クヒオ大佐(2009年・日本) [2012年 レビュー]
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと、吉田大八
今さら観る理由は何もなかったんですけど、ブルーレイのハードディスクに150本ほどストックされている映画の中から、これをチョイス。何か大きく感動したいわけでもなく、だからってバカ笑いしたいわけでもなく、でもハラハラどきどきするのも面倒で、ただ「何か映画が観たい」という微妙な欲求に応えてくれそうな作品はこれかな、と思ったわけで。
ちなみに「クヒオ大佐」の前に、西原理恵子原作の「女の子ものがたり」と「毎日かあさん」を観始めたんですが、どちらも開始5分観ただけで消去しました。特に後者は小泉今日子が観ていられなかった。
カメハメハ大王の末裔でアメリカ空軍のパイロット「ジョナサン・エリザベス・クヒオ」と名乗り、何人もの女性を騙した実在の結婚詐欺師の物語です。
この程度の情報は多くの人が持っていたと思います。そしてこの程度の情報が意外と浸透したのは宣伝の勝利だと思う。これ以上知られても、もちろんこれ以下でも良くなくて、たったこれだけの情報を持って劇場に行くのがベストだったと思います。
ところが観てみたら意外と面白くなかった。理由は「中味が薄い」からでしょう。
この映画。何を見せたかったのかが僕にはさっぱり分かりませんでした。
クヒオ大佐の本性に迫るわけでなく、騙された女との愛憎を掘り下げるでもなく、全部が上っ面を撫でただけ。詐欺師の映画で思い出すのはスピルバーグの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ですが、この作品が詐欺師役のディカプリオだけで、FBI捜査官役のトム・ハンクスがいなかったら、相当つまらない映画だったと思います。
やはり詐欺師は「サツに追われてナンボ」。クヒオ大佐に騙されている弁当屋経営のしのぶ(松雪泰子)の弟・達也(新井浩文)に正体を見破られるという設定が面白いだけに、もう一枚追っ手をプラスし、その攻防戦を厚く描けば、面白さは増したように思います。
キャスティングミスという気がしないでもありません。
堺雅人はクレバーな印象が強く、凡ミスを犯す小悪党の匂いがしない。これが、なぜクヒオ大佐はクヒオ大佐を名乗り、結婚詐欺師になるに至ったかを掘り下げ、その本名にまでたどり着くような構成なら、クヒオ大佐の背景次第で堺雅人はアリだったと思う。でも結果そうなっていない以上は、キャスティングミスと言われても仕方ないでしょうね。
クヒオ大佐に騙される博物館学芸員役の満島ひかりは自然体な演技が巧くてスゴく良かった。
しのぶの弟役を演じた新井浩文も相当イイ。詐欺師から金を巻き上げようってキャラがピッタリで、堺雅人と新井浩文の掛け合いだけは楽しみました。松雪泰子の薄幸ぶりも板についてたねえ(笑)。
で結局、映画ではクヒオ大佐の人となりがよく分からなかったし、それが最大の不満だったので、ネットでいろいろ調べてみたけど、詳細は分からず。どれ原作でも読んでみようか知らん。
脚本:香川まさひと、吉田大八
今さら観る理由は何もなかったんですけど、ブルーレイのハードディスクに150本ほどストックされている映画の中から、これをチョイス。何か大きく感動したいわけでもなく、だからってバカ笑いしたいわけでもなく、でもハラハラどきどきするのも面倒で、ただ「何か映画が観たい」という微妙な欲求に応えてくれそうな作品はこれかな、と思ったわけで。
ちなみに「クヒオ大佐」の前に、西原理恵子原作の「女の子ものがたり」と「毎日かあさん」を観始めたんですが、どちらも開始5分観ただけで消去しました。特に後者は小泉今日子が観ていられなかった。
カメハメハ大王の末裔でアメリカ空軍のパイロット「ジョナサン・エリザベス・クヒオ」と名乗り、何人もの女性を騙した実在の結婚詐欺師の物語です。
この程度の情報は多くの人が持っていたと思います。そしてこの程度の情報が意外と浸透したのは宣伝の勝利だと思う。これ以上知られても、もちろんこれ以下でも良くなくて、たったこれだけの情報を持って劇場に行くのがベストだったと思います。
