRに接触してしまい、玄野計(二宮和也)を慕う小島多恵(吉高由里子)がGANTZの標的になることを知った。それで僕は「実は多恵も“星人”なのではないか」と思った。もしもそうならストーリーはどうであれ、そこには大いなる葛藤もあるだろうと期待したが、これは僕の“勝手な想像”に過ぎなかった。…ほら。だから「衝撃の結末」なんてあおるのは良くないのだ。
 ストーリーはかなり“盛った”感がある。盛り過ぎて、いくつかのパートが薄くなったようにも思う。一番残念だったのは、一連の事件を調査する重田正光(山田孝之)の存在がいま一つ効いていなかった点だ。パート1のエンディングに思わせぶりで登場しながら、これではちょっと期待を裏切られたと言わざるを得ない。
 …と、不満はいくつもあるが、やはりこの作品の
「無国籍」なタッチは好きだ。
 日本のマンガが国境を軽々と越えたように、若い世代が作る日本映画も近い将来、ボーダレスになるんじゃないか、という期待はさせた。だから、GANTZに召集されるメンバーが多国籍だったらと思った。それはそれできっと見応えがあるに違いない。

 本作でもっとも秀逸だったのは川井憲次の音楽。
 GANTZの世界観を構築し、登場人物たちの葛藤までも包括したようなテーマ曲、「RESURRCTION IN THE GUNTZ FIELD-復活-」は、わざわざ聴くに相応しい名曲。サントラを買わせるだけの力がある。

Sound of GANTZ

Sound of GANTZ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: CD

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コメント 3

non_0101

こんばんは。
私も遅ればせながら今日観てきました!
そう言えば、火薬は凄かったですね~
次々と爆発していくシーンには、もう固まるしかありませんでした(^^ゞ
音楽も良かったです!
歌とかではないのに、エンドロールの最後まで音を聴いていました。
でも、ラストが切なかったから、今後この音楽を聴くと切なくなってしまいそうです☆
by non_0101 (2011-05-01 23:53) 

きさ

前作に引続き、アクションは冴えていますし、俳優陣の演技も充実していました。
二宮和也の繊細な演技がいいですし、松山ケンイチの二役も良かったです。
田口トモロヲに見せ場が用意されているのもうれしかった。
黒い役の本郷奏多が割と好きなので再登場はうれしいですが、もうちょっと活躍して欲しかったかな。
ラストの遊園地でのメッセージがせつないです。
これはこれで面白かったですが、GANTZの正体についてはほとんど描いていないのでちょっと気になりますね。
原作、完結していないのだそうですが、読んでみるかな。
確かに、川井憲次の音楽は印象に残りました。

by きさ (2011-05-02 07:48) 

ken

>non_0101さん
 お金の使い道がうまい映画だと思いました。
 そして実際に爆破することを認めた役者も、現場もエライなと。
 サントラはさっそく入手して、早くもヘビロテ気味ですw
 nice!ありがとうございます。

>きささん
 ニノの真顔は金を取れる顔ですね。いい顔してるなあ、としみじみ思いました。
 GANTZの正体は確かに分かりませんでしたね。
 nice!ありがとうございます。
by ken (2011-05-02 13:06) 

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