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キサラギ [2007年 レビュー]

キサラギ」(2007年・日本) 監督:佐藤祐市 脚本:古沢良太

 これは「12人の優しい日本人」や「笑の大学」などと同じ、脚本家なら誰でも一度は書きたい(と、思うらしい)ワンシチュエーションドラマ。
 脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」の古沢良太で(監督は「シムソンズ」の佐藤祐市なんですが、監督はどうでもいい)、設定は「自殺した“B級アイドル”如月ミキの一周忌に、ファンサイトで知り合った5人の男たちがオフ会で集う」というもの。出演は小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅(ドランクドラゴン)、香川照之。
 この映画、ワンシチュエーションですから当たり前なんですけど、なんのこたーないフツーの演劇です。だから
「舞台でやればいいじゃん!どうして映画にするの!」と思いながら観てました。「笑の大学」のときもそう思いましたけど。

 そもそも映画と舞台の違いってなんでしょう?
 作り手側から見た大きな違いは、映画は「じゅうたん爆撃」で舞台は「ピンポイント爆撃」だと思っています。例えが好戦的でスイマセン(笑)。
 つまり映画と舞台とでは「相手にする数が違う」ということ。
 複製可能なソフトである映画は、需要さえあればいくらでも供給することが可能です。しかも劇場公開のあとDVD化という2次利用まで出来る。
 しかしライヴというスタイルでのみ成立する舞台は供給数に上限があります。劇場の座席数は決まっているし、公演日数にも限りがある。舞台の場合、いくらヒットしようと座席数を超える売り上げはあり得ません。
 これを踏まえて考えると、「利益を上げるために投資できるのが映画。パイのサイズが決まっている以上、むやみに投資できないのが舞台」と言うことも出来るでしょう。
 
 しかし舞台の最大のメリットはやはり「生」であるということ。
 映画やテレビのような記録媒体ではゼッタイに出来ないことが舞台なら出来る。僕はここに舞台の魅力を感じるのです。
 例えば、ユースケ・サンタマリアが演じた男の名前(ハンドルネーム)は「オダ・ユージ」でした。
 これは脚本家の遊び心でしかありません。明らかに「踊る大捜査線」を意識させるセリフがあって、観ているとニヤリとさせられます。しかしこれが舞台ならもっと過激なセリフもジョークも言わせることが出来たはずなのです。
 さらに、この5人の座組みならアドリブも連発だろうな、と想像すると、ますます「舞台で見せろ!」と思ってしまうのです。

 演劇好きな方なら観ても良いかも。
 「笑の大学」を観て、「なんだかなあ」とぼやいた人にはオススメできません(笑)。
 ただし!香川照之ファンなら見るべし。この人の芝居はホント観ていて気持ちが良いです。

キサラギ スタンダード・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD

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コメント 4

non_0101

こんばんは。
この作品、とっても気になっている1本です。
> 「舞台で見せろ!」と思ってしまうのです。
役者が揃っていますからね!
舞台は生ものだから、その日の客層によっても変えるところがあるとか
聞いたこともありますし。
その点は、映画の方が普遍性があるのでしょうね。
by non_0101 (2007-05-19 22:17) 

ken

舞台の中継録画を観るつもりで行ったほうが良いかもしれません。
過度な期待は禁物です。
それにしても、こんなに舞台らしい脚本、最近観たことありませんでした。nice!ありがとうございます。
by ken (2007-05-20 23:59) 

non_0101

こんばんは。
観てきました!やっぱり面白かったです!
TBさせていただきますm(__)m
by non_0101 (2007-06-27 22:55) 

ken

non_0101さんにはストライクだったようですね。
よかったです。
by ken (2007-07-01 00:44) 

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