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みなさん、さようなら [2004年 レビュー]

みなさん、さようなら」(2003年・カナダ/フランス)

 2003年・第76回アカデミー賞で
「たそがれ清兵衛」を破って外国映画賞を獲得した作品。
 僕にとっては「病院で死ぬということ」(監督:市川準 1993年作品)以来の、「死」を真正面から捉えた映画でした。
 
 末期ガンと診断された父と、長く確執が続いていた息子。その家族友人たちの物語。
 ストーリーの顛末が意外な展開であるために、まったく涙はない。ただ「死」とは何かを、否応にも考えさせられる。普段忘れている何かを。
 僕自身は、ユダヤ教のタムルードにある一説を読んで以来、死に対する恐怖は消えたものと自覚していた。
 しかし実際には死の恐怖にフタをしているだけかも知れない、とこの作品を観て思い直す。なぜか。主人公が途中まであまりにも未練がましいからだ。
 もちろん未練がましくなければドラマは成り立たない。そういう作品だし。しかも主人公は死の恐怖と戦わずして人生を終えようとする、その姿勢は許しがたいものだった。だけど「なぜそこまでして?」と思い直したときに、自分の覚悟がホンモノなのかどうか自信がなくなってきたのだ。
 この作品はひどく放漫な親子の物語である。特殊な立場にある人間の物語である。
 誰も共感を得ることの出来ない環境にある登場人物に対して感情移入しろというのが難しい話だ。だから涙はない。末期ガンで父を亡くした僕にも涙はない。不思議な映画だった。

みなさん、さようなら

みなさん、さようなら

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2004/10/22
  • メディア: DVD

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コメント 2

jam_journal_2005-

日本人だからだというのは分かっていますが
断然たそがれの方が私は好きです^^;
by jam_journal_2005- (2005-05-10 23:37) 

ken

そりゃそうです。
比べ物になりませんね(笑)
by ken (2005-05-11 00:32) 

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