SSブログ

スパルタンX(1984年・香港) [2011年 レビュー]

原題:快餐車/WHEELS ON MEALS 監督:サモ・ハン・キンポー 脚本:エドワード・タン

 「プロジェクトA」と同じ年に、ジャッキー、ユン・ピョウ、サモ・ハンの3人が再び顔を揃えた現代劇。
 しかも香港を出て、スペイン・バルセロナをメインにロケーションを行っている。

 
僕は「スパルタンX」を今日の今日までジャッキーの映画だと思っていたけれど、これ正しくはサモ・ハン・キンポーの映画だ。ジャッキー・チェン監督作品の「プロジェクトA」と比較すると明らかで、「スパルタンX」でのジャッキーはユン・ピョウとほぼ同列に描かれている。方やサモ・ハンは2人とは独立したキャラクターになっていて、作品全体はカンフー映画というよりもコメディ映画の色合いが濃い。
 繰り出されるギャグもジャッキーのテイストとは明らかに違い、逆にジャッキーのセンスの良さを再発見することになった。サモ・ハンが演出するギャグはとにかくオーバーで、妙にマンガチックなのだ。

 バルセロナのパン屋の2階に下宿するトーマス(ジャッキー・チェン)とデビッド(ユン・ピョウ)はいとこ同士。2人はワゴン車を改造したキッチンカーでハンバーガーやコーヒーを売って暮らしていた。2人は入院しているデビッドの父親の見舞いに行った際、シルビア(ローラ・フォルネル)という美女と出会う。彼女は謎の集団に追われていた。一方、探偵のモビー(サモ・ハン・キンポー)は、ある筋から若い女性を探して欲しいと頼まれ、友人のトーマスとデビッドに協力を要請する…。

 「その日暮らしの軽食屋」という呑気な設定は、ジャッキー自身初めてだったと思う。「プロジェクトA」と同じ3人で、ただ監督は自分ではなく、しかも海外ロケであることも手伝って、ジャッキーの肩の力は完全に抜けている。その“抜け具合”が楽しい。いとこ同士というユン・ピョウとの掛け合いも微笑ましく、これはサモ・ハンが監督を務めているからこそ出せた味だろう。
 ちなみにジャッキーがスケートボードを駆るシーンの一部は明らかに吹き替えである。これもジャッキーにしては珍しい。
 
 アクションの見せ場は、ジャッキーとベニー・ユキーデ(元全米プロ空手世界王者)の対決。
 一部のサイトでは「演出なしの本物の格闘」とあるが、これは明らかな事実誤認。僕はこの対決シーンをコマ送りで確認したけれど、2人とも見事な“寸止め”と“急所はずし”を行っていて、言うなれば「ある程度の流れを決めて望んだプロレス的な格闘」というのが正しい。
 それでも2人のテクニックは抜群で、組み手のようなカンフー対決シーンとは別次元の域に達していて、ジャッキー作品の中でも1、2を争う緊張感である。

 個人的にはヒロインを演じたローラ・フォルネルも気に入っている。いま観るとハーマイオニー=エマ・ワトソンをオトナにしたような雰囲気が好きだ。キャリアを確認すると、この2年後に「サンダーアーム/龍兄虎弟」にも出演していたようだ。記憶にない。久しぶりに観てみたくなった。
 それにしてもなぜ「スパルタンX」という邦題だったのか。その意味は分からなかった。


スパルタンX デジタル・リマスター版 [DVD]

スパルタンX デジタル・リマスター版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。