故郷の香り [2006年 ベスト20]
「故郷の香り」(2003年・中国) 監督:フォ・ジェンチィ 脚本:チウ・シー
「山の郵便配達」「ションヤンの酒家」のフォ・ジェンチィ監督作品。
残念ながら僕は「山の郵便配達」を観ていないのですが(青物横丁のGEOに無いんですっ!)「ションヤンの酒家」は大好きで、「故郷の香り」は予告編で見た香川照之さんの演技に圧倒されて是が非でも観ようと思っていた1本です。
北京から10年ぶりに生まれ故郷の村へ帰ってきたジンハーは、偶然にも初恋の相手だったヌアンと再会する。しかしヌアンの身なりは薄汚れ、生活に疲れきったような表情をしていた。
ヌアンは幼なじみで聾唖の青年アーバ(香川照之)と結婚をし、6歳になる娘がいた。ジンハーは北京へ戻る予定を変更してヌアンの家を訪れる。そこで思い出すのはヌアンと交わした約束だった…。
中国映画を観ていてときどき驚かされるのはそのロケーションです。
「小さな中国のお針子」のときもそう思ったのですが、中国でなければ絶対に撮ることの出来ない雄大かつ素朴な風景がそこにあって、実は俳優以上に雄弁な被写体じゃないかと僕は思います。ちなみにこの作品のカメラマンの腕も素晴らしかった。
俳優陣もロケーションに負けない素晴らしい演技を披露しています。
特にヌアンを演じたリー・ジアと、その夫を演じた香川照之は本当に素晴らしい。話の展開が途中で読めてしまうので僕は比較的冷静に観ていたのですが、クライマックスは泣けました。
原題は「暖~ヌアン~」ですが主人公はジンハーです。つまりこれはジンハーからみたヌアンの生涯というわけ。
僕はどちらかというと保守的な人間なのでずーっとアーバの立場で観ていました。ところがラストシーン。ジンハーがヌアンの娘に言う台詞を聞いて「それを言わせちゃダメだろう」と脚本家に突っ込みを入れたくなったのですが、まもなく僕自身も過去に同じようなことを言った記憶が蘇り、「僕はアーバじゃなくてくジンハーだったんだ!」とショックを受けました。これは僕の物語でもあったなと。…すいません、ワケの分からないことを書いちゃって(笑)。ここだけ個人の日記になっちゃいました。
僕は地方出身者で都会生活者だからこそ、この作品は懐かしくも心にチクリと痛い映画でした。
ストーリーについて言うと何ヶ所か説明不足な点があるのですが(ジンハーから届いたヌアン宛ての手紙を破り捨てたアーバ。それを思い出したアーバが良心の呵責に苛まれるシーンがワンカットでいいから欲しかった!)その欠点を補って余りある名作だと思います。
中国のロケーションと、絶妙な編集の間と、観る者の感情の波に寄り添うような素晴らしい音楽をぜひ堪能してください。
いい映画でしたね。
3人それぞれの想いは、自分の傷を見せられるようでした。
(たぶんkenさんほどリアルではありませんが・・・)
でも、美しい田園の風景や、人間のぬくもりが、
その傷を優しく包み込んでくれて、心癒される作品でした(涙)。
by Naka (2006-03-29 02:11)
心に残っている作品です。
(ヌアンが田舎の人に見えないのが ちょっと残念ですけど 笑)
最後は、やっぱりボロボロに泣いてしまいました。
ヤーバの言葉にならない叫びが痛くて痛くて。。。
by midori (2006-03-29 09:16)
>Nakaさん
ブランコの使い方が巧かったですね。
ドラマの象徴となりうるアイテムの使い方は勉強になりました。
nice!ありがとうございます。
>midoriさん
聾唖のアーバ役に、中国語が分からない香川照之さんをキャスティングした
アイディアは実にすばらしいと思いました。
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-03-29 16:53)
こんばんは。お久しぶりです。
この映画、よさそうですね。ぜひ見てみたいと思います。
少し前に、深夜放送で「雨あがる」をやっていて、ビデオに
とりましたので、それを見てから借りようかな。
また感想をアップします。
by coco030705 (2006-03-29 19:12)
この作品はある意味「ベタ」なんですけど、とてもいい映画だと思います。
「雨あがる」もいいですよ~。ぜひ感想を寄せてください。おまちしています。
nice!ありがとうございます。
by ken (2006-03-30 16:38)