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女バス [2008年 レビュー]

女バス」(2006年・アメリカ) 監督:ウォード・セリル

 「THE HEART OF THE GAME」という原題に対して、すごい邦題を付けたもんだと、ここまで来ると感心しますが、「女バス」とは「女子バスケット部」の略です。
 そしてこれはアメリカ、ワシントン州にあるルーズベルト高校の女子バスケットチームを7年に渡って取材したドキュメンタリー。
 表向きは「弱小チームが州チャンピオンを目指す」という、ありがちな目線なのですが、学校の要請を受けて就任したコーチ、ビル・レスラーと、チームのポイントゲッターでもある一人の黒人選手のおかげで、「教育」と言う面でも見応えのあるノンフィクションに仕上がっています。

 僕が注目したのはコーチのビルが選手に指導した「インナーサークル」という制度。
 チーム内で発生した問題を、コーチ、親、学校関係者、警察など、誰にも頼らず自分たちだけ話し合い解決する、というルールなんですが、これが実に効果的で感心しました。
 僕はこの世の中に起きている争いごとの大半は、「コミニュケーションを密にすることで解決できるもの」だと思っています。
 誤解、錯覚、勘違い、思い違い、曲解、無理解、これらはいずれもコミニュケーション不足が生み出したものです。解決のためには「当事者たちが関係改善を望むこと」が大前提ですが、互いの言い分を聞き、何が衝突の原因だったのかを探れば、おのずと解決策は見えてくるはずなのです。
 大切なことは思いの丈をストレートにぶつけること。そしてそこへ導く者の存在。
 ルーズベルト高校女子バスケットチーム「ラフライダーズ」のメンバーは、ビルの指導で始めたインナーサークルによって、チームの重大な危機を2度乗り越えます。僕はこの制度を自分の会社にも導入できないかと真剣に考えました(笑)。

 個人的にはバスケットにあまり興味がありません。
 NBAの試合がBSで放送されていても、チャンネルを止めるほどじゃないし、自分でやりたいとも思わない。けれど高校生が真剣にバスケットに取り組む姿は見ていて気持ち良かったし、7年も追い続けたことによって選手が入れ替わったりする展開は、まるで水島新司の「ドカベン」を観るようで面白かった。
 でも一番感情移入したのはビル。僕は間違いなく彼の世代だし、選手をいかに鼓舞し、実力以上の力を発揮させるかは、少なからず参考になりました。
 学生時代にバスケットをやっていた人たちは、かなり熱くなれるはず。
 そうでなくても、スポーツドキュメンタリーとして充分に観ていられます。


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Sho

私もバスケットにはそんなに興味がありませんが、「インナーサークル」という制度と、7年間の流れはとても興味を惹かれます。
by Sho (2008-11-04 18:23) 

ken

人種差別問題などが絡んでますから、なかなかのもんです。
インナーサークル、いいなあと思いますよ。
nice!ありがとうございます。
by ken (2008-11-05 01:04) 

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