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ポリス・ストーリー2/九龍の眼(1988年・香港) [2011年 レビュー]

原題:警察故事續集/THE POLICE STORY Ⅱ 監督:ジャッキー・チェン

 この作品、日本公開時のタイトルは「九龍の眼/クーロンズ・アイ」で、「ポリス・ストーリー2
」ではなかった。何かと続編を作りたがる映画界において、これは珍事である。配給元の東宝東和はなぜ「パート2」であることを伏せたのだろう。
 気になるデータがあるとすれば、前年の87年に「プロジェクトA2」が公開されていること。確かにこの続編は期待したほどではなかったけれど、配給収入10億円(現在の興行収入に直すと約20億円)を上げ、洋画部門年間第6位の成績を残している。だから「続編」を謳うネガ要素は無かったと思うのだが、さて今その真相を知る人はいるのだろうか?

 不思議と言えば本作のストーリーも不思議だ。
 前半は1作目に登場したマフィアたちの復讐劇に見えるのだが、途中でこのマフィアたちの出番は終わり、後半は爆弾を使ったテロ集団との戦いという、全く別の展開が始まるのだ。
 wikipediaによると、クランクアップ後にラッシュを見たジャッキーが「このままでは面白くない」と、脚本を大きく変え、かなりの部分の撮影をやり直したのだという。当時僕たちは何も考えずにジャッキー映画の新作を楽しみにしていたけれど、その陰でヒットの宿命を背負っていたジャッキーの心中が伺い知れるエピソードである。

 それにしても当時の日本の観客は「九龍の眼」という新作と思って観たら、前作からのエピソードをかなり引きずったストーリーで困惑したに違いない。それ以前に本編で「THE POLICE STORY Ⅱ」のタイトルを見つけた観客も不思議に思ったことだろう。
 ただし本作には見応えのあるカンフー対決シーンがある。
 爆弾テロ一味の中に足技に長けた男がいて、この男とジャッキーとの対決シーンは見ものだ。相手役を務めたジャッキー率いるスタントマン・チーム「成龍班」のスタント・コーディネーター、ベニー・ライ。これまでのジャッキー映画であまり観なかったスピード感あふれる足技の使い手で、この対決は一見の価値がある。

 しかしタイトルが失敗したのか、前年の「プロジェクトA2」でミソをつけたのか、この年からジャッキー映画が配給収入10億円を超えることはなくなってしまう。
 1984年:プロジェクトA(16.2億円)
 1985年:スパルタンX(11.1億円)
 1986年:ポリス・ストーリー(10.3億円)
 1987年:プロジェクトA2(10.5億円)
 次にジャッキー映画が10億円を超えるのは、1999年のハリウッド映画「ラッシュアワー」である。つまり日本におけるジャッキー・ブームは、84年からの4年間がピークだったと言えるだろう。
 それでも88年から99年までの11年間に、ジャッキー映画は日本で12本も公開されている。ジャッキー映画の成績はいかにして下降線をたどって行ったのか、いずれそんなことも分析してみよう。

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