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つぐない [2008年 ベスト20]

つぐない」(2007年・イギリス) 監督:ジョー・ライト 脚本:イアン・マキューアン

 映画界に賞レースの季節がやって来ましたね~。
 しかーし!今年は大事件発生。NBCがゴールデングローブ賞の放送を取りやめました。
 うおーい、脚本家組合のストライキってまだ続いてたのかよ!まあスターが授賞式に来ないかも知れないとなったら、テレビは写すもの無いもんねえ。
 そんなわけで今年のゴールデングローブ賞は記者会見だけで終わりだそうです。
 あちゃーアカデミー賞はどうなるんだろう。
 
 「つぐない」はゴールデングローブ作品賞(ドラマ部門)にノミネートされてます。
 キャストを見ていると、筆頭にクレジットされるキーラ・ナイトレイ、セシーリアの物語かと思いがちですが、実際には違います。これはセシーリアの妹、ブライオニーの物語。
 しかも僕は「イングリッシュ・ペイシェント」や「コールドマウンテン」のような大河ロマンスかと思っていたのですが、それも違いました。
 ドラマには「身分の違いを越えた愛」と「戦争が引き裂いてしまう愛」というある種“鉄板”のテーマが二つも織り込まれながら、さらにそれを包括する「贖罪」という大テーマが存在しているんです。なるほど「つぐない」とはそういうことかあ、と感心してしまいました。
 見事な構造です。当然ですけど原作がよく出来ているんでしょうね。
 
 脚本はブライオニーの人生を3つの時代に分けて描いています。
 第1章は13歳。
 幼いが故に犯してしまった罪により、姉セシーリアと使用人の息子ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)の芽生えたばかりの愛を引き裂いてしまうまで。
 本編123分のうち45分ほどを費やしているだろうこのパートが抜群に面白いです。
 タイプの効果音を引用した音楽も、13歳のブライオニーを演じたシーアシャ・ローナン(デビュー間もない広末涼子を思い出させる)も実に素晴らしい。
 第2章は18歳。
 ロンドンの病院で看護士見習いをしながら、自分の犯した罪の重さに改めて気が付く。
 ここはロビーにまつわるシークエンスが盛りだくさんで若干中だるみしています。しかし「贖罪」がテーマであることを忘れなければ(僕は一瞬忘れかけてた)、問題なく乗り切れます。
 第3章は77歳。
 詳しくは書きませんが、このブロックがあるからこそ、「つぐない」を唯一無比の作品に仕上げていると思います。

 さらに特筆すべきは編集。
 時折時系列を無視し、登場人物の視点を変えた“つなぎ“が施されていますが、これは「ブライオニーが受けるショックを、観客にも同時に与えるため」の作戦。見事なアイディアだと思いました。
 
 タイトルは地味ですが、ゴールデングローブ作品賞ノミネートも納得の味わい深い名作です。

つぐない

つぐない

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD

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