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クローズZERO [2008年 レビュー]

クローズZERO」(2007年・日本) 監督:三池崇史

 今から2か月ほど前。某現代美術家のセンセーが「コレおもしろかったよ。途中なんか『七人の侍』っぽくて」と言っていたのをふと思い出し、wowowで視聴。そうでなきゃ観なかったと思う。いまさら小僧のケンカなんぞに興味はない。

 高校生の抗争という題材。僕の世代には「男組」(原作:雁屋哲 作画:池上遼一)という傑作マンガがあって、だから特に「クローズ」の設定に無理があるとか、リアリティがないとか思わない。けれどドラマの深みは足りないと思う。不良高校のアタマを獲るってだけで、2時間超のドラマを見せるためには、それ相応の裏テーマが必要だろう。
 もしもそれが「今の日本男児に失われた男気」だったとしたら(そうとしか思えないんだけど)、人間の描き方がなってない、と断言する。
 先のセンセーが「七人の侍っぽくて面白かった」と言ったのは、極めて好意的な目で見た感想だ。もしや三池ファンだったか?

 自分でアタマを獲ろうと考えている男が、その強欲を捨て別の男を支えるということは、絶対服従に近い覚悟を決めるということだ。そこには堅気の想像を絶する苦悩と葛藤があっておかしくない。それが「七人の侍」よろしく「とにかくメシにありつきたい」という理由でも命が懸かっていればいいのだ。
 しかし、芹沢(山田孝之)に対抗するための面子を集める滝沢(小栗旬)に付こうとする連中の「男気」は、僕にはまったく届かなかった。

 僕が通った高校は西日本で最大級の私立男子校だった。
 俗に言う「すべりどめ」高校だったもんだから、あらゆる学区からあらゆる生徒が集まってくる。
 中学時代に番長を名乗っていた連中も、ほとんどがこの高校へやって来た。だから入学式の翌日には早くも1年生同士の抗争があって(しかも授業中というから笑える)、そんなオメデタイ高校で3年間を過ごした僕は、「クローズ」の世界観が分からなくない。彼らはそうやって自らのアイデンティティを探っているのだ
 ところが本作は高校生よりも先に、行き場を見失っている。
 「七人の侍」には遠く及ばず、おそらくリスペクトしていただろう「ストリート・オブ・ファイヤー」にも成り切れていない。とても残念だ。

 しかし、山田孝之は良かった。
 僕が気に入ったのは、極めてマンガ的な芝居もこなすところだ。小栗旬なんかより全然器用で、かつ存在感バツグンだった。
 山田孝之見たさに続編も観てしまうかもしれない。

クローズZERO プレミアム・エディション

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

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