ところが観てみたら意外と面白くなかった。理由は「中味が薄い」からでしょう。
この映画。何を見せたかったのかが僕にはさっぱり分かりませんでした。
クヒオ大佐の本性に迫るわけでなく、騙された女との愛憎を掘り下げるでもなく、全部が上っ面を撫でただけ。詐欺師の映画で思い出すのはスピルバーグの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ですが、この作品が詐欺師役のディカプリオだけで、FBI捜査官役のトム・ハンクスがいなかったら、相当つまらない映画だったと思います。
やはり詐欺師は「サツに追われてナンボ」。クヒオ大佐に騙されている弁当屋経営のしのぶ(松雪泰子)の弟・達也(新井浩文)に正体を見破られるという設定が面白いだけに、もう一枚追っ手をプラスし、その攻防戦を厚く描けば、面白さは増したように思います。
キャスティングミスという気がしないでもありません。
堺雅人はクレバーな印象が強く、凡ミスを犯す小悪党の匂いがしない。これが、なぜクヒオ大佐はクヒオ大佐を名乗り、結婚詐欺師になるに至ったかを掘り下げ、その本名にまでたどり着くような構成なら、クヒオ大佐の背景次第で堺雅人はアリだったと思う。でも結果そうなっていない以上は、キャスティングミスと言われても仕方ないでしょうね。
クヒオ大佐に騙される博物館学芸員役の満島ひかりは自然体な演技が巧くてスゴく良かった。
しのぶの弟役を演じた新井浩文も相当イイ。詐欺師から金を巻き上げようってキャラがピッタリで、堺雅人と新井浩文の掛け合いだけは楽しみました。松雪泰子の薄幸ぶりも板についてたねえ(笑)。
で結局、映画ではクヒオ大佐の人となりがよく分からなかったし、それが最大の不満だったので、ネットでいろいろ調べてみたけど、詳細は分からず。どれ原作でも読んでみようか知らん。
堺雅人だけに惹かれて「観ようかなあ・・」と思いましたが、結局観ないままでした。
やっぱりミスキャストだと思います。
おっしゃるとおり、何故、堺雅人がクヒオ大佐を演じているのかがわかりません。何か今ひとつ吸引力に欠けた気がします。
by Sho (2012-09-22 17:30)
観客を劇場に向かわせる力は相当なもので、映画そのものが力を持っている場合もあれば、宣伝の力で観客を引き寄せる場合もあります。
本作の場合、宣伝は巧かったと重いのですが、本編がそれに応えられないため口コミが広がらず、イマイチな結果に終わったんじゃないかと思います。
by ken (2012-09-22 18:03)
劇場で見たのですが堺雅人のコスプレを楽しむだけの映画という感じで、ファン向けなんでしょうね。
満島ひかり、新井浩文は確かに良かったです。
モデルのクヒオ大佐はしょぼい人なんですよ。騙された方もしょぼいのでしょせん映画になる様な話でもないというか。
思い切ってフィクショナルに脚色するべきでした。
by きさ (2012-09-23 08:30)
そうかあ、しょぼい人を映画化して、そのまましょぼくなるなんて、あまりにせつないですね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2012-09-23 09:39)
どうせならいっそミュージカル風にするとか、、
アニメ挿入するとか、それくらい遊んで欲しかったですね。
by きさ (2012-09-23 21:15)
これよく考えたらおいしいネタだと思うんですよ。こんなしょぼい詐欺師なかなか考え付かないです。じつはすごく奇天烈な話ですよ。でも見てる間「なにが言いたくてこの映画を作ったのか」って疑問ばかりわいてしまう映画でした。クヒオは私のイメージでは凡ミスを犯す小悪党というより、どうして地雷を踏みまくるのか意味の分からない不気味キャラと言う感じで松尾スズキさんにしてほしいです。
by satoco (2012-09-24 03:40)
satocoさんの仰るように、確かにおいしいネタですね。
そして「どうして地雷を踏みまくるのか分からない」人だったら、相当面白くなったことでしょう。
映画を語るのは容易いことですが、作るのは本当に大変ですね。
nice!ありがとうございます。
by ken (2012-10-02 09:34)