TEKKEN -鉄拳-(2009年・アメリカ) [2011年 レビュー]
原題:TEKKEN 監督:ドワイト・リトル 脚本:アラン・B・マッケルロイ
原作は世界初の3D格闘ゲーム「バーチャファイター」の二番煎じ「鉄拳」である。
映画の前に少しだけゲームのハナシ。
3D格闘ゲームソフトにおいて、セガの後塵を拝したナムコ(現バンダイナムコゲームス)は、「バーチャ」との差別化をはかるために、打撃がヒットするかガードが決まると、その打撃ポイントが発光するという演出を施した。「バーチャ」にはそういった演出はなく、キャラクターのリアクションでヒットしたか、ガードしたかが分かる仕組みになっていた。
当時多くのゲーマーが「バーチャ」から格闘ゲームの世界に入っていたから、「鉄拳」のその演出は2D格闘ゲームの「ストリートファイターⅡ」に先祖返りしたような印象も与えた。せっかく3Dポリゴンでリアリティあるキャラクターを描いているのに、なにゆえアニメのようなビジュアルを採用するのか、という意見である。
しかし、しばらく「鉄拳」をプレイしていると不思議なもので、それはそれで慣れて来る。しかもゲームバランスも悪くない。と、今度は「バーチャ」の視覚効果に物足りなさを感じるゲーマーが出て来た。僕もその一人で、瞬間的にヒット&ガードが認識出来る「鉄拳」のビジュアルは、コンマ何秒の世界でプレイするゲーマーにとにかく分かり易かった。それがプレイの爽快感にも繋がった。
「バーチャ」以降、“雨後の筍”のように出て来た格闘ゲームの中で、「鉄拳」だけが元祖「バーチャ」よりも息の長い作品になったのは、この演出に寄るところが大きいと僕は思っている。
さて映画のハナシだ。
こんな作品にドラマ性を求めてはいけない。僕はアクションシーンさえ見応えがあればそれで良いと思っていたが、肝心要のアクションシーンがまったくイケていない。振り付けも、カット割りも、撮影も、編集も何もかもダメだった。こんなに酷い格闘映画は初めてかも知れない。
では何がダメかというと、まったく“痛み”を感じないのだ。例えばアキレスを固められたらフツーは痛い。しかしカメラはアキレスを固めているところに行かず、固めた方と固められた方の面に行くのだ。そして断末魔のアップ。「なんで?」である。「アンタなにされたの?」
そんなにカット割りが下手なら、ゲームと同じビジュアルを採用してくれた方がまだ良かった。何がどこに当たったのか一目瞭然だからだ。
それでも途中断念しないで最後まで観たのには理由がある。
まずイイ女が一人いたこと。
ゲーム版ではカポエイラの達人として「鉄拳4」から登場したクリスティ・モンテイロ。演じたケリー・オーヴァートンのコスチュームがエロくて相当良かった。写真では分からないけれど、バックショットもなかなかいい眺めで満足。ちなみに左は風間仁を演じたジョン・フー。
そしてもうひとつは三島平八。
見た瞬間、長門裕之さんが演っているのかと思って心底たまげた。この人は、ケイリー=ヒロユキ・タガワ。「ラスト・エンペラー」で薄儀の教育係を演じたらしい。記憶にないけど。
僕はこの平八がいつまで経っても戦わないので、どうしたことかとずるずる最後まで観てしまった。オリジナルでは高下駄を履いて、息子の一八を火山の噴火口に突き落とすほどの勢いなのに、さすがに上半身裸になることすらなかった。残念である。
またエンドクレジットのあと、続編を作る気マンマンのエピローグが付いていたが、さすがにこの監督にはやらせられない。ま、ワーナーブラザーズもやらせないと思うけど。
意外と、ゲームから映画になった作品は多いですが、
品質的には、悪い傾向ですね。
なんだかんだ一応見ちゃうのですが、
> 僕はこの平八がいつまでたっても戦わないので、どうしたことかとずるずる最後まで観てしまった。
私はポールどんなの?でずるずる最後まで観てしまいました。
出て来ませんでしたけど(笑)
by aneurysm (2011-06-16 09:59)
僕はリン・シャオユウが出て来なくてガッカリしたクチですw
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-06-16 10:11)