キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー(2011年・アメリカ) [2011年 レビュー]
原題:CAPTAIN AMERICA:THE FIRST AVENGER 監督:ジョー・ジョンストン
これは1941年3月に発売されたマーベルコミック。「キャプテン・アメリカ」初登場時の表紙である。
星条旗をモチーフにしたコスチュームの青年が、ヒトラーを殴りつけるという、政治的メッセージの色濃い第1号が発売されたのは、ドイツがアメリカに宣戦布告する9ヶ月前のことだった。
僕はアメリカ人でもなければ、アメリカで暮らしたことも無いので、アメリカ人にとってのキャプテン・アメリカがどういう存在なのか理解していない。ただ、この表紙を見る限り「星条旗をまとって正義を振りかざしている」ことだけは事実で、ハリウッドにしてみれば、マーベルコミック、DCコミック全キャラクター中、最も映画化し難い素材だったのではないかと想像する。なぜならハリウッドは海外での売り上げに大きく依存しているが、一方で“世界警察”を自負するアメリカに拒否反応を示す国も少なくないからだ。マーベルにとっても、ハリウッドにとっても、キャプテン・アメリカが海外セールスで苦戦する様は、容易に想像が出来ただろう。
そんなキャプテン・アメリカが、今年21年ぶりに映画化された(日本公開は初)。「なぜ今さら?」と思ったら、これはマーベルとその親会社ディズニーの周到な計画によるもので、すべては2012年夏に公開予定の「アベンジャーズ」を成功させるための布石だった。
「アベンジャーズ」はマーベルコミックに登場するキャラクターの集合体。キャプテン・アメリカ、マイティ・ソー、アイアンマンが「ビッグ3」と呼ばれていて、すでに成功をしているアイアンマンに続き、マイティ・ソー、キャプテン・アメリカの映画を順次公開し、そこからオールスター映画「アベンジャーズ」へつなごうとする戦略らしい。だから意地悪な言い方をすれば本作は「前説」、あるいは「プロローグ」ということになるのだが、実はこれがなかなか面白かった。
僕が一番感心したのは、アメリカ国外で嫌われかねない、そのコスチュームを逆手に取った脚本である。
PR用のパンフレットにはこんなコピーがあった。
「なぜヒーローは変身し、コスチュームを身につけ、アイテムを持つのか?全ての答えはこの映画にある」
まったく偽りなしである。それどころか納得のプロットで個人的には腑に落ちた。特にアイアンマン=トニー・スタークの父、ハワード・スターク(ドミニク・クーパー)を登場させたのも効いている。実は本編、エンドロールの後に「アベンジャーズ」への橋渡しとなるシーンがあって、思わずニヤリとしてしまう。お見逃しの無いように。
3Dロードショーである。
3D作品としても非常に良く出来ていて驚いた。おそらくちゃんと3Dカメラで撮影したと思われ、かつ3Dを前提にセットもカット割りも作られていたと思う。とにかく奥行きを意識したカメラワークが見事で、「アバター」以来初めて感動した3Dだった。
ヒーロー映画にしては珍しくヒロインが美人なのも良し。
男性以上にタフな女将校ペギー・カーター(ヘイリー・アトウェル)。特に目を引く彼女の赤いルージュは、意図的に配色されたものと思われ、ダークな色味になりがちな画面にアクセントをつけると同時に、強い牽引力を持った唇でもあったと思う。
敵役のシュミット/レッドスカルを演じたのは、「マトリックス」のエージェントスミス、ヒューゴ・ウィーヴィング。レッドスカルになってしまうと、ときどき「男梅キャンデー」の男梅三に見えて困ったけれど、シュミットとしての彼は存在感もあって、敵役としては申し分なし。
結論。ヒーローものとしては久々の当たり作品。
時代設定が40年代でありながら独創的なプロダクションデザインにも好感が持てた。
「マイティ・ソー」も観て、「アベンジャーズ」を心待ちにしよう。
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前半は主人公が超人になるものの戦闘には参加しないというちょっと皮肉な展開でしたね。
主人公の変身前の貧弱な身体はCGらしいですが、あまりの違いにびっくり。
悪役のヒューゴ・ウィーヴィングはいいのですが、こちらも最後の方は変身してしまうので、もうちょっと素顔見たかったです。
トミー・リー・ジョーンズも久々にらしい役で良かったです。
ヒロインもなかなかいいですね。
アメコミの話だと「キャプテン・アメリカ」は赤狩りの時代には共産主義者を敵として戦ったりしました。
後にこれは実は偽物で本物のキャプテン・アメリカと対決するという展開になります。
ジョー・ジョンストン監督は「遠い空の向こうに」という映画が大好きでファンになりました。
今回もさすが職人監督でプロフェッショナルな仕上がりでした。
by きさ (2011-10-15 08:50)
変身前のCGには驚きの一言でした。
デジタル技術で出来ないことはもう無いんじゃないか、って感じですね。
ジョンストン監督の手堅い演出も見事でした。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-10-15 10:40)
こんにちは。
3Dも良い出来なのですね!私は3Dだったので、時間があったら3Dにもチャレンジしてみたいです。
来年の「アベンジャーズ」楽しみですね☆
by non_0101 (2011-10-18 08:54)
ちゃんと3Dカメラで撮った3D映画は面白いんですよ。
トランスフォーマーは2Dカメラで撮った3Dだったと思います。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-10-18 15:19)
こんばんは。ふたたびお邪魔します(^^)
あれ?す、すみません!文章になっていませんでした^_^;
観たのは2Dで観たいのは3Dです~
あ、でも、さすが意味は解っていただけましたね(^^ゞ
by non_0101 (2011-10-21 23:34)
はい。きっとそんなことだろうと思っていました(笑)。
by ken (2011-10-22 15:53)