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Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯(2000年・日本) [2011年 レビュー]

Bruce Lee in G.O.D.死亡的遊戯」監督:大串利一

 映画「死亡遊戯」で使われなかった未公開フィルムを、日本の映画会社が買い取り、セミドキュメンタリーに仕上げた作品。僕自身は今回初見。
 ブルース・リーの映画を全部観ている人でも、「この作品は観ていない」という人がきっと多いと思う。僕自身はなぜ観ていなかったかと言うと、「死亡遊戯」に続いて公開された「死亡の塔」が本当に酷い映画で、この「死亡的遊戯」もブルース・リーの遺産で金儲けをしようとする輩が作ったツギハギ映画だろう、と勝手に思い込んでしまったのだ。そもそも先に公開されたのは「死亡遊戯」だったのに、これは「死亡的遊戯」。「“的”ってなんだよ!」と毒づいたのは僕だけじゃないはずだ。
 でもこの作品、ブルース・リーファンは
観ないとゼッタイに後悔する。断言する。間違いない。…そういや長井秀和ってどこ行ったんだろう。まあ、どうでもいいか。

 「死亡遊戯」のクライマックスシーン。
 敵と戦っていたのは実はリー1人ではなく、他に登場人物が2人いた、と聞いたら驚く人は多いだろう(そんな人は絶対に観るべき)。僕自身もつい最近までその事実を知らなくて、それでこのフィルムを観ることにしたのだけれど、それはそれは驚いた。
 しかも「死亡遊戯」では一言も喋らなかったリーが、実際には英語でペラペラ喋っているのだ。「死亡遊戯」を初めて見た1978年以来、ここでは寡黙なカンフーマスターだと思っていたあのブルース・リーが、ダニー・イノサントに向かって、「おまえ、英語喋れんのか?」なんて偉そうなものの言い方をする。僕はこれを観て「編集の恐ろしさ」を実感してしまった。と同時に、どうしてこれらのシーンをカットして「死亡遊戯」を完成させたのか、不思議でならなかった。
 これは調べてみたら、「死亡遊戯」映画化の際、リーと共に闘う2人の協力が得られなかったからのようだ。なるほどそれでは致し方ない。

 しかし、NGシーンも含めて公開された本作は極めて貴重な資料である。この作品のおかげで「死亡遊戯」で観られた不自然な点も大抵が説明がつく。
 例えば「死亡遊戯」のカット53について。床に倒れたダニー(ただし顔は認識出来ない)の上に、黄色いヌンチャクを捨てるリー(同じく顔は認識出来ない)というこのワンカットは明らかに追撮のフェイクショットであることが分かった。なぜなら「死亡的遊戯」でのリーは、ヌンチャクを持って上の階へ上がっていたからだ。この2本を見比べると、ロバート・クローズがいかに苦労して「死亡遊戯」のクライマックスシーンを編集したかがよく分かる。いつか両作品の全てのカットを分析してみたい。

 本作はブルース・リーが「死亡的遊戯」という作品を作ろうとしていたときのドラマも含まれている。リー役を演じる役者はまったく似ていないけれど、日本チームはこれを「再現ドラマ」と割り切って撮っていたようだ。だから「死亡遊戯」で感じたような不満は一切ない。
 この作品は、未公開フィルムを買い取り、世に送り出すことに成功した時点で、「極めて重要な、観る価値のある1本」という評価を得たも同然である。
 もう一度、じっくりと観てみたい。

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コメント 8

aneurysm

これは観てませんね。
真面目そうな感じなので、観たくなりました。

>実際には英語でペラペラ喋っているのだ。

素のブルースリーで印象に残った姿は
何かのドキュメント?メイキング?で観た
カンフー大会のデモで片腕立て伏せ余裕でする姿と
アブトロニックスみたいなのを全身に付けて
”これからのトレーニングはコレだよ”
って姿です。

素はかなり明るく、よく喋る方みたいですね。
by aneurysm (2011-08-20 10:09) 

ken

未見でしたらゼッタイに観た方がいいです。目からウロコ必至。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-08-20 11:01) 

spika

面白そうですね。死亡遊戯は姉と二人で映画館で見ました。

彼が出ていたのは11分だけでしたか

ファンにとっては十分な長さですが・・(笑)

実はちょうど昨日TUTAYAに行って、リー作品をチェックしました。

意外と色々あって。。そのうち手を伸ばすだろうかと考えてたところです

まだ死んだ人にしたくなくてね・・思い直したくないんですね


by spika (2011-08-21 08:34) 

ken

何と言っても一番の傑作は「燃えよドラゴン」ですよね。
そろそろ観直してみようかな。
nice!ありがとうございます。
by ken (2011-08-21 17:11) 

spika

う~ん『燃えよドラゴン』・・どうだったかな。
部分的な素晴らしさは覚えてますが・・

私は『ドラゴン怒りの鉄拳』が好きです。ラストシ―ンがいい。

リーは既に伝説の人です。
まったく新しい世代の人間が彼の存在を知ったら、釘づけになること
間違いなし!(笑)ですね!!

by spika (2011-09-03 10:28) 

ken

ブルース・リー映画の「いっきみ」があってもいいですよね。
TOHOシネマズ六本木でやってくれないかな?
by ken (2011-09-03 10:29) 

spika

体力あるな~(笑)
TOHOシネマズ六本木のプレミアムシートは良いですね
by spika (2011-09-05 23:23) 

ken

ま、自宅でやってもいいんですけど。誰かと共有したいですしね。
by ken (2011-09-06 00:22) 

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