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イカとクジラ [2008年 レビュー]

イカとクジラ」(2005年・アメリカ) 監督・脚本:ノア・バームバック

 不思議なタイトルに一体どんな内容かと思いますが、舞台は1986年のブルックリン。
 16歳の兄ウォルトと12歳の弟フランクの両親は共に作家。父はしばらくスランプが続いているが母は絶好調。そんな2人が離婚をすることになり、両親の家を行き来する生活が始まる頃、兄弟2人にもある変化が起き始める…というハナシ。
 ではタイトルの「イカとクジラ」はというと、それはこちら。

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 怖すぎ。
 これはアメリカ自然史博物館にある巨大なジオラマで、シロナガスクジラがダイオウイカを食べようと格闘しているシーン。映画ではこのジオラマを息子の視点から「離婚しようとしている父と母」に見立てているというワケ。
 マニアのために解説しておくと、監督・脚本は「ライフ・アクアティック」の共同脚本を務めた人で、本作のプロデューサー陣にはウェス・アンダーソンが名前を連ねています。
 また本作は監督自身の少年時代を投影して書いた脚本と言われていて、そのせいで舞台設定が1986年になっています。

 決して娯楽作品と呼べるものではありませんが、本作を観ると「子供とはいかに親の影響を受けて成長するものか」が手に取るように分かります。それはもう恐ろしいくらい。
 僕も自分の人格は親の思想と生活環境によって形成された、と30代後半で認識しましたから、観ていてちょっと辛くなるシーンもありました。また、今後もし僕に親になるチャンスがあれば、反面教師として大いに参考にしたいなと思える映画でもありました。
 両親に翻弄される二人の息子を若い俳優が実に巧く演じています。この2人の芝居が本作のリアリティを保っていると言っても過言ではありません。
 余談ですが弟のフランクを演じたのはフィービー・ケイツの実の息子、オーウェン・クラインでした。

 例えとしては古いけれど「クレーマー、クレーマー」のシニカル版。今となってはこちらのほうがよほど現実的な問題かなと思います。
 佳作。

イカとクジラ

イカとクジラ

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD

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コメント 5

朱色会

面白そうですね。観てみます。
by 朱色会 (2008-04-20 12:26) 

うつぼ

こんにちは。
映画は未見ですが、このジオラマは昨年見ました。現実に見られない世界をジオラマで再現するとはさすがアメリカ人、、、と感心しましたが、映画自体は「クレイマー、クレイマー」のシニカル版とは、ゼヒ観てみたいですね。
by うつぼ (2008-04-20 18:46) 

ken

>朱色会さん
 はい。地味ですが興味深い作品です。

>うつぼさん
 えー、見たんですか?いいなあ。
 でもこんなデカいジオラマ見たら、多分気持ち悪くなって吐いちゃうな、オレw
 nice!ありがとうございます。
by ken (2008-04-20 19:37) 

うつぼ

kenさん、、、今日は広島、ギリギリ頑張ってますね。(^^)
ジオラマはてっきりNYでご覧になったものかと思ってました。
私は地下のジオラマコーナーで観ました。
よろしければ記事ご参照下さいませ。 → http://utsubohan.blog.so-net.ne.jp/archive/20070521
薄暗い中で見たのですが私はビックリするばかりでした。。。。
それにしても、フィービー・ケイツ、ケビン・クラインと結婚したのは知っていましたが子供が映画に出るくらいなんですね。。。「パラダイス」とか「グレムリン」が懐かしいです。。自分が歳食ったと感じました。(笑)
by うつぼ (2008-04-20 20:24) 

ken

おかげさまで本日は勝たせてもらいました(^ ^)v
ところで、オーウェンの目元が妙にフィービーに似ているんですよねw
桑田も引退したし、僕たちも歳をとりました。
by ken (2008-04-20 22:23) 

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