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血と骨 [2005年 レビュー]

血と骨」(2004年・日本) 監督・脚本:崔洋一 主演:ビートたけし、鈴木京香

 「きっとヘビーな映画なんだろうなあ」と思いながら観ましたが、こりゃ正直半端じゃないです。
 スーパーヘビー級。もしくは「毒」
(笑)。例えるなら、同じベッドで寝ていたKONISHIKIに寝返り打たれて、窒息寸前で目が覚めるくらい重いです。余計意味わからんよ。

 でもそんな重い作品に目を背けることなく、144分間最後まで観ることが出来たのは、俳優陣がそれぞれいい仕事をしていたことと、プロダクションデザインが見事だったからです。
 セットの素晴らしさは言うに及ばず、街の雰囲気や路地の質感などがとても丁寧に作りこまれていて、正直感動しました。
 比べると申し訳ないのですが、篠田正浩監督のラストフィルム「スパイゾルゲ」(2003年)の10倍いい。CG処理も悪くなかったし(唯一、路面電車の車窓だけがいただけなかった)、美術チームの努力のおかげで作品にリアリティを持たせることが出来たのだと思います。
美術は磯見俊裕さんと言う方が担当されました。覚えとこ。
 この素晴らしいセットを、さらに2倍も3倍もよく見せたのはもちろん照明の力です。拍手。
 音楽も良かった。誰かと思ったら「殺人の追憶」(2003年)で抜群の仕事をした岩代太郎さんでした。拍手。

 さて。とにかく窒息しそうなほどヘビーな映画ですから、観終わったあとで考えることも重いです。テーマはこれ。
 「人生の目的って何?」
 “怪物”と呼ばれた男の生き様は、ドラマとして充分な見応えがあります。でも見終わったところで、「結局この男の人生はなんだったんだ?」とふと思う。
 
 金に執着した人生にいったい何の意味があったのか?
 
 世の中にはお金より大切なものがある、というテーマを謳う映画は沢山あります。しかし「人間は何を成すために生まれてきたのか?」ということを考えさせる映画は久し振りでした。
 僕自身、大切な友人を失ってまだ間もないせいもあるかも知れないのですが。
 ちなみに、僕が見つけた答えはこれです。

 「種の保存」のため。

 人間といえども、生まれてきた理由は他の動植物と同じなんじゃないかと。
 もしかしたら違うかも知れない…、でも今はそうとしか思えない。そうすると、子供を持たない僕はいったい何をしているんだろう…とまたまた深い闇に堕ちていくのでした。
 本日閉店。

血と骨 通常版

血と骨 通常版

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/04/06
  • メディア: DVD

 そういえば、劇中たけしさんの芝居を観ながら、「こんな役を以前にも観たことがあるな」と記憶を辿ったら、なかにし礼さん原作のドラマ「兄弟」(1999年・テレビ朝日)だったことを思い出しました。
 こんな役、たけしさん以外に出来ないかも知れないな。


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コメント 9

私もこれはたけしさんだったから凄く良かったと思うのと同時にたけしさん以外考えられない…と。重いけど好きです。
by (2005-05-30 20:15) 

きりきりととと

初めまして。実は何の気無しに借りて見たのが深夜。こんなに重い映画だとは知らずに途中で二回止めました。正直ちょっとつらかったから。その種の個体の保持、が目的だと感じられたのは自分も共感できます。良かったけれどもう一回は見られないですね。
by きりきりととと (2005-05-31 00:39) 

ken

>aikaさん
 nice!ありがとうございます。
 僕も「重いけど好き」です。重たい人は好きじゃないけど(笑)。

>hyperbomberさん
 ようこそ。はじめまして。
 この映画、深夜何の気なしに観るにはヘビー過ぎますね(笑)。
 種の個体の保持。共感していただけて嬉しいです。

>replicalove*さん
 nice!ありがとうございます。
by ken (2005-05-31 12:37) 

きりきりととと

憚りながらTBさせて頂きました。今夜、もう一度見てみようかな、と。
by きりきりととと (2005-05-31 18:36) 

なんだか重そうな作品だな、と思いつつ
『血は母から  骨は父から』
という キャッチに惹かれていつかみたいな、と思ってました。重い作品は次の日の仕事に影響が出てしまうタチなので(だめじゃん)、今度の休み前でも。

人生の意味ですか‥。やっぱりkenさんの言う通り遺伝子のコピーですかね‥。一説では 遺伝子のコピーも回数制限があるとか無いとか。もし回数制限があるとしたら 今の人類はどのあたりなんでしょうか?
by (2005-05-31 19:56) 

オダギリジョーの刺青と中村優子のヌードが綺麗でよかったけど
実在だった男の一生を全て描くには150分でも短くて
私にはピンボケした感がぬぐえなかった作品でした。
by (2005-05-31 23:15) 

ken

>hyperbomberさん
 TBありがとうございました。コメント残させて頂きました。
 2度目の感想をぜひアップしてください!

>replicalove*さん
 遺伝子のコピーに回数制限がある? とても興味深いですね。
 hyperbomberさんの記事にある本を読むと、詳しいのかも。探してみよう。

>twilightkumaさん
 おっしゃることは納得できます。
 でもこれが180分であっても、連続ドラマであっても長いかも知れません。
 スペシャルテレビドラマ2夜連続くらいだったら良かったかも?
by ken (2005-06-01 00:36) 

瑠璃子

小説を読んだ私には、ちょっとたけしでは背が低すぎ…。オーラでカバーできるのかと。では映画見てみますー(未見でしたスミマセン)
by 瑠璃子 (2005-06-07 14:42) 

ken

へー、そうなんですか。
ホンモノは大きなひとだったんですか。
映画見てみて~。
by ken (2005-06-07 15:34) 

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