プロジェクト・イーグル(1991年・香港) [2011年 レビュー]
原題:飛鷹計劃/ARMOUR OF GOD II: OPERATION CONDOR 監督:ジャッキー・チェン
トレジャー・ハンター“アジアの鷹”の活躍を描いた「サンダーアーム/龍兄虎弟」の続編。今回は第二次大戦中にナチス・ドイツの男爵が砂漠に隠した金塊250キロを探すというもの。
それにしても、この続編が前作から5年も開けて作られた理由は何なのだろう。
そもそもジャッキーが「サンダーアーム」を作ったのは、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」に刺激を受けたからだと思われる。
「宝探し」という荒唐無稽でどちらかというと子ども向けの題材を、「主人公は考古学者」という設定であらゆる世代にウケる映画に仕上げた「インディ・ジョーンズ」は、その後「ハムナプトラ」や「キング・ソロモンの秘宝」など多くの亜流を生むことになった。「サンダーアーム」も当然そのひとつで、5年後に続編が製作された理由も、それぞれの公開年を見れば自ずと見えて来る。
1984年「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」
1986年「サンダーアーム/龍兄虎弟」
1989年「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」
1991年「プロジェクト・イーグル」
ご覧の通り。2作とも見事にインディの2年後なのである。ジャッキーと言えども企画作りには苦労していたのだろう。
前作から引き続き出演するのはジャッキーのほかに、骨董収集家の伯爵のみ。伯爵の娘メイ(ローラ・フォルネル)は前回3番手で出演していたのに今回は登場しない。嫁にでも行ったのか。
意外だったのはガムを噛むアクションが1度しか出て来ないこと。個人的にはすごく好きだったんだけど、あのガムを口に入れるアクションは相当大変だったんだろう。フィルムもかなり無駄にしただろうし、ジャッキーも「やらなきゃ良かった」と思っていたのかも知れない。
派手なカーアクションも前作に続いて取り入れられている。今回はジャッキーがバイクに乗り、車に追われる役。ただしジャックナイフなど高度なアクションがあるので、基本は吹き替えで撮影が行われている。
前作に比べて良かったのは、ジャッキーのカンフーが全体的に散りばめられていたこと。単純なことだけれど、観客が最低限期待しているところでもあるから大事なことだ。ジャッキーの技の切れ味も良くて全体的には満足出来る。ただしクライマックスに用意されたナチス・ドイツの巨大風洞実験棟でのアクションは少々しつこい。セットそのものにリアリティがなく、風の威力がどれほどのものかイメージし難いために、感心するまでに至らないという欠点があった。
また脚本の部分では「謎解きの面白さ」がもっと丁寧に描かれていたら、ずいぶんと印象は違っただろうに、と思わずにいられない。いろんなことがちょっとずつ残念。
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